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中古車販売会社と生活用品会社の炎上事例を比較~炎上しない企業とは

公開日:2022.09.01 最終更新日:2023.06.19

※この記事は雑誌『美楽』2022年9月号の掲載内容を転載しております。

2022年5月、6月に有名企業で類似する炎上事案が2件立て続けに発生しました。しかし、炎上後の両社の対応には大きな違いがありました。この対応の違いにより、1社は「炎上しにくい企業」、もう1社は「新たな炎上がいつ起きてもおかしくない企業」として、明暗を分ける結果となったのです。

炎上事案の1件目は、中古車販売会社であるA社です。同社の車両がナンバープレートを付けない状態で公道を走行していたというもの。目撃者である一般ユーザーのツイートは、1日で1.3万件リツイートされ、同社は多くの批判を浴びる結果となりました。もう1件は、生活用品などの製造販売会社であるB社です。社用車が信号のない横断歩道で歩行者がいるのにも関わらず、一時停止をせずに側道を通り過ぎたというものです。この事案も目撃者が撮影した動画がSNSで拡散され、炎上に至りました。

前述した通り、この2件の炎上事案の対応には、大きな違いがありました。A社は、メディアの取材には対応せず、公式なニュースリリースや謝罪などは一切行いませんでした。一方で、B社は、炎上が発生した当日中に公式サイトにニュースリリースを発表。事実と認め、謝罪を行いました 。その結果、B社への批判の声は止み、事態は沈静化に向かいました。しかし、A社は、批判が収まらず、本事案とは無関係のネガティブな投稿が増加。新たな炎上がいつ発生してもおかしくない状況となったのです。

A社と同様に、「炎上しやすい企業」となってしまった例として、大手飲食チェーンであるC社があります。同社では、立て続けに3件の炎上事案が発生しており、炎上する度に過去の炎上事案に紐付けたネガティブな投稿が続いています。このように、炎上は一過性のものではなく、連続的なものとして捉える必要があり、炎上後の対応を誤ることで、その後も「炎上しやすい企業」になりかねないのです。

SNSが幅広い世代に普及した昨今、今回の事案に然り、クレームや不満を企業に直接伝えずに、ネットに書き込むことがスタンダートになっています。本来ならば、企業とユーザー間の直接的なやりとりの内容もネット上に晒され、炎上の火種となるケースは後を絶ちません。

「炎上しない企業」に重要なのは、適切な初期対応はもちろんのこと、「Digital Integrity(※1)」を意識した行動といえるでしょう。「炎上してから対応する」のではなく、平時からユーザーへの誠実な対応と正直な行動が求められる時代となっているのです。

※1 Integrity=誠実・正直の意味

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