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「試食拒否」の大炎上は、防げなかったのか?「ツナマヨ民」から考える誹謗中傷

公開日:2022.02.28 最終更新日:2023.06.21

インターネット上での誹謗中傷に悩まされていたとされる女子プロレスラーが自殺した痛ましい事件から、もうすぐ2年。しかし、誹謗中傷はなくなるどころか、過激さを増しているようにも見えます。そもそもの炎上事案とは無関係なのに被害を受けることもある中、企業はどう備えるべきなのでしょうか?いわれなきバッシングから自社を守るためのデジタル・クライシス対策をご紹介します。

「痛ましい事件」の後も繰り返される誹謗中傷

SNS上などで激しい誹謗中傷を浴びていた女子プロレスラーのAさんが22歳という若さで自らの命を絶ったのは、2020年5月のことでした。 誹謗中傷の原因となったのは、Aさんが出演していたテレビの恋愛リアリティー番組での振る舞いです。共演者の男性の心を傷つけるような言動をしばしば見せたことが、視聴者を不快にさせたと言われています。

一方、次世代の女子プロレス界を担う選手として将来を嘱望されたAさんは明るい性格で礼儀正しく、海外にも大勢のファンがいました。 そうしたことから、テレビ番組での彼女の姿には「過剰な演出だったのでは?」と疑問を投げかける声が後を絶たなかったもの事実です。

Aさんの没後、2020年6月に日本財団が実施した「18歳意識調査」における「リアリティーショー出演者に対するSNS上での誹謗中傷の原因」に対する回答でも、24.7%の人が「(番組)制作側の演出・編集の問題」を挙げ、23.3%が「(誹謗中傷の加害者による)現実とエンターテインメントの混同」と指摘しました。 また、テレビ番組の影響を受けた「間違った正義感」が背景にあると考える人も38.7%に上ったのです。

Aさんの痛ましい事件が残した教訓は大きく、「オンラインの誹謗中傷をなくそう」という世の中の機運が高まりました。 被害者を救済するための法整備も進みましたが、気に入らない物事に対して行き過ぎた攻撃を加える行為はなくなるどころか、次々と繰り返されているのが現実です。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「自粛」で社会全体の閉塞感が高まる中、誹謗中傷の手口も過激さを増しています。

テレビ番組で「無慈悲ジャッジ」 審査員の一流シェフに怒りの声

2022年の元日に放送されたテレビのバラエティー番組をめぐる誹謗中傷の事案は、Aさんの事件を思い起こさせたと同時に、誹謗中傷を根絶させることの難しさを露呈することにもなりました。

誹謗中傷の刃が向けられたのは、高級イタリアンの一流シェフとして知られるBさんでした。プロの料理人が審査員として大手コンビニ各社の人気商品を食べ比べ、辛口なレビューをするという企画の中で、ある商品(ツナマヨネーズおにぎり)の試食を拒んだのが理由です。 Bさんは「見た目からして食べる気にならない」と酷評し、当然のように「不合格」の判定を下しました。

SNS上では居丈高に映ったBさんの態度への怒りが拡散し、本人が経営するレストランのレビューやYouTubeのコメント欄などにもネガティブな意見が大量に書き込まれる事態に発展したのです。

いわゆる「ツナマヨ民」と呼ばれる匿名の人たちの執拗な攻撃にさらされた結果、BさんのTwitterアカウントは削除され、YouTube動画はすべて非公開となりました。 また、Googleマップの口コミであるGoogle Business Profileでも、彼のレストランに星1つの最低評価を付けるアクションが殺到。心ないレビューや荒らし行為の餌食となったレストランは、Googleマップ上で閉業扱い(1月25日時点)に追い込まれました。

これらの措置は荒らし対策の可能性が高いとはいえ、ツナマヨ民の行為はBさんに精神的な苦痛を与えたばかりではなく、彼がコストをかけて獲得してきたフォロワーやコンテンツ、そしてレストランへの来店につながるはずだったレビューも、すべて失わせることになってしまったのです。

