チョコ菓子の異物混入騒動に学ぶ。事実誤認の投稿主に配慮し、ファンを魅了したメーカーの神対応
- 公開日:2024.12.20
企業がSNS炎上に巻き込まれた場合、早期に収束させられるかどうかは、初動対応にかかっています。ただし、初動がいくら早くても対応の中身を誤れば、火に油を注いでしまうことになりかねません。今回は、チョコ菓子への異物混入騒動の対応が称賛されたメーカーの事例から、炎上トラブルに向き合う際のポイントなどを考察します。
目次
ショッキングな画像や動画が拡散も、事実関係を冷静に精査
自社商品の不具合がSNS上で突如晒されて拡散した挙げ句、その内容が事実誤認だったとしたら、多くの企業はどのように対応するでしょうか?
2024年11月4日、青い包み紙を開けた人気チョコレート菓子に生きた虫が混入している画像や動画が、Xに投稿されました。
添付された動画に映っていたのは、幼虫とみられる乳白色の小さな物体が動いている様子です。その後、投稿者は「パーティー用に2、3日前に購入した」など、問題のチョコに関する複数の投稿も行いました。
「チョコの中に虫がいた」という投稿の約6時間半後、製造元のA社は該当商品が 「昨年以前に販売された商品」との推察とともに、 投稿主が購入した後に虫が混入した可能性を示唆する旨を投稿。投稿主に事実確認を行っていることと、投稿主と消費者に対する謝罪も記載しました。
事態が一変したのは、その翌日のことです。
虫の混入を告発した投稿者の保護者から、「今回投稿したチョコは、最近購入したものではなく、保存状態の悪いまま長期間保管していたものでした」との投稿があり、「2、3日前に購入した」という投稿内容は事実ではなかったことを謝罪しました。
とはいえ、チョコの中で虫がうごめくショッキングな動画は瞬く間に拡散されてしまい、一部の投稿は2000万件を超える表示数を記録したのです。
ネット上には「A社のチョコが好きだったのに、今回の件で食べられなくなった」という声も寄せられ、投稿主側が謝罪したからといってA社のダメージが帳消しになるとは言い切れない状況でした。
しかし、A社の公式Xは、事実誤認の投稿に関して「投稿主のご家族様とご本人様からお詫びのご連絡をいただきました」「投稿主様へのコメントやお問い合わせはお控え頂けますと幸いです」と投稿し、事実誤認の情報を流した相手に配慮する姿勢を見せました。
SNSユーザーからは称賛の声が続出
これに対し、SNSユーザーからは「何て丁寧なコメントなのだろう」「素敵な企業だなと思いました」「好感度が跳ね上がりました」といったポジティブな反応が続出しました。
もちろん、一部のユーザーから「偽計業務妨害で訴えないと失われた信用や疑念は晴れない」「手ぬるい態度はA社の信用問題となる」など、厳しい対応を促す声も上がったのは確かです。
しかし、シエンプレが運営する一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所が約12万件に及ぶ関連投稿の論調を調査したところ、A社の対応をめぐるポジティブな意見は全体の86.9%を占めました。
実は、A社は2013年にもSNS上に「チョコ菓子の中に虫が混入していた」というクレームが投稿され、拡散されたことがあります。
その際もA社は、苦情のあった商品は半年ほど前に出荷されたものであることを説明し、チョコレート・ココア製品の製造者団体のリンクを紹介した上で「写真の虫は生後30~40日以内の幼虫」と回答しています。
虫は商品の購入後に混入したという見解を論理的に証明した対応は、当時のSNSユーザーや消費者にも称賛されました。
異物混入への対応を3週間以上も怠った企業は大炎上
さて、A社の騒動と同時期に発生した異物混入の当事者として、早期の収束とは程遠い顛末を招いてしまったのが、別の菓子メーカーB社です。
東京都内でB社の菓子を購入した40代の女性は、袋の中にカメムシとみられる虫が混入しているのを発見し、B社のお客様相談窓口に問い合わせました。対応した担当者は、2週間以内に原因と状況を報告する旨を伝えたにも関わらず、3週間以上が過ぎても報告はないままでした。
その後、女性の夫が再び問い合わせた際も、「工場と連絡がつかないため難しい」との返答だったといいます。結局、一連の不誠実な対応はテレビの報道番組でも取り上げられ、B社は大炎上してしまいました。
A社の場合は、異物混入に関する投稿があった当日に公式Xが謝罪の連絡を行い、落ち着いて事実確認に取り掛かりました。即日対応をしたことにより、炎上からわずか2日間で関連する投稿を沈静化させています。さらに、炎上した投稿主への配慮も見せたことで、ポジティブな反応が大半を占めることとなりました。
2013年の事案での対応と同様、事実関係の精査の結果、投稿主の誤りや勘違いが判明しても、A社は自社の商品を買ってくれた相手をファンとして認識しました。その上で、投稿主を外部の攻撃からも守ろうとした姿勢が、大勢のファンを魅了したのです。
SNSの適切な運用に役立つ「基本5文書」作成
A社のように、SNSの適切な運用を実践し続けるためには、最新の炎上トレンドを把握し、ユーザーとの不要なトラブルや情報発信のリスクを避ける体制構築が不可欠です。
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また、会社としてSNSに関わる際の「スタンス・態度・心構え」を明示した「ソーシャルメディア(SNS)ポリシー」、会社としてSNSを利用する際の「免責・削除方針・禁止事項・調停」といった規約をユーザー向けに明示した「ソーシャルメディア(SNS)利用規約」の作成もサポートします。
万が一の炎上時も安心な「危機対応支援サービス」
万が一の炎上が発生した場合も、弊社シエンプレの「危機対応支援サービス」をご活用いただければ安心です。
ネット上の口コミやニュース記事などを逐次収集し、ネガティブとポジティブの論調を正確に分類した結果を踏まえた上で、想定されるリスクを診断します。
提携会社と連携した緊急窓口のコールセンター設置や、マスコミ向け記者会見のセッティング・運営、メディア側を納得させられるプレスリリースのライティングといった事後対応も、適宜サポートします。
事態が沈静化するまでは、顧客企業に関するネット上の投稿やネットメディアの論調をモニタリングし、世論の微妙な変化などをつぶさに報告します。
検索エンジンで表示される顧客企業の関連キーワードを監視し、ネガティブな印象の言葉をポジティブなワードに置き換えていくことも可能です。
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