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2021年ユーザートレンド、企業広告コミュニケーショントレンドとこれからの在り方【第40回ウェビナーレポート】

公開日:2021.03.10 最終更新日:2023.06.20

「ポジティブ×リアリティ」のコンテンツが読まれる

桑江:本日は、キュレーションアプリ「antenna*」から見るデータと、新たな企業広告コミュニケーションに関するお話をできればと思っております。よろしくお願いします。

髙橋:まずは2020年のユーザートレンドを振り返りつつ、現時点ではどんな動きがあるかという2つの軸でお話しします。2020年の「antenna*」人気記事ランキングは、上位を「マスク」「ウイルス」など新型コロナウイルス関連が占めました。50位までを見ると、実は半数以上が非コロナのジャンルでしたが、やはりコロナに大きく引っ張られた1年でした。

一方、2021年1月末から2月末にかけては、コロナ関連の話題が50位以内に入っていないのが大きく変わった点です。「antenna*」はもともと「ファッション」「お出かけ」の2大ジャンルが人気でしたが、ここまでクリアに変わるとは思っていませんでした。結構思い切ったマインドシフトが起こっていて、コロナムードから抜け出して違うところも見ていきたいという思いが強くなっていると思います。

桑江:そうした状況を踏まえ、2021年はどうなっていくのでしょうか。

髙橋:2020年4月の緊急事態宣言時と比べると、2度目の緊急事態宣言が出た2021年1月は「ヘルスケア」「マネー」「料理」「家事」「自己啓発」関連の記事配信量が伸びていません。一方、伸びたのは「ファッション」「お出かけ」「カフェ」「恋愛」など。コロナ対策が頭から離れるとまではいかないまでも、ポジティブなマインドが膨らんでいるように思います。「お出かけ」への期待感や情報収集欲、「ファッションを楽しみたい」という意欲は安定的に高まり続けています。

また、withコロナのニューノーマル時代に受け入れられるコンテンツは、端的に言うとポジティブ。ただし、何をするにもコロナ感染のリスクは自分で取らなければなりません。「景色がきれい」とか「楽しそう」という情報は必要ですが、「そこに行っても大丈夫かどうか」という自己責任の判断をサポートする情報が行動喚起の重要なカギになると思います。
さらに、「マスクをしていない」「相手との距離が近い」といったリアリティのないコンテンツは「古い」と感じられてしまう世の中になってきています。難しいことですが、リアリティをどのくらいコンテンツに取り込めるかもカギになってくると思います。

ブランド保護に不可欠なバナー広告の掲載先管理

桑江:では、私の方から。2021年1月末から日本でもClubhouseが流行し、音声コンテンツの需要の高まりがポイントになってくると思います。Clubhouseが盛り上がった理由は「招待制」「コロナ禍で失われた雑談への飢え」「世間のニーズとの合致(自宅で仕事や家事をしながら耳だけ貸せば楽しめる)」の3つが言われているところです。
Yahoo!トピックスに記事が載ったり芸能人が配信したり、App Storeランキングで1位になったり、テレビで取り上げられたりといったことが重なって知名度も上がり、Clubhouseを話題にするツイートも増えていきました。
同時に、Clubhouseを舞台とした炎上騒動も起きています。ジェンダー、トーンポリシングの問題にも発展していて、Clubhouseの誹謗中傷をどう考えるかという問題も注目されています。

続いては、企業広告コミュニケーションの在り方についてです。ブランドを重視する企業のバナーが公序良俗に反するサイトにも掲示されてしまうことが数年前から米国で問題になっていますが、いよいよ日本でもしっかりとリスクヘッジしなければならなくなってきました。
自社が広告として出したバナーがどのサイトに出稿されているのかが分からなくなってしまうのが問題で、それらをしっかり認識しなければというのが今のトレンドです。どうすればリスクを防げるのかというところで、髙橋さんにバトンタッチしたいと思います。

髙橋:弊社は「craft.」というデジタル広告の配信プラットフォームを持っています。広告の配信先はCookieデータに依存するのではなく、コンテンツと広告の内容、ビジュアルのマッチ度を判定した上で決めています。配信先のメディアは「antenna*」と提携している有力メディアが中心で、非常に信頼できるところばかりです。
さらに、広告を配信しておしまいというのではなく、どんなメディアでどんな露出をしたか、どんな成果があったかという、PDCAにも役立つような詳細なレポートの作成にもこだわっています。

桑江:ありがとうございます。さて、今日お話されたトレンドを見ると、コロナ感染防止対策をしっかり意識していれば、企業のプロモーション活動は再開しても大丈夫ということでしょうか。

髙橋:リアルなイベントをやっていこうと計画しているクライアントはまだまだいませんが、人と人が近い距離でコミュニケーションを取れる場を設けられない期間が続いているがゆえに、オンラインのセミナーやイベントなどが求められています。少人数でいいから、しっかりとコミュニケーションを取ってワイワイガヤガヤできるようなものをやりたいというニーズはすごく多いですね。
ただ、それだけだと範囲が狭くなるので、その様子をしっかりと記事化し、動画化して、広告を使って多くの人に伝えていこうという二軸で、よりリアルに近づける場が求められているというトレンドがあると思います。

コミュニケーションメッセージ発信の姿勢に変化

桑江:コロナや緊急事態宣言などの節目を経て、「antenna*」で配信される広告の内容や質、業種、あるいはクライアントのニーズなどに変化は感じられますか。

髙橋:業種ごとの変化はあまりないと思います。ただ、以前は「企業としてこれを発信したい」というものを届ければ多くの人に受け入れてもらえるという感覚が主流でしたが、2020年にさまざまな考え方や生活が一変してしまったことで、「どんな人たちにどんなメッセージを発信したらいいのか、よく分からない」という問い合わせが多いですね。

そうした際に「antenna*」上のデータを活用して「こういった記事を読んでいる人は他にどういうジャンルのものを読んでいるか」「同じキーワードでもどんな記事が人気か」というのを探り出し、「こういったジャンルを掛け合わせたコンテンツを出せば、今の時代に合うかもしれませんね」とコミュニケーションメッセージを一緒に考えていくことが多くなったのが大きな変化かと思います。

桑江:ところで、我々の分析でいくと、2021年1月は炎上件数が増えたんですよね。1月上旬は全国で過去最多の感染者が出てコロナ禍への不安が再び高まりましたが、1月だけで見た「antenna*」のトレンドはいかがでしたか。

髙橋:例年通り「占い」などの人気が高くなるといったトレンドはありましたが、コロナ関連のコンテンツが盛り上がっていたかというと、そういうことはなくて。コロナ関連は前年の5、6月から徐々に落ち着いてきた中で、1月だけ特異な動きが見られたということはなかったですね。

桑江:分かりました。それを踏まえ、2021年は落ち着いてしっかり楽しんでいける1年になればと思います。本日は、ありがとうございました。

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