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「生成AI」のクリエイティブ活用は是か非か?大手ファストフードチェーンの事例から考察する注意点

公開日:2024.09.04 最終更新日:2024.09.19

生成AIの進化が加速する中、企業の業務利用も広がっています。一方、著作権やディープフェイクなどの問題も懸念されており、世の中ではクリエイティブへの活用が賛否両論を巻き起こしています。生成AIコンテンツを巡る論調と、活用時の注意点などを考察します。

AIアーティストとのコラボ動画に賛否両論

一般財団法人日本情報経済社会推進協会が、2024年4月に公表した「デジタル社会における消費者意識調査2024」によると、生成AIに関するイメージは「先進的・最先端・便利」と感じる人が多くいました。

一方、64.2%に上る人が「知っているが利用したことがない」と回答。生成AIを使ったサービスの普及に対しては、「誤った(不確かな、偏った、嘘の)情報が自分に提供されること」「誤った情報が世の中に拡散されること」に対し、40%以上の人が不安を感じていることが明らかになりました。

こうした不安を反映したかのように、2024年8月、自社商品のセールスを告知する大手ファストフードチェーンA社の生成AI動画に対し、賛否両論が巻き起こりました。 公式Xアカウントで公開された動画は、女性AIアーティストとのコラボレーションによるもので、約16秒間の映像のインプレッション数は1000万回を超えています。

インターネット上では「すごい」「技術の進歩を感じる」といった肯定的な意見が上がった半面、「気持ち悪い」「不気味」「人生を懸けて技術を磨いてきたクリエイターを軽視し、ばかにした振る舞い」といった否定的な意見も多く寄せられました。

映画情報サービス会社は「軽率な行動だった」と謝罪

これに先立つ2024年7月には、国内最大級の映画レビュー(口コミ)数を誇る映画情報サービスを提供しているB社です。生成AIで作成し、公式Xで公開したCMにも、否定的な意見が相次いでいます。

B社は多くの意見と批判が届いたことを受け、公式ホームページとSNS上で「昨今の映画・映像製作と生成AI技術を取り巻く状況への認識不足による、映像作品、そして映画製作に携わるクリエイターの方々への敬意に欠けた、軽率な行動であったと深く反省しております」とする謝罪文を公開しました。

この他、大手薬局チェーンや自治体、国の機関が生成AIを使って作成した画像に対しても、「法的にグレーなツールを安易に使うべきではない」「AIの使用はイラストレーターの仕事を奪う」といった否定的な意見が散見されています。

著作権やディープフェイクなどへの懸念払拭が必要

これらの事例から見えてくるのは、生成AIに関する著作権など法的境界線の曖昧さと、否定的な意見の根強さです。
生成AIで動画やイラストを制作すること自体には問題はありません。しかし、生成AIはディープラーニングによって多様なデータを学習する仕組みを持っています。このため、生成された作品に類似した著作物が存在する場合、公開の際に指摘を受ける可能性があります。この点に留意する必要があります。

実際に、著作権などの問題を巡っては、著作権侵害ではないかと懐疑的な意見が多く聞かれます。クリエイターに制作を依頼しないことに対しても、「クリエイター軽視」の批判が根強く存在します。
また、生成AIには、ディープフェイクへの懸念も存在します。ディープフェイクは、ある映像や画像、音声の一部を生成AIで加工し、現実には存在しない映像などを作成すること、あるいはそれによって生み出されたコンテンツです。

顧客の信頼を失わないためにも、生成AIのコンテンツを用いる際は、生成AIを使用したコンテンツであることを明記する必要があります。先に触れた国の機関の事例も生成AIによるコンテンツと明記していなかったことから、「AIによるイラストだ」と指摘するコメントが散見されました。
加えて、「なぜ、生成AIを使ったのか」「権利への配慮をどれだけ丁寧に行ったのか」ということも明確にし、外部に説明できるように準備しておくことが求められます。

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