「バイトテロ」による経営ダメージを最小限に!「炎上」リスクを防ぐ企業の備えとは?
- 公開日:2019.12.13 最終更新日:2023.06.01
飲食店や小売店の従業員が、勤務先の商品や什器を使って悪ふざけする光景をSNSなどに投稿する「バイトテロ」。日本で初めて注目されたのは2007年のことです。
牛丼チェーンのアルバイト従業員が当時サービスを開始したばかりのニコニコ動画に投稿したのは、丼に盛った米の上に大量の肉を積み上げる行為などを収めた映像でした。
従業員は店の食材を悪用しただけではなく、「肉を鍋に戻した」という趣旨のコメントも残したことから、牛丼チェーンを営む企業には「食べ物を粗末にするな」「不衛生だ」という批判が相次ぎました。
くしくもこの年はYouTubeが日本語版サービスを開始したほか、Twitterが国内で最初のブームになりました。
翌2008年には、その後のSNS隆盛の立役者となったスマートフォンの代表機種iPhoneが日本で発売されます。まさにSNSを通じたコミュニケーションが爆発的に広がり始めたタイミングだったと言えるでしょう。
アルバイト学生の10人に1人が現場に遭遇
2019年3月にマーケティングリサーチ企業のマクロミルが発表した調査の結果によると、10~20代の学生アルバイトの11.9%が勤務先でバイトテロの現場に遭遇したことがあると答えました。
さらに、全体の1.6%は自分自身がバイトテロをしたことがあると回答。バイトテロの不適切動画などが投稿・拡散された企業はブランドイメージにとどまらず、売り上げや利益、株価といった経営基盤にも大きなダメージを受けるリスクが高まります。
迅速かつ誠実な対応で「炎上」を沈静化
2019年2月16日、Instagramのストーリーズに投稿された不適切動画は、それまでのバイトテロの投稿と比べても悪質さが際立つ内容でした。
定食チェーンOの厨房で半年以上も前に撮影されたこの動画には、商品のプリンを口に含んだまま騒いだり、ズボンを脱いだ下半身を配膳用のトレイで隠したりするアルバイトの非常識な行為が収められていました。
動画はTwitter上における複数のツイートに添付され、瞬く間に拡散します。
Instagramにアップされてからの拡散ピークは2日後の2月18日で、Oに関するこの日のツイート数は5,119件に上りました。
※自社調べ
ただ、「炎上」を受けたOの対応は素早いものでした。
Instagramへの投稿日には不適切動画の情報を把握し、拡散ピークと同じ2月18日には自社の公式サイトで「当社従業員による不適切な行為についてのお詫びとお知らせ」を発表しました。
この中で、不適切動画に関わった従業員3人を同日付で退職処分とした上、法的措置を検討していることを明らかにします。
同時に、グループ全店における全従業員向け勉強会の開催やスマートフォンなどの店舗内持ち込み禁止ルールの周知徹底、服務規程の確認強化という具体的な再発防止策も示しました。
3月4日には、8日後の3月12日に一部店舗を除く全国350店を一斉休業とし、従業員の再教育と店内清掃に充てることを発表します。社長を含む常勤取締役5人の月額報酬減額も決めました。
隠し立てや言い訳をせず、上層部の責任も認めた誠実な対応の結果、「炎上」はすぐに収束に向かいます。2月21日以降、1日当たりのツイート数は「炎上」前と同水準の1,000件以下に戻ったのです。
上場企業の店舗が一斉休業するという異例の事態が各種ニュース媒体に取り上げられた結果、3月4日のツイート数は1万247件に膨らみました。
休業当日の3月12日も2,798件と少なくはありませんでしたが、ツイートの内容は「信頼回復のために一生懸命頑張っている。応援します!」といった同情的な声が目立ちました。
※自社調べ
備えのない企業は、経営上の損害が膨らむ可能性も
一方で、不適切動画の影響による経営上の損失は決して小さくありませんでした。
Oは株価下落こそ免れたものの、2019年3月期の通期連結業績予想を下方修正しました。実際に、一斉休業でフランチャイズ加盟者が被った売り上げ減少を補う営業補償金3,900万円と減損損失2億8,300万円を特別損失として計上したのです。
特別損失の要因は、本来なら投稿されるべきではなかった不適切動画にありますが、先に紹介したマクロミルの調査ではアルバイト学生の31.0%が「勤務先にバイトテロに相当する行為を禁止するルールやマニュアルなどがない」と答えたことも分かりました。
「(あるかどうか)分からない」も34.9%に上り、企業にとって従業員教育を浸透させることの難しさが浮き彫りになっています。
とはいえ、企業はバイトテロなどに備えようがないとあきらめるのは早計です。
従業員による不適切動画の投稿や情報漏洩などインターネット上のトラブルが発生してしまえば、最悪の場合は企業の存続に関わるほどの莫大な損害を受けかねません。
想定される損害は弁護士に対する法律相談費用や事故対応の人件費、謝罪広告などの広告宣伝活動費といった支出だけではありません。
風評による顧客離れが進めば、本来得られるはずの利益まで失ってしまいます。
例えば、個人向けのネット通販会社で情報漏洩が発生したケースを想定してみましょう。
真っ先に取るべき対応は、被害者全員に対するお詫びです。文書やメールはもちろん、お詫びの品・金券の送付が必要になるでしょう。
ホームページへの謝罪文掲載、全国紙5紙へのお詫び広告掲載なども考えられます。
さらに、弁護士への法律相談や問い合わせ対応体制の整備、原因究明と再発防止策検討のための調査・準備・外部コンサルティング会社への依頼といった対応が迫られるかもしれません。
被害者から訴訟を起こされるなどして損害賠償を支払わなければならなくなった、あるいは営業停止や商品回収といった事態に見舞われたとなれば、トータルの損失は億単位に膨らむことさえあり得るのです。
モニタリングサービスで「炎上」の危険察知を
こうしたリスクを知ってもなお、ネット上のリスクに無防備のままで良いと考える経営者はいないでしょう。
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