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宅配ピザ会社の情報開示に学ぶバイトテロの事後対応

公開日:2024.07.16 最終更新日:2024.08.09

飲食業界の事業主を悩ませて久しいデジタル・クライシスの1つがバイトテロです。アルバイトによる不適切な行為がSNS上で拡散されれば世の中からの批判を免れず、事後対応を誤ると経営危機にも陥りかねません。今回の記事では、企業・店舗への被害を最小限に抑える事後対応のポイントについて考察します。

しゃぶしゃぶ、宅配ピザ店での不適切な行為が拡散

少子高齢化により生産年齢人口が減少する中、多くの業種・業界では人手不足が深刻化しています。
コロナ禍の収束で活況を取り戻した飲食業界も、決して例外ではありません。「頼みの綱はアルバイト」という企業・店舗は、決して少なくないでしょう。
一方、社会経験が乏しい学生などのアルバイトを雇用する場合、バイトテロのリスクが高まることを意識しないわけにはいきません。

従業員による不適切な行為がSNS上で拡散されれば、企業・店舗は甚大な被害を受けてしまう可能性があります。
国内におけるバイトテロは2007年、大手牛丼チェーンのアルバイトが店内での不適切な行為を動画配信サイトに投稿したのが始まりと言われています。

騒動を起こした本人や運営会社には当時、世間から強い批判が浴びせられました。しかし、飲食店やコンビニなどでのバイトテロは、今なお毎年のように繰り返されているのが実情です。

2024年も2月の時点で、しゃぶしゃぶ食べ放題・バイキングチェーンA社と、大手宅配ピザチェーンB社の店舗でのバイトテロがSNS上で大きく拡散されました。
A社の店舗で撮影されたのは、アルバイト男性2人のうち1人が羽交い絞めにした相手の口の中に、商品であるホイップクリームを直接流し込む動画でした。

また、B社の店舗では、アルバイトの男性が鼻の穴に指を入れた後、そのままピザ生地を触る行為が撮影されました。
騒動を受け、両社は事実関係の説明と謝罪について記した文書をSNSの公式アカウントで発表しています。
しかしSNS上には、両社への批判的な投稿や、問題を起こした本人に対する厳しい処罰を求める投稿が相次ぎました。

また、動画について「営業時間終了後に、廃棄予定であった食材を使用して撮影していた」と説明したA社には、「こっち(消費者)は確認できない」「半ば揉み消しのようにも受け取れる対応、会社の姿勢と受け止めます」といった苦言も寄せられました。

B社を巡っては、2019年に発生した同社のバイトテロ事案を蒸し返してSNS上に再掲する動きが見られたほか、他地域の店舗でも従業員による不適切な行為があったことを示唆する情報が書き込まれています。

ただし、両社に対しては「御社に責任はありません」「頑張ってください」などと擁護する声も一部で上がりました。 こうした反応は過去の事案でも認められていますが、当たり前の社会規範すら守らない個人が犯したバイトテロの責任を、雇用主側だけに負わせるべきではないという認識が広まったことも影響しているでしょう。

もちろん、消費者に対して安全・安心なサービスを提供しなければならない企業・店舗には、バイトテロを未然に防ぐ努力が求められます。
しかし、どれだけ教育や指導、あるいは監視を徹底したとしても、出勤したすべてのアルバイトの一挙手一投足を追跡し、傍若無人な行動を取らないよう完全にコントロールすることは難しいはずです。

営業時間外など業務の隙を突く形のバイトテロに見舞われた企業・店舗に同情や励ましが寄せられるのは当然で、それが擁護の声となって表れていると言えるでしょう。

SNSユーザーの反応を分けた事後対応とは?

その上で、B社に対しては、従来のバイトテロの事案とは明らかに異なる反応も目につきました。
それは「対応が素晴らしい!」「今後も安心して購入できる」など、擁護の域を超えて称賛する論調です。

ではなぜ、このような論調が生まれたのでしょうか?

その理由は、ユーザーの不安を払拭するために迅速かつ適切な情報開示を行ったことにあります。
炎上発生から謝罪までに要した時間は、A社が2日間だったのに対し、B社は約6時間という短さでした。

さらに、B社は謝罪文の中で、バイトテロが発生した店舗や日時を明らかにした上、該当店舗の営業を停止することや当事者への法的措置を検討中であることも報告しました。

B社に限らず、炎上初日に謝罪文をリリースした企業は過去に起こったバイトテロの事案でも存在します。

2019年にバイトテロが発生した大手外食チェーンC社は、拡散から約2時間後に公式ホームページで謝罪しました。しかし、SNS上ではC社を擁護するユーザーの投稿はあっても、スピーディな対応を称賛するほどのコメントは見受けられませんでした。

B社がより好意的に受け止められた理由は、事象が発生した経緯や店舗運営上の対策、当事者への厳しい対処方針を明確に説明したからです。

迅速かつ適切な情報開示が称賛につながる

今回発生した2つの事案を総括すると、企業が認識しておくべきポイントは以下の3点に集約されます。

・バイトテロは常に発生する危険性がある
バイトテロを行った人物に厳しい処罰を下すケースが増えているが、バイトテロはいまだに発生し続けている。モニタリング体制を構築し、炎上リスクがある投稿を迅速に把握することが重要。

・謝罪文の内容に対して批判が行われることがある

投稿を見たユーザーがどのように感じるかという「受け手への配慮」が大切。謝罪対応に対してどのような批判が行われる可能性があるのか、論調をしっかり把握しておく必要がある。

・迅速かつ適切な情報開示が称賛につながる

迅速な謝罪対応に加え、ユーザーの不安を払拭するために、バイトテロが発生した店舗や日時、対策状況を明確にすること、過去の事例も踏まえた処分(処遇)の実施と開示をすることが称賛につながる。炎上が発生したとしても、企業への非難を最小限に抑える可能性が高い。

独自の「危機対応支援サービス」で炎上収束までサポート

バイトテロをはじめ、SNS投稿が引き金となる炎上はいつ、何が原因で起こるか分かりません。

シエンプレは万一の炎上が発生した場合に備え、独自の「危機対応支援サービス」を提供しています。
クライアントの社内で不祥事が起きたり、何らかのトラブルに巻き込まれたりすることにより、ネット上で批判が出る、または批判される危険性が高まるなど、緊急対応が迫られる局面において、必要な施策の展開を支援するサービスです。

具体的な手法としては、ネット上の口コミやニュース記事などを幅広く集め、ネガティブとポジティブの論調を正確に分析して傾向を把握します。
その結果を踏まえて想定されるリスクを診断し、的確なマスコミ対応やニュースリリースのライティングなどを支援することも可能です。

さらに、事態が落ち着くまで(通常は3日間〜1週間)はWeb/SNSの投稿やネットメディアの動きをモニタリングし、論調などの変化について逐次報告します。
検索エンジンで表示される顧客企業の関連キーワードも監視し、不適切な語句がヒットした場合は速やかな鎮静化に乗り出します。

その他、提携会社と連携した緊急窓口のコールセンター立ち上げや、マスコミ向け記者会見のセッティング・運営もお任せください。

炎上リスクをできるだけ抑え、非常時も適切な対応を取れる体制を整えるためには、十分な経験に基づいて収集したデータと、専門的な知見を駆使した判断が不可欠です。

いつ、何が原因で巻き込まれるか予測し切れないデジタル・クライシス対策の強化をお考えの場合は、国内トップの取引実績と信頼性、対応ノウハウを兼ね備えている弊社まで、ぜひご相談ください。

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