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有事の企業発信から考察する危機管理の過ちと「炎上の連鎖」

公開日:2023.02.24 最終更新日:2023.12.06

※当記事は「Twitter」当時の内容となります。

世の中を騒がせる問題や事故を起こした企業は、何をどのように発信すべきでしょうか?その対応を誤ったときに陥ってしまうのが「炎上の連鎖」です。今回の記事では、デジタル・クライシスに対応する「危機管理」と「リスク管理」のあり方を考察します。

「危機管理」と「リスク管理」は似て非なるもの

企業経営などをめぐって頻繁に耳にする言葉のひとつに「リスクマネジメント」があります。

「リスク」は日本語で「危機」と訳されることが多いですが、「危機管理」と「リスク管理」は似て非なるものであることをご存知でしょうか?

「危機管理」は起こってしまった問題や事故に対処し、パニックの発生や事態の拡大・再発を防ぐのが目的です。

これに対し、「リスク管理」は問題や事故が起こらないように備えることを指します。当然ですが、そもそもどのような問題や事故に見舞われる可能性があるのかも知っておかなければなりません。

インターネットを介し、たったひとつの不適切な言動が企業イメージを失墜させてしまうことも珍しくない今、ネット炎上をはじめとしたデジタル・クライシスに立ち向かう「危機管理」と「リスク管理」は、もはや絶対に欠かせないでしょう。

中でも、「危機管理」に失敗した先で待ち受けているのは「炎上の連鎖」です。

2022年11月、まさにそんな事態に陥ったA社の事例を見ていきます。

始まりは1人の女性の告発ツイート

A社の炎上の始まりは、1人の女性がTwitterアカウントにA社の男性社員に向けて書き込んだ告発投稿でした。

男性社員と食事に行った際、拒否したにも関わらずみだらな行為を強要され、けがをしたと主張した女性の投稿は、著名な暴露系インフルエンサーが拡散したことで一気に注目を集めました。

しかし、多くのTwitterユーザーが注目したA社の対応は、適切な危機管理とは程遠いものだったのです。

社長個人のアカウントでの発信に批判

暴露系インフルエンサーが女性のツイートを拡散した翌日、A社から発信されたのは、社長個人のTwitterアカウントで「対応中」の旨を伝える釈明でした。

しかも、犯罪の可能性がある重大な事象を「軽率な行動」と言い表したことが世の中の批判を浴び、あっという間に炎上を招きました。

A社が企業としての公式リリースを発表したのは、それから2週間余り後になってからのことでした。しかもその日、社長はまたしてもTwitterとnoteの個人アカウントでコメントしています。

公式リリースでは、問題となった男性社員の行為が「業務外の行動」と明記されました。

それにも関わらず目立っていたのは、「ご本人(当事者女性)の同意の上、事実関係に照らして投稿を削除いただきました」「事件性はなかった」といった姿勢でした。

さらに、社長個人のTwitterには「無事に解決に向かっております」という文言が記され、noteには社長自身の見解や、事実関係を調査した行動に対して納得がいかないような内容が書かれていました。

A社のサービスの脆弱性にも炎上の矛先

A社と社長の利己的な言い分に対し、この女性はTwitter上で反論。納得していない意思が鮮明になったことから、A社の公式リリースと社長個人の投稿は2次炎上を引き起こす結果となってしまいました。

さらに、批判の矛先はA社が運営するオンラインの面談プラットフォームのシステムの脆弱性にも向けられ、3次炎上も発生。世の中の注目がさらに集まった結果、一連の問題に対する投稿数の減少ペースが鈍化し、事態の収束までにはかなりの時間がかかりました。

A社の事例から学べる炎上時の「危機管理」は、社長や社員の個人発信はNGであるということです。

企業としての炎上なら、あくまでも企業からの発信のみに統一し、出せる限りの情報を迅速に伝える必要があります。

炎上は一度起こると飛び火が避けられません。相手がいる場合は早期の解決を急ぐのではなく、双方が納得できるようにすることが先決です。

炎上時も「危機対応支援サービス」で収束までサポート

社内の不祥事や何らかのトラブルについてネット上で批判が出た場合は、「危機対応支援サービス」が効果を発揮します。

「危機対応支援サービス」はインターネット上の口コミやニュース記事などを収集し、ネガティブかポジティブかという論調を把握します。これを通じてインターネット上の動向を分析することで、今後のリスクの度合いを診断します。

非常時には、緊急窓口のコールセンター立ち上げやマスコミ向け記者会見のセッティング・運営、プレスリリースのライティングサポートといった対応を提携会社と連携し支援します。

さらに、事態が落ち着くまでの間もインターネット上の投稿やネットメディアの動きをモニタリングし、あらゆる変化を見逃さずに報告します。

検索エンジンはリアルタイムで汚染される恐れがあるため、関連キーワードは常時監視し、不適切な語句がヒットした場合は速やかに鎮静化させます。

ネット炎上のリスクを遠ざけ、有事の対応も誤らないようにするには、十分なデータと専門的な知見に基づくスピーディーかつ的確な判断が欠かせません。

「問題察知」と「緊急対応」を軸とするデジタル・クライシス対策の強化をお考えの場合は、国内ナンバーワンの契約実績と高い信頼性、豊富なノウハウが強みの弊社まで、お気軽にご相談ください。

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