2023年のバイトテロ振り返り:原因と企業の対策戦略を徹底解説
- 公開日:2024.08.29
目次
はじめに:2023年のバイトテロの現状
2023年も例年に続き、多くの「バイトテロ」が報道され、社会的に大きな問題となりました。本記事では、2023年のバイトテロの主な事例を振り返りながら、その原因と対策について解説します。
バイトテロとは
一般的に、従業員(主にアルバイト)が、勤務先の商品や什器等を使用して、いたずらや悪ふざけ等不適切な行為を、XやインスタなどのSNSに投稿して炎上する現象のことをバイトテロと呼んでいます。
なぜ「バイトテロ」と呼ばれるようになったのか?
たった一人、もしくは数人のアルバイトが行った行為が、企業に損害を与えたり、企業のブランドイメージを大きく傷つけることから、アルバイトによる「テロ行為」と捉えられ、略して「バイトテロ」と呼ばれるようになったものと考えられます。
バイトテロはいつから始まった?
バイトテロの始まりは、2007年に大手外食チェーンのアルバイトと思われる店員が山盛りの豚丼を作り、「テラ豚丼」と名付けて、その様子をニコニコ動画に投稿したのが始まりとされています。
バイトテロを実行するのは誰?
バイトテロを実行するのは主にアルバイト、もしくはアルバイトと思われる従業員が多かったため、「バイトテロ」と呼ばれていますが、アルバイトだけでなく、社員や契約社員、派遣社員、業務委託先の従業員等が実行するケースもあります。
過去にあったバイトテロの事例
過去様々なメディアでバイトテロとして報道されたのは以下の通りです。
・店舗の冷蔵庫等に入る
・店の商品を食べる
・店の商品に不衛生に扱う
・店の厨房でたばこを吸う 等
一方、メディアではバイトテロとしては報じられていないものの、以下についてもバイトテロの一種と言えるでしょう。 店の商品を食べたり、いたずらや悪ふざけだけでなく、
・従業員が勤務中にSNSでライブ配信
・仕事をサボっていることをアピールするような投稿
・勤務先に有名人が来店したことをパソコンの予約画面や、レシート等の画像とともにSNSに投稿する
従業員の不適切な行為の対応を求められるのは企業
従業員による職場での不適切な行為が発見され、炎上すると、企業は謝罪等の対応を求められます。バイトテロを行った人物が社員やアルバイトではなく、直接雇用関係にない派遣社員や、子会社の従業員だった場合でも、対応を迫られるのは不適切な行為が行われた現場となった企業です。
2023年に発生したバイトテロの事例
2023年にネットニュース等に取り上げられたバイトテロの一部をご紹介します。
1.公立病院勤務の看護師と見られる職員
「定時1時間以上前に病院抜け出す笑」と職員がサボり行為を投稿して炎上
2.コンビニの高校生アルバイト
「こんなんでも時給発生」と商品のポテトをかじったり、悪ふざけをする様子をインスタに投稿して炎上
3.コンビニの外国人店員
勤務中にライブ配信して炎上
4.自動車ディーラーの従業員
電動車椅子に乗った障害者の真似をする動画をTikTokに投稿して炎上
5.ガソリンスタンドのアルバイト店員
「◯◯◯◯来てやばい」と店員が有名人の署名入りレシートをXに投稿して炎上
6.ゴルフ場の従業員(子会社の社員)
有名な実業家らの予約が入っている画面を撮影し、Xに投稿して炎上
いずれのケースも、企業が公式HPに謝罪文を掲載したり、メディアの取材対応に追われました。
バイトテロが発生する原因3つ
1. SNSの普及
現代の多くの若者にとって、SNSは自己表現の場であり、注目を集めるための手段となっています。SNSでの「いいね」やフォロワー数が自己評価に少なからず影響を与えることもあり、中には過激な行動や不適切な行為を投稿して、注目を集めようとする人もいます。
もちろん、バイトテロを実行する人の中には40代、50代の人もいますので、若者に限った話ではありませんが、ひと昔前なら仲間内だけで終わっていた悪さ自慢も、今はSNSを使って、誰もがアクセスできるインターネット上で行われているのが現状ですから、企業は対策が必要となります。
2. 従業員教育・指導の不足
