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元首相銃撃事件から考える有事の企業コミュニケーション

公開日:2022.08.25 最終更新日:2022.10.04

首相を経験した有力政治家が白昼の街頭で銃撃されるという前代未聞の大事件は、インターネットの世界にも強い衝撃を与え、さまざまな現象を引き起こしました。有事の企業コミュニケーションは、どんなことに注意を払うべきなのでしょうか?事件発生後にネット上で露呈したリスクや危機管理対策のポイントについて、詳しく解説します。

「まさか!」白昼の凶行にネットも騒然

奈良市内で街頭演説に立っていた安倍晋三元首相が白昼の市街地で銃撃され、命を奪われてしまった事件。多くの聴衆の目の前で起こった大胆かつ卑劣な凶行は、社会全体に強い衝撃を与えました。

動揺が広がったのは、インターネットの世界も例外ではありません。

日本経済新聞がTwitterの発信状況を調べたところ、安倍元首相の苗字がキーワードに含まれた事件前のツイート数は1時間当たり3,000件台でした。
しかし、事件発生後の7月8日午後0時台には、300倍に迫る約85万件に急増したのです。

その後はいったん収まったものの、「死亡」のニュースが広まった午後6時台には約70万件と再び急伸します。

メディアやインフルエンサーは自粛ムード一色

安部元首相の訃報を嘆く声がSNSに多数書き込まれる中、多くのメディアやインフルエンサーが踏み切ったのは、当日予定していた番組の放送やライブ配信の自粛、または内容の変更です。

これらの動きと並行し、民放各局のテレビ番組でも本来放送されるはずだったCMがACジャパンの広告に続々と切り替わりました。

このような現象が広がったのは、スポンサー企業が2つの判断を下したためと分析されています。
1つは、多くの視聴者が暗い気持ちでテレビを見ている状況下でCMを流しても、十分な効果は期待できないということ。もう1つは「不謹慎だ」という視聴者からのクレームを恐れたということです。

事件の発生直後から、Twitter上では「不謹慎」のキーワードを用いた投稿が一気に増え、7月8~11日の4日間では14万7,942件を数えました。

Twitter上では「不謹慎だ」との非難を浴びないよう配慮した投稿や、自らが「不謹慎だ」と感じた事象をやり玉に挙げた投稿が多数確認されています。

Web広告に矛先が向けられた「不謹慎狩り」

テレビCMが比較的早い段階で切り替わった中、ネットユーザーの批判の矛先が向けられたのは、テレビCM以外の広告でした。

Twitter上では、安倍元首相の搬送先の病院が開いた記者会見のバックボードが病院の広告だったことや、本人の死亡を伝えるニュースサイトに葬儀社の広告が挟まれていたことに対して「不謹慎だ」との指摘が続出しました。

さらに、死去のタイミングで大量のプロモーションを展開していたショッピングサイト、襲撃事件を彷彿とさせる「銃」「殺し屋」などが登場する漫画・アニメのWeb広告にも憤りをぶつける声が上がったのです。

不謹慎と捉えられる広告をネットユーザーが探し出して吊るし上げた行為は、まさに「不謹慎狩り」そのものでした。

大きな被害をもたらした災害が発生したりや著名人が亡くなったりしたときなどに、場違いと受け止められる情報を発信した企業や個人を無神経と決めつけて糾弾するもので、誹謗中傷など度が過ぎた攻撃にエスカレートすることもあります。

不用意な発信を防ぐために必要なSNS運用ガイドライン

もちろん、いかなるときも収益を確保しなければ存続できない企業にとって、「不謹慎狩り」の標的にされるのは理不尽なことでしかないでしょう。

しかし、有事の際におけるSNSユーザーとの適切なコミュニケーションの在り方を日ごろから意識し、ルールを策定しておくことでネット炎上などの被害を避けられるなら、それに越したことはないはずです。

過去には、多国籍エンターテインメント企業の日本法人が70回目の長崎原爆忌にTwitterの公式アカウントで「なんでもない日おめでとう」という不用意なメッセージを発信し、炎上してしまいました。

このように、これから発信しようとする内容が時宜にかなっているかどうかをチェックさえしていれば防げたに違いない炎上事案は、枚挙にいとまがありません。

世の中を揺るがす事件や災害などが発生したとき、あるいはそれらの出来事の節目となるタイミングは、細心の注意を払わなければならないのです。
それは、SNSの企業公式アカウントを運用する担当者だけではなく、個人でSNSを利用する従業員にも当てはまります。

では、「細心の注意」とは、具体的にどんなことを指すのでしょうか?

平時の発信も含めて守らなければならない社内のルールや万一の事態が発生した際の的確な対応手順が、SNS運用ガイドラインというわけです。

非常時の広告配信などの是非を判断する社内体制も不可欠

非常時に備えては、各種広告やSNSコンテンツの配信を停止すべきかどうかを迅速に判断するための社内体制づくりも欠かせません。

情報の共有ルートや連絡先をあらかじめ設定し、具体的な判断基準も定めておくことが重要です。

ネットユーザーは企業がどう対処するかだけでなく、どれだけ素早く行動に移せるかも凝視しています。
同業他社など周りの動きを見てから検討を始めるということでは遅いのです。

とは言え、SNS運用ガイドラインや社内の検討体制をどう構築したらいいのか分からないというケースも少なくないでしょう。
何より、従業員自身が炎上リスクの重大さを認識していないまま制度だけを整えても、「仏作って魂入れず」ということになりかねません。

立場や役割に応じたリスク対策研修のプログラムを用意

国内唯一のデジタル・クライシス対策カンパニーであるシエンプレは、顧客企業の実情に合ったSNS運用ガイドラインなどの策定や見直しを適切にサポートします。

また、一般の従業員、SNS運用担当者、危機管理対応に関わるプロジェクトチームのメンバーや管理者、さらには経営幹部に向けたリスク対策研修のプログラムをきめ細かくラインナップしているのも強みです。

研修では、実際に起こった炎上事例の経緯や顛末をケーススタディとして詳しく解説します。
弊社が運営する「シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所」が最新の炎上傾向をまとめた月次レポートを受け取り、他山の石とすることも可能です。

過去の大きな事件・事故などを基に作成したオリジナルの「リスクカレンダー」と併せて活用すれば、炎上リスクの回避に役立ちます。

炎上の予防と早期収束を図る幅広い対応をサポート

顧客企業を炎上被害から守る弊社のサービスは、これだけではありません。

24時間体制のWeb/SNSモニタリングは、炎上に発展しそうな顧客企業のコンテンツをいち早く察知します。

万一炎上が発生した場合も、公式サイトでのニュースリリースや企業見解の発表について的確な助言を行い、必要となればメディアに反論記事や検証記事を掲載。専門的な知見をフルに発揮し、炎上が収束するまでしっかりサポートします。

炎上はいつ、何がきっかけで起こるか分かりません。
十分な備えがなければ、その後の企業活動に支障が出るほど燃え広がってしまう恐れもあります。
デジタル・クライシス対策の強化をお考えの場合は、国内ナンバーワンの契約実績と信頼性、豊富なノウハウを誇る弊社に、ぜひご相談ください。

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