「炎上」の始まりはいつ?直近のトレンドも紹介!
- 公開日:2024.12.25
SNSなどでの「炎上」は、今や毎日のように発生しています。組織の規模や業種・業態を問わず、「炎上とは無縁」と言い切れる企業は存在しないと言っても過言ではありません。では、この「炎上」は何をきっかけとして始まり、どのように移り変わってきたのでしょうか?今回の記事では、炎上トレンドの歴史をひもときます。
炎上の始まり
シエンプレが運営するデジタル・クライシス総合研究所による2021年12月のランチタイムウェビナーにゲストで参加したライター・編集者の中川淳一郎氏によると、国内初の大規模な炎上事案は2003年に発生したといいます。
「炎上」の原点とも言えるこの事案は、居酒屋で騒ぐ子供の行動に苦言を呈した店員に逆上した母親が、夫らと一緒に暴行を加えたという話を自らの掲示板に記したことが発端でした。過度な悪ふざけの様子をSNSに投稿して炎上騒ぎを起こす「バカッター」の元祖とも言え、この母親は多くのネットユーザーに身元を晒されてしまいました。
総務省の「令和元年版 情報通信白書」(総務省|令和元年版 情報通信白書|ネット上での炎上を巡る議論)には、「日本国内での炎上発生件数はモバイルとSNSが普及し始めた2011年を境に急激に増加しており、個人・企業問わず炎上の対象となっている」と表記されています。
もう少し詳しく年代を追うと、2007年のiPhone発売、2008年の旧Twitter、Facebookの登場など、SNSを通じたコミュニケーションが爆発的に広がった中で「炎上」が周知されていったと考えられます。
過去5年間の炎上トレンド
●2019年の主な事例
「バイトテロ」が国内で初めて注目されたのは2007年のことですが、2019年2月にInstagramのストーリーズに投稿された不適切動画は、それまでのバイトテロの投稿と比べて悪質さが際立っていました。
定食チェーンの厨房で撮影された動画には、商品のプリンを口に含んだまま騒いだり、ズボンを脱いだ下半身を配膳用のトレイで隠したりするアルバイトの非常識な行為が収められていました。
テレビのニュースなどでも多く取り上げられて「炎上」に発展したのは、消費者庁が健康食品の製造・販売を手掛ける会社の企業名と商品名を公表し、「健康被害」への注意を喚起した事案です。「健康被害」に関して企業側が反論すると、今度は公表内容になかった問題がクローズアップされ、あらゆる切り口から徹底的に調べ上げられることとなりました。
●2020年の主な事例
2020年は、新型コロナウイルス関連の炎上事例が多発しました。コロナ闘病の体験談をマスコミの電話取材で語った有名芸能人は、医療が逼迫している状況で多くの人が医療機関のたらい回しにあっている中、「たまたま病床が空いていたから」と発言し、世間の怒りを買いました。
飲食業界もさまざまな予防策を取り始めた中、「県外からの来店客を拒否する」という動きが物議を醸しました。一方、人気ラーメン店の店内に掲示された「コロナはただのカゼ」と断言する貼り紙が来店客によって撮影され、旧Twitterで拡散し炎上しました。
この年は、ネット上での自身に対する誹謗中傷を苦にした女子プロレスラーが自ら命を断つ事件も起こり、侮辱罪が厳罰化される契機となりました。
●2021年の主な事例
2021年もコロナ関連の炎上事案が続く中、東京五輪に関する炎上事例も見受けられました。東京五輪開催の賛成派を「やりたいやりたい病」と言い表したタレントは、「病気扱いはさすがにひどい」との批判を浴びています。反対に、元東京都知事の人物は五輪反対派を「愚か」と評したツイートを投稿して炎上しました。
コロナ関連では、関東地方の小・中学校のプール授業で、子どもたちが水泳用マスクを着用している様子が報道され、地元の教育委員会に多数のクレームが寄せられました。
ある大手住宅メーカーを巡っては、社長が社員にワクチン禁止令を出していたと週刊誌で報じられました。週刊誌が入手した社内資料に書かれていたのは「ワクチンを接種した場合は無期限の自宅待機とし、その間は欠勤(無給)扱いとする」という通達で、世間から「理不尽だ」との猛反発を浴びました。
●2022年の主な事例
2022年に「炎上」した問題行動は、ジェンダー不平等や男女差別など、特定の層を不快にさせるような内容が目立ちました。
4月には、大手牛丼チェーンを運営する会社の男性役員が、自身が講師を務める大学の講座で、若い女性をターゲットとした自社のマーケティング戦略を巡り、性差別・人権侵害に当たる不適切な発言をしました。この会社は謝罪文を公表し、翌日付でこの役員を解任する事態となりました。
ある男性シンガーソングライターは、米国の女性ラッパーが2010年にリリースした曲などをつなぎ合わせて歌った2018年公開のMVが一部で問題視され、SNSで謝罪しています。歌詞に人種差別用語が含まれていたことが騒動の要因ですが、過去のコンテンツが掘り起こされ、炎上する場合があるということも知らしめた事案です。
●2023年の主な事例
1月下旬に起きた回転寿司店の事例を皮切りに、いわゆる「客テロ」と呼ばれる事象が連続して発生しました。2月も継続的に発生し、SNS上で大きな話題になったほか、テレビの報道番組などでも大々的に取り上げられました。
高校生が東日本大震災の被災者を嘲笑するような不適切動画を投稿して炎上した事案も、暴露系インフルエンサーが取り上げたことで幅広く話題になりました。
暴露系インフルエンサーのSNS投稿は、多いものだとインプレッション数千万件を超えるものもあり、中小のメディアよりもはるかに大きなインパクトを与える拡散力を持つほどになっています。
まとめ
最新事例を通して「炎上」のトレンドをよく知ることは、万全のリスク管理に繋がります。
生成AIを活用したクリエイティブへの批判など、新たな「炎上」のトレンドが生まれる流れは2024年も続いています。
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