アニメ作品のステマ騒動が生んだ負の影響について
- 公開日:2020.04.01 最終更新日:2023.06.01
※この記事は雑誌『美楽』2020年4月号の掲載内容を一部修正の上、転載しております。
2019年12月3日午後7時、とあるアニメーション映画作品の感想をまとめた漫画が、7人のクリエイターからほぼ同時にツイッター上へ投稿されました。感想漫画はいずれもアニメーション制作事業A社から正式に依頼を受けて作成された「広告」でしたが、該当の投稿には広告であることを示す記載はありませんでした。これ見た複数の一般ユーザーが、一連の投稿はステマ(※1)に当たると指摘。話題性のあるコンテンツだったこともあり、一気に拡散されます。
弊社の独自調査では、感想漫画の投稿から約24時間で、関連投稿(※2)は累計2万件を超えていました。
この事態を受け、4日午前9時に感想漫画を投稿したクリエイターから謝罪投稿が行われましたが、事態は全く好転しませんでした。むしろクリエイターにステマ投稿と謝罪を指示した広告代理店に矛先が向かい、マーケティング活動に関与していた広告代理店B社が意図的にステマを行っていたのではないかという憶測が飛び交います。
6日以降はツイッター上の投稿も落ち着きを見せるものの、様々なメディアでこの問題が取り上げられ、広く知れ渡ることになりました。
アニメーション制作事業A社は、今回の問題について「関係者間でのコミュニケーションに行き届かない部分があり、当初の投稿において明記が抜け落ちる結果となってしまいました」と弁明しています。しかし、仮に担当者間のコミュニケーションエラーが原因で発生したミスだったとしても、今回の問題でA社、広告代理店B社が失ったものの大きさは計り知れません。加えて、11日には「本件を含む類似の案件」でも同様の問題が発生していたと公式から発表されました。A社の作品に関する過去の投稿から新たなステマが発見される可能性も出てきたのです。
ネット上で発信された情報に対する消費者の目は今後ますます厳しくなっていくことが予想されます。ステマのような消費者を騙す行為は論外として、価値観や認識の違いに敏感になることが、企業に求められています。
※1 ステルスマーケティングの略語。消費者に対し、広告と知らせずに広告することを指す。
※2 「アニメーション制作A社の社名 ステマ」「該当作品名 ステマ」というキーワードで検出されたツイッター上の投稿