風評被害の5つの具体例!企業が把握すべき対策も解説
- 公開日:2025.04.21

近年、SNSやネット掲示板の普及により、誰もが自由に情報を発信できるようになりました。
拡散力が強いデジタルの情報発信ツールは、誰がいつ、どんな理由で風評被害に遭うかわからないという環境をつくり出したといえるでしょう。
本記事では、企業が風評被害を受けた5つの事例を紹介した上で、風評被害を放置した場合のリスクと、被害を防ぐ3つの対策について解説します。
目次
風評被害に遭った5つの事例
風評被害は、企業の規模や業種・業態などに関係なく発生する可能性があります。まずは、企業が風評被害に遭った5つの事例を紹介します。
異物混入による風評被害
A社は、ベビー用も含む食品を製造し、小売店を通じて販売しています。食品メーカーにとって、どれだけ対策をしても一定の確率で発生してしまうのが異物混入です。A社もさまざまな対策をとっていましたが、「A社で販売している乳幼児向けの粉ミルクに異物が混入していた」というSNSの投稿をきっかけに、炎上が起こりました。
異物混入の投稿には、画像やハッシュタグがつけられていたこと、異物の種類が2センチのゴム片と特殊であったことなどから、投稿は瞬く間に拡散されました。しかし、調査の結果、2センチのゴム片はフィルターを通らない大きさで、製造工程での混入はあり得ないことが判明。
つまり、本件の異物混入は、A社の過失ではなかったのです。その後、「投稿者による購入後の管理の仕方に問題があったのでないか」という意見が広がりましたが、A社への批判が収束するまでには一定の時間を要することになりました。
不十分な見識による風評被害
B社はペット関連商品を製造し、ホームセンターなどを通じて販売しています。B社が提供する薬品は獣医の処方箋を必要としない手軽さから広く流通していましたが、ある一般ユーザーが、「B社のペット用害虫駆除薬品を摂取した動物が異常行動を起こした」という趣旨のSNS投稿を行い、一部のペット愛好家の間で拡散されました。
さらに、市販されている動物用医薬品に否定的な意見を持つインフルエンサーや獣医がB社の商品を批判したところ、それが一気に拡散されます。同様の被害に遭ったとする投稿なども見られ、事態は混迷の様相を呈しました。
アルバイト従業員の不適切行為による風評被害
大手コンビニチェーンC社のアルバイト従業員が、おでんの具材のしらたきを口に入れた後、鍋の外に吐き出した動画が拡散されて大炎上しました。本事案では、問題を起こした本人が勤務する店舗のみならず、全国のチェーンにも風評被害が及びました。
「コンビニのおでんは不衛生」というマイナスイメージは、具材の製造工場や、おでんを取り扱う一般の飲食店にも甚大な風評被害をもたらしたといえます。
ネット上に残った古い情報による風評被害
ホテルを営むD社は、10年以上前に起こった事故の情報がネット上に残り続けた状況を看過していました。そのため「このホテルは事故がつきもの」という致命的な風評被害が広がってしまいました。
ブランドイメージが落ちたままでは、周辺のホテルより宿泊価格を下げても、客室の稼働率が上がらない状況が続きます。
D社は、代表者の交代を機にSEO対策を通じたブランディングを行い、社名検索時にヒットするネガティブサイトの表示順位を落としたところ、業績は徐々に回復。しかし、長年にわたる風評被害により、億単位の機会損失を被ることになりました。
同名企業の炎上による風評被害
水着製造などを手掛けるE社。他県にある同名の原薬メーカーが無届けの成分を混入した製品を出荷し、業務停止命令などを受けました。それがきっかけで、E社は風評被害に巻き込まれてしまいます。
いわれのない多くの苦情や批判が殺到した中、E社は緊急の記者会見を開き、不祥事を起こした同名の企業とは一切関係がないことを周知する必要に迫られました。
風評被害を放置するとどんなリスクがある?
風評被害に遭った企業は、深刻なダメージを受ける可能性が高まります。世の中に広まってしまった情報を排除するのは困難だからといって、リスクを放置してはなりません。
企業・商品のイメージが悪化する
ネガティブな投稿や口コミが間違った情報だとしても、ネット上にはデータとして残り、拡散されます。たとえば「産地偽装」「詐欺」といった強烈な言葉が広がり、企業や商品に疑いの目が向けられれば、企業のイメージが一気に悪化してしまうでしょう。
たった1人のネットユーザーによる事実無根の情報が発端となり、誹謗中傷や不買運動などに発展するリスクもあります。
売り上げが下がる
ネガティブな情報にまみれた企業の商品・サービスを好んで利用しようとする消費者は少ないでしょう。商品・サービスを敬遠する人が増えると、売り上げは下がります。
上場企業の場合、業績の低迷が続けば、株価も下がってしまうかもしれません。
従業員の士気低下
世間のイメージが悪化し、業績も思わしくない企業で働く従業員の士気は、総じて低下するでしょう。そうなれば、生産性は下がり、品質管理にも影響が出るかもしれません。
士気が下がったままの状態では、製造・サービスの現場で新たなトラブルなどが発生することも考えられます。
金融機関からの信用が低下する
取引先の金融機関に悪評が伝わってしまった企業は、経営状態などを改めて調査される可能性があります。
その結果、融資が見合わせられて資金繰りが苦しくなると、事業の継続を断念せざるを得ない状況に追い込まれるかもしれません。
従業員の離職が増える
上記のようなリスクが顕在化した企業では、従業員の離職が増えても不思議ではありません。
自社に貢献してきた優秀な人材が流出してしまうのはもちろん、求職者を集めることさえ難しくなるでしょう。
風評被害を防ぐ3つの対策
風評被害は、対応が後手に回るほど被害が拡大します。そのため、事前に対策を講じることが肝心です。
風評被害を防ぐガイドラインを作る
風評被害を防ぐには、風評の発生時にどのように行動し、どのような対応を行えばよいのか、ガイドラインをあらかじめ決めておくことが重要です。
そうすることで、風評を検知した際も慌てることなく、速やかに行動できます。初動対応で速やかに原因を特定し、風評を否定する情報発信などができれば、被害の発生や拡大を防げるでしょう。
危機管理体制をしっかり整える
危機管理体制で重要なのは「どのようなリスクを誰に報告するか」「どのような基準と流れで意思決定するか」「どのタイミングで経営陣に伝えるか」です。
風評が拡散して炎上すると、現場が混乱して実態調査が遅れたり、義憤に駆られた従業員が社内情報をリークしたりすることも考えられます。有事の際も、社内が組織的かつ冷静に行動できるよう、定期的な訓練も実施しましょう。
定期的にモニタリングを行う
ネット上の情報を定期的にモニタリングすることは、風評被害の防止につながります。自社に関するネガティブな書き込みなどを早期に発見できれば、被害を防ぐための方法を選択し、実行するまでの時間を十分に確保しやすくなるでしょう。
シエンプレでは、担当者の有人監視やシステムによる24時間体制のWeb/SNSモニタリングサービスを提供しています。万一、炎上が発生した場合も、ネット上の動きをいち早く感知し、顧客企業に注意喚起します。
風評被害は未然に防げる
ネット上の記事や投稿を止めることはできないため、風評自体の発生を防ぐのは困難です。しかし、風評被害を防ぐことや、ダメージを最小限に抑えることは可能です。風評対策や風評被害への対応については、豊富なノウハウと実績がある専門業者に相談しましょう。
シエンプレは、風評被害や誹謗中傷、ネットの炎上など、あらゆるデジタル・クライシス(危機や重大なトラブル)の課題解決をサポートします。少しでも気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。