ネット上で「炎上」する問題動画。 企業へのダメージを最小限に抑えるためには?
- 公開日:2019.09.19 最終更新日:2023.06.21
2018年9月、動画共有SNSのTikTokに、前代未聞の迷惑行為を収めた動画が投稿されました。
映っていたのは何と、賃貸マンションの貯水槽で裸になって泳ぐ若い男性の姿。
目を覆いたくなるほど悪質な行動が収められた映像は2019年6月9日、Twitterに転載されて拡散したことで多くの人の目に触れ、瞬く間に激しい非難の声が上がりました。
その矛先は、マンションを施工した住宅メーカーD社にも向かい、株価下落をも引き起こしました。
たった1件の動画がいわゆる「炎上」と呼ばれる事態を招き、企業運営さえ揺るがす重大な損失に発展したのです。
もちろん、この動画の内容は、言語道断の不法行為でした。とはいえ、こうした行為にD社が直接関与したわけではありません。むしろ被害者ともいえるD社になぜ、大きな批判が向けられたのでしょうか?
目次
目を疑うTikTok上の問題動画。いつ「炎上」してもおかしくない状態が10カ月間も
ここで、事件を振り返ってみましょう。貯水槽動画が「炎上」に至った背景には、2つのポイントがあったと言えます。
まず、貯水槽の中で泳いだり、その様子を撮影したりしたのはいずれも、D社の施工協力会社に勤める作業員だったということです。
この施工協力会社は貯水槽の設置や保守点検を担う下請け会社ですが、一般的に下請け会社が不祥事を起こした場合、その最終責任は元請け会社にもあると考えられます。つまり、元請け会社の監督・指導が不十分だからこそ、問題が発生したと結論付けられるのです。これは、建設業などで下請けの労働者が起こした労災事故でも元請けの責任が問われるのと同じ論理です。
もう1つ、注目しなければならないのは、D社が動画に関する事実関係を明らかにし、報道機関を通じて謝罪文書を発表したのがTwitterへの転載から4日後、2019年6月13日だったという点です。ネット上での「炎上」から4日後の対応でした。
この間、事実関係の調査と貯水槽の清掃・水質検査を終えたD社の対応は、迅速かつ丁寧だったように見えます。しかし、果たして本当にそうと言い切れるでしょうか?
※自社調べ
実は貯水槽で泳ぐ動画がTikTokに投稿されたのは、Twitterでの「炎上」からさかのぼって約10カ月も前のことでした。
つまり、誰もが目を疑うこの映像はこれほど長い間、インターネット上で、いつ「炎上」してもおかしくない状態だったのです。
頻発する「バイトテロ」。リスクゼロの企業は存在しない
多くの人にとってSNS利用が日常生活の一部となっている以上、悪質な内容だとしても、動画や写真の投稿自体を防ぐのはもはや不可能と言えます。
飲食店や小売店の従業員が商品や設備を使って度を越した悪ふざけをする、いわゆる「バイトテロ」が社会問題化した背景にも、SNSの普及が挙げられます。
予期せぬ「炎上」にさらされるリスクを負っているのは、知名度が高い大企業だけではありません。大勢の人が投稿を共有できるSNSの情報拡散力は非常に強く、地方の中小企業も「関係ない」では済まされないのです。
D社は不適切動画のお詫びから5日後、建築基準法に違反した一戸建てや賃貸アパートなどが新たに約1,900棟見つかったことを公表、再度の謝罪を余儀なくされます。D社は4月にも約2,000棟の違反が発覚しており、世間からの厳しい声に晒されました。
不適切動画は施工不良と別問題とはいえ、法令順守や品質保証の面で消費者に不安を抱かせたことに変わりありません。相次ぐ違反公表の間にSNSで拡散し、「炎上」した不適切動画はD社の施工管理体制への批判、ひいては企業イメージそのものの悪化に追い打ちをかける材料となりました。
SNS新興サービスTikTok。20代以下の利用者が過半数
スマートフォンの普及に伴い、SNSの利用者は国内で少なくとも約7700万人を超えていると言われています。知名度が高いSNSとしてはLINEとTwitter、Instagram、facebookがよく知られていますが、近年勢いを増しているのがTikTokです。
出典:WE LOVE SOCIAL
https://blog.comnico.jp/we-love-social
2016年9月にサービス開始したTikTokは15秒間のショートムービーがメインで、特殊効果の追加やBGMの組み合わせなど映像の編集機能も豊富です。
オリジナルの映像を簡単に配信できる特徴が受け、新興SNSの代表格となったTikTokの国内月間アクティブユーザーは2019年2月時点で約950万人に上ります。さらに、アクティブユーザーの半数以上を占めるのが、10代と20代の若者たちです。
出典:『TikTok、40代男性のユーザー増で10代の割合減少…“フェイスブック化”する可能性も?』
https://biz-journal.jp/2019/01/post_26388.html
未成熟な若者たちが映像を投稿する際、堅苦しいコンプライアンス意識より「ウケ」を狙ったインパクトを優先しがちです。事実、貯水槽で泳ぐ動画に関わった3人の作業員の中にも、20代の若者が含まれていました。
問題動画の拡散を防ぐ手立てを
TikTokは個人アカウントを設定すると、ユーザー自身が許可した相手しか投稿動画を閲覧できない仕組みのため、仲間内だけのクローズドな場と勘違いして投稿するユーザーも少なくありません。
違法行為などが見られる動画は運営側が削除することになっていますが、一度Twitterなどに流出してしまえば、拡散を防ぐ手立ては存在しないのが実情です。
こうした状況に対して、企業はどう備えておくべきでしょうか?
そのヒントは、D社の対応から学ぶことができます。TikTokへの投稿後、火種のようにくすぶっていた貯水槽で泳ぐ動画は約10カ月後に「炎上」しました。
この間、D社がいち早く問題となった動画を見つけ出し、適切な対応をすることで「炎上」は食い止められた可能性があります。
動画共有サイトへの投稿自体を防ぐのは現実的でないとしても、早期発見によって対応の選択肢は増えます。弊社のような専門業者に依頼すれば、過去の「炎上」対策のデータも活用した的確な対応が可能になります。
安心の監視サービスで「炎上」リスクを限りなく抑制
SNSや5ちゃんねるなどの電子掲示板に誹謗中傷のコメントなどが掲載されてしまえば、根も葉もない風評すら拡散してしまう可能性があります。一方で、すべての投稿を年中監視し続けるのは労力、時間共に膨大な手間を要するのも事実です。
「自社だけでは無理」と考える企業も多いと思われますが、どうかご安心ください。
日本初、弊社の保険付帯型モニタリングサービスは検索エンジン周りの監視と週1回の有人監視を行うことで、問題動画などを早期発見する体制をバックアップします。
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