大手回転寿司チェーン店の迷惑行為動画炎上~企業がとるべき姿勢とは
- 公開日:2023.04.01 最終更新日:2024.03.21
※この記事は雑誌『美楽』2023年4月号の掲載内容を転載しております。
2023年1月、大手回転寿司チェーンA社の店舗で迷惑行為を撮影した動画が拡散され、炎上する事案が発生しました。動画の内容は、若い男性客が備え付けの醤油ボトルや湯呑みを舐め回して元の場所に戻し、唾液を付けた指でレーンを流れる商品を触るというもの。この不衛生な行為に対し、ネット上では「もう行きたくない」「安心できない」といったA社の店舗を敬遠する声が相次ぎました。さらに、動画の拡散後、A社の運営会社の株価が1日で5%近く下落。時価総額168億円を損失するという甚大な被害を受けたのです。
今回の被害を受け、A社の店舗ではレーンでの注文品以外の提供を中止することや備品の交換対応、アクリル板の設置など、迷惑行為に対する防止策を発表。同時に、迷惑行為を行った当事者と保護者から謝罪を受けたことを明かしました。その上で警察に被害届を提出し、「刑事、民事の両面から厳正に対処する」という、毅然とした対応を取る姿勢を示したのです。
この対応に対し、ネット上では、多くの賛同の声が上がっています。炎上後、SNSには「謝ったからといって許してはいけない」「厳しく対処しなければ模倣犯が現れる」といった投稿が多数ありました。世間の論調と同じく、当事者を厳しく対処するというA社の企業姿勢が支持されているのです。そして、「#A社を救いたい」というハッシュタグと共に、著名人たちがA社の店舗での食事風景をSNSにアップするなど、同社を応援する流れも生まれました。
甚大な被害を受けたA社ですが、迷惑行為を行った当事者への代償も大きいでしょう。高額な損害賠償の請求や器物損壊罪に問われる可能性はもちろん、氏名や年齢、学校名、部活、アルバイト先までもが特定され、ネット上で拡散されています。一度拡散されてしまった情報を完全に削除することは非常に困難といえます。
今回の事案は、回転寿司のビジネスモデルにおける「性善説」を揺るがすものです。エンターテイメント性の高い回転寿司という文化や食の安全を守るためにも企業は、断固とした対応をすべき時代であり、それができる時代になったのです。企業として不正を許さないという毅然とした姿勢に加え、すべての飲食店はテーブル上の箸やカトラリー、調味料など、誰でも自由に触れられるものは客離れに繋がるため、対策が必要といえるでしょう。