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公式Xの炎上・インフルエンサーなどSNS炎上事例で見るリスク管理の重要性と解決策とは(デジタル・クライシス白書-2025年3月度-)【第132回ウェビナーレポート】

公開日:2025.04.11 最終更新日:2025.04.15

女性用インナーだけモデルが着用 ECサイトの見せ方が物議

桑江:最初のテーマは「ジェンダー・フェミニズム」です。無印良品のECショップのモデルに関する投稿が物議を醸しました。

投稿者は、自身のXで「公式サイトでインナーを探していたら、パンツだけ履いた女性の下半身の写真サムネがぞろぞろ出てきて『キモ!』ってなった」「紳士・子ども用はパンツの写真だけ。何で女用のパンツだけモデルに履かせて撮ってんだよ」などと苦言を呈しました。

これらの投稿が拡散されると、SNS上では「こんなところに性別による扱いの違いが転がっているとは驚き」「女性は見た目や着用感を大切にするし、モデルが着用するのは至極真っ当だと思う」など、さまざまな意見が飛び交いました。

前園:この広告が、賛否両論が出るコンテンツであることは間違いありません。ただ、男女の見せ方で何らかの違いがあることに嫌悪感を持つ方がいるということは、しっかり押さえておかないと、想定外の方面から批判を浴びてしまう可能性があります。

九州は男尊女卑の意識が根強い?

桑江:次は「偏見・差別」です。西日本新聞が「男尊女卑やゆ『さす九』、SNS拡散、住民『地域差別感じる』」とする記事を掲載し、異論が続出しました。

記事では、「さすが九州」を意味する「さす九」という言葉が、男尊女卑の意識が根強いとされる九州を揶揄するネット用語と説明した上で、地元から「地域差別だ」という批判的な声が上がっていることを伝えました。

西日本新聞の公式Xが、その記事のネット版をアップすると、SNS上では「九州生まれ、九州育ちですが、男尊女卑がひどいのは確か」「博多出身ですが、そんなことはない。九州男児と一括りにされるのは困る」といった賛否両論の声が寄せられました。

前園:主語の範囲が広いテーマに関するネガティブな意見については、「そうではない」という反論が必ず生まれます。

さらに、ネガティブな意見の内容が極端であるほど、反論の声は大きくなります。西日本新聞が、そのような状況を想定していたかどうかはわかりませんが、本件は十分に炎上リスクが考えられるトピックでした。

炎上している企業の公式Xをフォローした他社の行動に賛否

桑江:続いては「SNS運用」です。若い女性が頬を赤らめながら「赤いきつね」を食べるアニメCMをWeb上で公開した東洋水産が、「セクハラ」などの批判を受けて炎上しました。その直後、同社の公式Xをタニタの公式Xがフォローしたことが、波紋を呼んでいます。

タニタ側によるフォローの後、東洋水産側は「タニタさんがフォローしてきた!にげる ぼうぎょ はかる なかまになる」と投稿し、タニタ側は「怖がることはないんだよ。友達になろう」と応じました。

このやり取りが話題となったSNS上では、「このタイミングで、タニタに失望ですね」「こういうノリ。スゲー冷めるな」「社の意向ってことで良いですか」といった批判の声が上がりました。

一方で、「タニタさん!応援してます!」「これを見てタニタさんに興味を持ちました」などの好意的な意見も見られ、議論はさらに過熱しました

前園:渦中のアカウントに絡んだタニタ側が、自社に騒動が飛び火する可能性をどこまで想定していたのかが気になります。

東洋水産は騒動後も平常運転を続けていますが、企業が自社を取り巻く炎上に沈黙を貫いた場合、振り上げた拳を下ろせなくなった消費者が、公式Xの動向などに批判の矛先を向けることは十分あり得ます。企業の皆様は、そのようなリスクを取らないようにしていただくことも重要かと思います。

郵便配達員と化粧前の女性のコメディ形式動画が炎上

桑江:日本郵政が公式Xで公開したショート動画に批判が殺到し、同社が謝罪しました。動画は「絶対にすっぴんを見られたくない女性」と「荷物を届けたい配達員」のやり取りをコメディ形式で描いた内容でしたが、多くの視聴者から「女性をバカにしている」「制作意図が不明」「顧客へのヘイト」といった批判が上がりました。

