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ステマ規制、消費者庁が初の措置命令! Googleの口コミに『サクラ投稿』していませんか?それ、ステマです

公開日:2024.07.24 最終更新日:2024.08.23

※2024年7月現在の記事です。

「Googleマップの口コミに高評価の投稿をしたら、インフルエンザワクチンの接種料金から550円を値引きする」として、クリニックに来院した人に高評価の投稿を依頼していた行為がステルスマーケティングにあたりました。2024年6月7日、消費者庁は東京都内にある内科クリニックを運営する医療法人に対して、投稿の削除などを求める措置命令を行いました。この措置命令は、2023年10月のステマ規制開始後、初の行政処分です。

ステルスマーケティングとは

“SNSの投稿やレビューサイトの口コミは、一見すると事業者の表示(広告・宣伝)ではない、消費者やインフルエンサーなどの第三者の表示に見えます。 しかし、こういった表示の中には実は商品・サービスを製造、販売している事業者が投稿している広告もありま す。このように、広告であるにもかかわらず広告であることを隠すことをいわゆる「ステルスマーケティング」といいます。”

引用: 消費者庁「景品表示法とステルスマーケティング~事例で分かるステルスマーケティング告示ガイドブック~ 」 https://support.google.com/contributionpolicy/answer/7400114

意外?!消費者庁が目をつけたのは地域密着型のGoogleマップ

ステマと言えば、芸能人やインフルエンサーが企業から報酬をもらって商品を宣伝しているにもかかわらず、普段から自分が愛用しているかのように紹介する行為を思い浮かべる方が多いかと思います。しかし、消費者庁がステマ規制開始後、初の「アウト判定」を下したのは、東京都内にあるクリニックのGoogleマップの口コミでした。措置命令を受けた事業者は、誰もが知るような有名企業ではなく、街のクリニックを運営する医療法人。対価と引き換えにステマ行為を依頼された人も芸能人やインフルエンサーではなく、一般人。「え、クリニック?!Googleマップ?!」と意外に思われた方も少なくないのではないでしょうか。

街のクリニックのステマ行為が、なぜ消費者庁に発見されたのか?

今回、措置命令の対象となったクリニックが、来院した人に高評価の口コミ投稿を依頼していたとみられる2023年10月2日~17日までのクリニックへのクチコミ、269件を調べたところ、90%近くの232件が5段階中5の高評価だったということです。消費者庁は、このうち45件をステマと判断しました。なお、これ以前のクリニックの星5つの評価は全投稿の約5%で、約90%が星1つの評価でした。

Googleの口コミの評価が低い場合、本来であれば、着手すべきは業務の見直しと改善です。あわせてGoogleマップの返信機能を使って、丁寧にオーナー返信を行うことも効果的です。しかし、今回のケースでは、やってはいけない“値引きを対価に口コミを依頼”してしまいました。

クリニックが来院した人に「ワクチンの接種料金を550円値引きするから、高評価のコメントを投稿してね」と依頼したところで、全員がクリニックの期待通りに動くわけではありません。実際に、クリニックに対して不信感を持った人たちが、Googleの口コミにステマ行為を依頼されたことを投稿し、注意喚起していました。同じような話が、複数のアカウントから投稿されていれば信憑性が増し、クリニックのステマ依頼が証拠となってGoogleマップに残り続けます。

クリニックのステマ投稿の依頼について、依頼された経緯とともに「怪しすぎ」「不信感でいっぱい」「星をお金で買っている」などの投稿もありました。また、行政機関に訴えかけようと呼びかける投稿もありました。投稿内容を確認すると、ステマ行為を依頼された人や、口コミを見た人、以前からクリニックに不信感を持っていた人たちが通報した結果、消費者庁も知るところとなりました。この通報により、今回の措置命令につながった可能性も考えられます。

今回の措置命令からわかる消費者庁のスタンス

今回の措置命令を考察すると、「事業規模に関係なく、しっかりチェックしていますよ」という消費者庁からのメッセージとも受け取れます。これまで以上に、経営者の方や広告・宣伝の担当者は、ステマ対策について真剣に取り組む必要があります。

消費者庁のステマ通報窓口

また、消費者庁はステマに関する専用フォームを設けて、ステマ行為の疑いがあれば情報提供するよう、広く呼びかけています。したがって、誰か一人でも消費者庁に情報提供をすれば、すぐに知られることになります。「消費者庁は、小規模な会社までチェックしてないから大丈夫」と楽観できません。

「ステルスマーケティングに関する景品表示法違反被疑情報提供フォーム」

ステマ規制。何がアリで、何がナシなのか?

消費者庁は、HPでステマ規制に関する運用ガイドラインを公表しています。官公庁の文書ですから、読み手に親切な文章ではありませんが、一度、しっかり読み込むことをおすすめいたします。

「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準

イラスト入りのわかりやすいガイドブックも用意されています。

景品表示法とステルスマーケティング~事例で分かるステルスマーケティング告示ガイドブック

運用基準ではどのようなケースがステマに該当するのか、例があげられていますが、実際には判断が難しいのが現状です。消費者庁は、ステマにあたるか否かの判断基準について「表示内容全体から判断」「実態を踏まえて総合的に考慮し判断」すると表現していますので、最終的な判断は消費者庁次第です。事業者は思いがけず措置命令を受けてしまうことがないように、消費者庁の考え方やスタンスを把握しておく必要があります。

弊社で開催したステマ対策セミナー

弊社では、これまでにステマに関するセミナーを3回、開催しています。

第1回は、ステマ規制の運用基準を読み解くセミナーを開催しました。下記URLより、セミナー動画をご覧いただけますので、ぜひご活用ください(視聴無料)。

【第1回】「うっかりステマ」で違反・炎上しないために押さえるべきポイントを教えます


第2回、第3回は、コスモポリタン法律事務所 代表弁護士 高橋喜一先生をお招きして、想定される個々のケースにQ&A形式で解説しています。

【第2回】弁護士×炎上予防専門家が解説
10月施行の「ステマ規制」で注意すべきポイントとは


【第3回】弁護士×炎上予防専門家が解説

~10月以降に発生した事例から学ぶ「ステマ規制」のポイント~

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個別にステマ対策セミナーも開催しております

弊社では、従業員の皆様向けのステマ対策セミナーも実施しております。上記セミナーにも登壇した、弊社のWEBコンサルタントマネージャー前薗利大が個別セミナーを行います。出張、オンラインともに承っておりますので、ご興味のある方はお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。

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