フジテレビのスポンサー対応から考察する企業の炎上リスクマネジメント
- 公開日:2025.03.14 最終更新日:2025.03.24

元タレント・中居正広氏の女性トラブルに端を発したフジテレビ問題は、顕著なスポンサー離れを招きました。一方、CM放映をいち早く再開した企業もあり、ネット上では賛否両論が巻き起こっています。今回の記事では、スポンサーの動向に見る企業対応のポイントについて解説します。
炎上危機管理の専門家が指摘するフジテレビの一連の対応
※2025年1月10日時点 フジテレビと中居正広氏に関する一連の流れ 前薗:2024年12月19日、女性セブンが中居正広...
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100社超がスポンサー撤退とCM差し止めを宣言
元タレント・中居正広氏の女性トラブルに対するフジテレビの対応は、多くのスポンサー離れを引き起こすこととなりました。
スポンサー撤退とCM差し止めを宣言した企業は100社を超え、同社の2025年3月期の広告収入は従来計画を233億円も下回る見通しとなりました。そのため、2008年の持ち株会社移行から初の単体赤字に転落することが予想されています。
振り返ると、同社のスポンサー離れが始まったのは、2025年1月17日の定例記者会見がきっかけでした。

会見への参加が許されたのは「ラジオ・テレビ記者会」「東京放送記者会」の加盟社である一般紙とスポーツ紙、通信社で、加盟していないNHKと民放キー局の記者は、各社1人がオブザーバーとして参加することしか認められませんでした。
さらに、週刊誌やネットメディア、フリーランスの記者は完全に閉め出され、テレビカメラも入れなかったことで会見映像は一切なしとなりました。
報道機関とは思えない閉鎖的な対応に、世間では猛批判が巻き起こりました。怒りの矛先はフジテレビにとどまらず、スポンサー企業に対しても向けられ、不買運動をにおわせる投稿が相次いだのです。

こうした論調の強まりを受け、トヨタ自動車などの大手企業はフジテレビでのCM差し止めを続々と発表しました。SNS上では賛同の声が多く見られたと同時に、差し止めていない企業への批判が強まることとなりました。

鶴瓶氏の広告見合わせには「過剰な反応」と批判
こうした中、トラブル発生の直前に中居氏の自宅で開かれたバーベキューパーティーに笑福亭鶴瓶氏をはじめとする大物芸能人が参加していたことが週刊誌で報じられました。その後、鶴瓶氏を広告起用していたスシローは写真を削除しました。
メディアの取材に対し、同社は「お客様から様々な声をいただいている現状を踏まえ総合的に判断しました」と回答しています。
しかし、SNSでは「過剰に反応しすぎ」といった声が多数寄せられ、同社は公式サイトで「笑福亭鶴瓶様および所属事務所の皆様にご迷惑とご心痛をおかけし、深く反省しております」と謝罪しました。
いち早くCMを再開した企業に賛否両論
一方、給湯器事業などを展開するキンライサーは、多くのスポンサー企業がCM放映の再開を見合わせる中、CMをいち早く再開したことをXで報告しています。
この決断に対し、ネット上では賛否両論が寄せられることとなりました。同社は「今回のCM再開が、未来を信じて努力を続ける方々への励ましの一つになることを願っております」と再度のコメントを発表しています。

フジテレビは、若手・中堅社員を中心とした「再生・改革プロジェクト本部」を設置し、問題の再発防止と社内の風土改革に取り組む構えです。3月末には第三者委員会による調査報告書が公表される予定で、スポンサーの多くは同社の対応を見極めながらCM再開の是非を判断するとみられます。
旧ジャニーズ問題でも問われたスポンサー対応
今回の騒動で思い起こされるのは、旧ジャニーズ事務所の創業者による性加害問題へのスポンサー対応でしょう。
2023年9月7日に同社が開いた記者会見では、社名をそのまま残そうとしたことや、株式を100%保有する創業者の姪が社長辞任後も代表取締役に残留しようとしたことが、「解体的な出直しには程遠い」と非難されました。その結果、多数の企業がジャニーズタレントの広告起用取りやめや、契約を更新しない方針を決定しています。
スポンサーの中には、9月7日の記者会見後に新CMでジャニーズタレントの起用を続ける方針を明らかにしていたにもかかわらず、一転して継続しない方針を発表したケースが見られました。ただ、一貫性のない対応に寄せられたのは、多くの批判でした。
また、所属するタレントやスタッフに他社への移籍を促すコメントを発表した企業は、「広告に起用する側からの圧力と受け取れる」との指摘を受けました。
こうしたことから、炎上企業をスポンサードしている場合は、その後の対応についての意思決定を行った理由・観点を明確にすることが求められます。人権侵害などが疑われるセンシティブな事案ほど、毅然とした姿勢を取らざるを得ないでしょう。
その際は、世論の流れや自社が掲げているポリシーに即して、一貫した対応を行うことも重要です。すぐに指針を示すことが難しい場合は、調査中・検討中である旨を先んじて告知し、明確な方針が決定し次第、迅速に対応する必要があります。
過去の炎上事例に学んだ論調分析と行動判断が重要
シエンプレが考察したフジテレビ問題に見る企業対応のポイントは、以下の通りです。
■論調分析の重要性
・現時点(2025年2月時点)では、第三者委員会の調査結果が公表されておらず、フジテレビ問題の事実関係は曖昧です。現時点で、CMを差し止めた企業にはポジティブな投稿が、差し止めていない企業には批判的な投稿が多く確認されています。
・今回の問題では、1月17日のフジテレビの定例記者会見への批判が高まり、スポンサー企業に対する投稿が増加したため、その時点でのCM差し止めが最適だったといえます。
・起こった事象に対して、世間の論調がどうなっているのかを迅速に判断するためには、ネット上の意見を常にモニタリングすることが重要です。
■CM差し止めのタイミングや判断軸
・フジテレビの定例記者会見が批判されたタイミングで迅速に対応したトヨタ自動車などに対しては、好意的な意見が見られました。一方、スシローが鶴瓶氏の広告を止めたことについては、批判的な投稿が多く確認されました。
・旧ジャニーズ事務所の炎上事例など過去の炎上を学ぶことで、どのようなタイミングで、どのような対応をするべきかを推測し、行動することができます。炎上事例は常にキャッチアップし、成り行きをインプットすることが重要です。
シエンプレが炎上リスクマネジメントを包括サポート
弊社の「Web/SNSモニタリング」サービスを活用すれば、自社に対する世間の論調を常に把握・分析できます。対応の優先度まで整理してご報告するため、高い費用対効果を得ることが可能です。
万一炎上した場合も、「危機対応支援サービス」を通じて包括的なサポートを提供します。炎上時は、ネット上の口コミ評判やニュース記事などの論調をモニタリングし、想定されるリスクを可視化します。
提携会社と連携した緊急のコールセンター開設や、記者会見のセッティング・運営、メディア側からの疑念を解消するプレスリリースの作成といった事後対応もお任せください。
事態が収束するまでは、顧客企業に関するオンライン上の投稿やネットメディアの論調を把握・分析し、世論の動向も漏れなくお伝えします。
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