同姓というだけで…無関係のレストランも標的に

さらに、誹謗中傷の被害はこうしたことだけにとどまりませんでした。

バラエティー番組の放送から2日後、Bさんと同姓のシェフであるCさんが、自らが経営するイタリアンレストランに誹謗中傷が及んでいることをTwitterで直訴したのです。 単に同姓というだけで大事な店の評判を傷つけられる異常な出来事はネットニュースでも取り上げられ、ツナマヨ民が「暴徒化」している実態が浮き彫りになりました。

そんなツナマヨ民の横暴にくぎを刺すように、SNS上では「試食拒否」への集中砲火を「番組内容の一部を切り取ったものに過ぎない」と断罪する論調が表面化。事実ではないことを根拠に誹謗中傷に走る人たちを巡り、ネットリテラシーの悪化を指摘する声も見受けられました。

事実、Bさんは最終的にそのおにぎりを試食した上、「ご飯を炊くときにツナマヨも一緒に入れれば、ご飯にツヤが出てよいかもしれませんよ」などと、商品の改善を図る視点で的確なアドバイスも送っていたのです。

SNSの論調を素早く察知し、謝罪すべきだった

しかし、「試食拒否」が招いた炎上がCさんという赤の他人をも巻き込んでしまう前に、打つことができたはずの手はなかったのでしょうか?

一連の騒動で批判の矛先が向けられたのは、Bさんと番組制作者でした。このため、どちらかがSNSの論調に沿って早期に謝罪していれば、ダメージを小さくできた可能性があります。

シエンプレのデジタル・クライシス総合研究所が公表した「デジタル・クライシス白書2022」(dcri-digitalcrisis.com)によると、炎上事案がメディアで放送・記事化されるスピードは「24時間未満」が半数近くに及んでいます。 このことからも、早期にトラブルの種を検知し、適切な対応を取ることの重要性が高まっていると言えるのです。

また、一方的な理由で試食を断るシーンが視聴者にどう受け止められるかを放送前にチェックしておけば、炎上を防げた可能性もあります。 クリエイティブなどに少しでも違和感を覚えた場合は、第三者に相談・チェックを依頼できる体制を整えておくとよいでしょう。

さらに、今回の事例のように、誹謗中傷の被害が無関係の人にまで及んでしまうケースも少なくありません。 例えば、2017年に起きたあおり運転による死亡事故では、無関係の建設会社が「容疑者の勤務先」としてネット上で拡散され、この会社に誹謗中傷や脅迫めいた電話が殺到しました。

言い換えれば、自社に一切の落ち度がなくても、いわれのないバッシングを浴びせられることがあるということです。 だかこそ、そのようなデジタル・クライシスのリスクに無防備であってはいけません。

炎上リスクの度合いを常にチェックできれば安心

シエンプレが提供している「Web/SNSモニタリング」は、目視とAI解析を駆使して24時間体制で炎上リスクを追跡するサービスです。 炎上の予兆をいち早く発見し、被害を防ぐ上で最も費用対効果の高い備えとして、さまざまな業種・業界にわたる数多くの企業が導入しています。

万一の炎上時も、情報の拡散源や事実関係の調査、拡散経路のモニタリングを継続。公式サイトで発表するニュースリリース・企業見解に対するアドバイスを送り、必要な場合はメディアに反論・検証記事を掲載します。

その後も、炎上が収束するまで世論調査・モニタリングを継続し、プロの手腕を活かす包括的なサービスを提供。対応の優先度まで整理してご報告するため、顧客企業の担当者様の負担も確実に軽減できます。

また、クリエイティブリスク診断のサービスでは、冷静沈着で頼もしい「第三者の意見」を得ることができます。

これから展開しようとするクリエイティブやプロモーションの炎上リスクを多角的に検証し、それらの表現やテーマが世の中に受け入れられるかどうか、自社が保有する炎上事例データベースや直近の世論と照らし合わせて見極めます。

国内唯一のデジタル・クライシス対策カンパニーであるシエンプレは、頼れる「炎上ストッパー役」です。いつ、何が原因で起こるか分からないデジタル・クライシス対策の強化をお考えなら、豊富な契約実績と信頼性、ノウハウを誇る弊社に、ぜひご相談ください。

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