企業側の従業員教育や指導が十分ではないと、不適切な行動を取るリスクが高まります。特に、忙しい現場では教育の時間が十分に確保されないことが多く、忙しいから十分な従業員教育の時間が取れない、教育の時間が取れないからバイトテロがより発生しやすくなるという悪循環に陥りやすくなります。
「まさかそんなことはしないだろう」「このくらいは言わなくても大丈夫だろう」は大変危険です。職場へのスマホの持ち込みについてルールを定めたり、従業員のプライベートのSNS利用についても研修を行い、やっていいことと、いけないことを明確にし、周知徹底する必要があります。
3. 労働条件に見合わない職場環境
業務内容に見合わない低賃金や過度なストレスが、従業員のモチベーション低下や不満を引き起こし、ストレス発散のために不適切な行為に走らせることも否定できません。
最近ではカスハラも社会問題となっています。人件費を削減するため、アルバイトしか置かない店舗、またアルバイトしかいない時間が発生する店舗では、本来であれば社員が担うはずの業務もアルバイトが担うことになります。店員が若いと高圧的な態度に出る来店客もいますから、管理職の目が行き届かないところで、従業員のストレスが溜まっているかもしれません。
弁護士×炎上予防専門家が解説!企業に求められるカスハラ対策とは?
従業員がストレスなく働ける労働環境を整えることは、バイトテロを防ぐための手段のひとつと言えるでしょう。
バイトテロを防ぐための対策3つ
バイトテロを防ぐためには、企業が以下の対策を講じることが重要です。
1. 明確なSNSガイドラインの策定
企業はSNS利用に関するガイドライン
従業員のプライベートのSNS投稿であっても、従業員が勤務先の企業について投稿していいこと、いけないことを明確に示す必要があります。従業員個人の判断に任せるのは大変危険です。
2. 定期的な従業員教育の実施
従業員に対する教育やトレーニングを強化し、どんな投稿をすると問題になるのか、炎上するのかを具体的に示して、炎上の恐ろしさを実感してもらいましょう。入社時の教育だけでは不十分です。定期的に研修やモラルに関するワークショップを実施し、継続的な理解と改善を促しましょう。
3. 職場環境の改善
従業員が働きやすい職場環境を整えることも、バイトテロの防止につながります。きちんと休暇が取れる環境を整えること、安心して働ける労働条件の提供、従業員同士の円滑なコミュニケーション、フィードバックなどを通じて、従業員の満足度を高めることも大切です。実際の業務に携わる従業員は、現場の具体的な問題点や改善点をよく知っているはずです。現場で働く従業員の意見を積極的に取り入れ、業務や労働環境の改善をはかることは、業務改善や従業員の満足度を上げるだけでなく、バイトテロ防止対策としても非常に有効です。
バイトテロが発生してしまったら
バイトテロが発生してしまったら、バイトテロの実態を徹底的に調査し、迅速に正直に公表しましょう。謝罪、正確な調査報告とともに適切な処分を行うこと、具体的な再発防止策を発表します。不祥事が発生した時に、企業が消費者や社会全体に対して、誠実さと透明性を示すことは非常に重要です。
今はSNS社会です。誰もがSNSで手軽に情報を発信することができます。不祥事が発生した時に企業が事実を隠したり、ごまかしても、簡単にバレてしまう時代です。企業の不誠実な対応は炎上を更に拡大させるだけでなく、長期的な企業のイメージダウンにつながります。不祥事による炎上のダメージを最小限に抑えるためには、誠実さと透明性は必要不可欠です。
まとめ
2023年も多くのバイトテロが多数発生し、企業にとってバイトテロの防止対策が急務であることが明らかになりました。バイトテロを防ぐには、「SNS利用ガイドライン」「従業員教育」「職場環境の改善」など、企業の総合的な取り組みが必要です。
企業が従業員にとって安心できる職場環境を提供するためには、現場で働く従業員の声に耳を傾け、適切な従業員教育とサポートを提供する必要があります。こうした取り組みを継続することが、バイトテロの発生を防ぐことにつながります。
【前半】バイトテロが発生する理由
【後半】止まらないバイトテロ。問われる危機管理対策