大炎上のフランス視察から考察する事後対応のリスク
- 公開日:2024.04.24 最終更新日:2024.07.29
もしもSNSで炎上を起こしてしまった場合、早期収束のカギを握るのは事後対応です。方法を誤れば世論の怒りを買うことになり、炎上は拡大するばかりです。今回の記事では、有事の際に必要な体制について考察します。
目次
エッフェル塔をバックにしたポーズ写真が炎上
長かったコロナ禍が落ち着き、停滞していた経済・社会活動は活況を取り戻しています。
旅行や外食、音楽イベントにスポーツ観戦。政治の分野では、国・地方の議員の海外視察も復活しました。
オンラインのビデオ会議システムが普及した中では、何ともアナログに思えます。しかし、国家要人の会談や議員の視察などは、やはり現地に赴いて直接やりとりすることに意義があると言えるでしょう。
ただしコロナ禍の前から、まるで物見遊山のような豪華な旅程の海外視察が、メディアや有権者に批判されるケースがたびたびあったのも事実です。これらの視察には多額の税金が使われますので、問題視されるのも当然です。
2023年7月下旬、フランス視察に参加した与党女性局の国会議員が非難を浴びたのも、まさにそのパターンでした。
SNSでの発信が引き金となった今回の事例は、炎上後の対応のまずさが火に油を注ぐ結果となり、さらに炎上が拡大してしまいました。
炎上後の対応が重要なのは企業も同じで、学ぶべき教訓は多いと言えます。
与党女性局の国会議員がフランス視察に出かけていたことを知る人は、決して多くなかったに違いありません。そんな状況を一変させたのは、女性局長の立場にある議員が自身のSNSアカウントにアップした1枚の記念写真でした。
エッフェル塔をバックに笑顔でポーズをとる姿は「観光旅行ではないか」「税金の無駄遣いだ」という反発を買い、たちまち炎上したのです。 その後も、一行をめぐっては航空機のファーストクラスに搭乗した疑惑が浮上。女性局長の子どもが同行していたことも発覚し、炎上が加速しました。
火に油を注いだのは自己判断による反論
これに対し、視察に参加した複数の議員は口々に反論しました。 「税金の無駄遣い」については「党費と参加者の自腹」と否定。「観光旅行」の指摘には「国内の地方視察より過酷で、ほぼ自由時間はない」と主張しました。
ところが、SNS上では「党費の7割は税金が原資」との反発が殺到。さらに、週刊誌が公開した視察のスケジュールによると、3泊5日のうち研修時間はわずか6時間でした。 「6時間のどこが過酷か」といった批判が集まったのは、当然だったと言えるでしょう。
結局、女性局長は党本部で謝罪し、ポストの辞任を余儀なくされました。しかし、これで幕引きとはならず、地元選挙区の党支部は党本部に対して、支部長に就いているこの女性議員の更迭を申し入れています。
フランス視察で批判を浴びた別の議員が再び海外視察に出かけたことも疑問視されるなど、問題は今なお収まっていません。
この炎上が広がった背景には、多くの国民が物価高騰に苦しんでいる最中という社会的な要因もありました。 しかし、当初の批判に対して各議員が自己判断で反論しなければ、これほどまでに炎上が拡大することはなかったでしょう。
そもそもなぜ、視察以外の写真をアップしたのか?
今回の旅行の目的は、フランスの少子化対策について学ぶことでした。
視察にいそしんでいる場面ならまだしも、エッフェル塔をバックにはしゃいでいるだけの写真を公開したのは、極めて軽率だったとしか言いようがありません。
企業などの組織に属している社会人は、職場の看板を常に背負っています。
上司や同僚の目が直接届かない出張時でも、世間から指摘を受ける恐れがある行動を慎むのはもちろん、プライベートな写真を安易に公開することは避けるのが常識でしょう。
視察メンバーには、そんな当たり前の常識が欠落していたのかもしれません。
一連の騒動は、SNSで安易に投稿することの危険性を改めて知らしめることにもなりました。
大切なのは、投稿を見たユーザーがどのように感じるかという「受け手への配慮」です。
それを置き去りにした場合の代償が大きいことも、今回の炎上事案が物語っています。
一人ひとりの意識と組織としての対応が不可欠
では、こうした最悪の事態を招かないために組織として理想的なのは、どのような体制なのでしょうか。
端的に言えば、一人ひとりの意識レベルが高く、組織としての対応方針がしっかりと定まっている体制です。。
- SNS利用時の注意点などを学ぶ機会を設け、SNSのリスクについて一人ひとりが理解している。
- 炎上発生時の対応マニュアルや1次報告先があり、個人ではなく組織で対応する体制を構築している。
- 炎上発生時の対応部署があり、組織として一貫した方針のもとで対応できる。
- 専門機関によるアドバイスやサポートを受けられる。
つまり、有事の際も「組織」として迅速かつ誠実な対応をとれる体制が必要なのです。
個人の意識レベルを底上げする「従業員向けSNS研修」
まずは一人ひとりの意識レベルを高めるため、シエンプレはeラーニング講座のサービス「従業員向けSNS研修」を提供しています。
個人SNSアカウントの利用上の注意点はもちろん、他社の従業員が起こした炎上事例と発信者の悲惨な末路、自社のSNS利用規定の作成、企業として定めておくべきSNS運用ガイドラインの説明など、充実した講座を手軽に活用できるのが特徴です。
また、「SNS管理士検定」 は、企業のリスク管理や広報、マーケティング、法務などに配属される新人社員やアルバイト向けの研修・教育コンテンツとして活用できます。
社員にとっては、SNSの使い方を誤ったばかりに懲戒解雇処分や損害賠償請求などを受ける事態を避けられ、企業にとっては、社員が起こした炎上が自社に飛び火することを防げるメリットがあります。
「危機対応支援サービス」が炎上収束までサポート
また、有事にも強い組織を築く上では、弊社の「危機対応支援サービス」が炎上収束までサポートが効果を発揮します。
このサービスは、まず顧客企業に関するネット上の口コミやニュース記事などを収集・分析し、ネガティブとポジティブの論調に区分します。次に、その結果を踏まえて今後のリスクの度合いを診断し、炎上防止を図ります。万が一炎上が発生した場合には、提携会社との連携による緊急窓口のコールセンター立ち上げや、マスコミ向け記者会見のセッティングと運営、プレスリリースのライティングなど、煩雑な企業対応を全面支援します。
さらに、事態が落ち着くまでの間、顧客企業に関するネット上の投稿やネットメディアの動きをモニタリングし、あらゆる変化を見逃さずに報告します。 リアルタイムで汚染される可能性が高い検索エンジンもしっかりと監視。そこで表示される顧客企業の関連キーワードを分析し、不適切な文言がヒットした場合は、速やかに鎮静化します。
ネット炎上のリスクを避け、有事の対応も誤らないようにするには、スピーディーかつ適格な判断が必要です。そのためには、専門的な知見が欠かせません。
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