さらに、過去に発生した配達員によるわいせつ未遂事件を引き合いに、「日本郵政が公開すべき内容ではない」と問題視する向きも見られました。

前園:女性が自身の立場として「すっぴんを見られたくない」というようなコンテンツを発信する分には、炎上しにくいと思います。しかし、立場が強い側の企業や人物が立場の弱い相手をネタにするのは、いじめと同じ構図に見えて不快感を与えてしまいます。

「面白系コンテンツ」が流行っている中、多様なコンテンツをオマージュしながら自社のコンテンツを制作する流れは変わらないでしょう。本件が批判された理由は、主語や目線が変わった場合の影響を考慮できていなかったからだと思います。

ライブ公演中の痴漢被害を告発した女性への対応に批判

桑江:人気バンド「礼賛」の大阪ライブに訪れていたファンの女性が、公演中の痴漢被害を訴えましたが、スタッフ側の対応に不満を抱き、その一部始終を自身のXに投稿しました。

投稿が拡散されると、SNSではライブを運営した「キョードー大阪」と「キョードー関西」への批判が相次ぎました。しかし、キョードー大阪側は、警察の立ち会いのもとで痴漢行為が確認されなかったことなどを主張した声明文を発表しています。

また、声明文では「被害申告者の投稿についての補足説明」として、女性の投稿を無断で引用し、投稿内容に反論するコメントも掲載しました。

同社の対応について、SNS上では「被害申告者の投稿を勝手に添削するのは問題がある」などの批判が再び広がりました。

前園:痴漢という犯罪は、事実関係の調査などが困難ではあります。しかし、少なくとも安全・安心な環境で公演を楽しんでいただけなかったことは、お詫びすべきだったと思います。

それにもかかわらず、痴漢被害の有無に焦点を当ててしまったため、否定的な意見が広がってしまいました。こうしたトラブルが発生した場合の謝罪の対象や内容について、リスクシナリオの準備が不足していたと感じます。

低評価の口コミを投稿した客への対応が炎上

桑江:京都のラーメン店「TOYOJIRO (とよ二郎)」が、低評価の口コミを投稿した客に対し、過剰な反応を示したとして問題視されました。

投稿者に対し、店側は「しょうもない口コミ書いてたら探すで?はよ来いボコボコにしたるから」などと脅迫的な言葉を返し、本人が再来店して高評価の口コミを投稿することを要求しました。

また、同店の公式Instagramでは、監視カメラの映像をもとにした客の顔を公開した上、情報提供者には10万円の報酬を出すとしました。

一連の対応は大きな批判を招いて炎上し、店側は「いきすぎた行為に対しては反省致しております」と表明しています。

前園:低評価の口コミ投稿は、犯罪行為ではありません。監視カメラで撮影した映像の公開は防犯目的の用途外で、肖像権・プライバシー権の侵害に該当する可能性があります。

口コミに関するトラブルは、毎月のように発生しています。一定規模以上の企業になると、あまり見かけませんが、注意しておくに越したことはありません。

人気ファッション誌の「看護師不倫コーデ」企画に批判

桑江:最後は「その他」です。光文社発行の女性ファッション誌「CLASSY」の人気企画「着回しDiary」がThreadsで話題となり、物議を醸しています。

最新号では「泥沼不倫中のオペ看護師」をテーマにし、SNS上では「医療従事者をバカにしている」「職業に偏見を与える」などの批判が巻き起こりました。

騒動はXにも拡散し、不倫やネット炎上を題材にした内容には、特に医療従事者から辛辣な批判が相次ぐ事態となりました。

前園:X上では、さほど盛り上がっていなくても、Threads内で話題になった事象は多数あります。

Threadsには、いわゆる「インプレゾンビ」が金銭的なメリットを享受できる仕様はありませんが、本件に関する投稿は約140万回も表示されています。X上のみの論調を頼りにリスク度を判断することの危険性は、徐々に増していると思います。

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