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今こそ考えるべきデジタル・クライシスの話(4)

公開日:2020.01.01 最終更新日:2023.06.01

※この記事は雑誌『美楽』2020年1月号の掲載内容を一部修正の上、転載しております。

2019年10月12日、大型で非常に強い台風19号が日本列島に接近しました。これを受け、気象庁は11日までに台風に備えるよう対策を呼びかけ、各公共交通機関も計画運休を発表していました。

そのような状況で、ツイッターでは「#台風だけど出社させた企業」というハッシュタグがトレンド入りしました。弊社の調査では、関連の投稿が11日から12日の2日間で10万件を超えており、いかに人々の関心が寄せられていたかが分かります。

該当のハッシュタグは、台風の接近にも関わらず、従業員を出勤させた企業への批判として付けられていました。通常営業している小売店の名前が飛び交い、臨時休業を発表した同業他社を引き合いに出して非難する投稿も散見されました。例えば、大手家電量販店Aは、12日から13日にかけて通常営業する旨を公表していました。しかし、この発表に対してSNSなどから非難が集まり、最終的には一部店舗の臨時休業が決定されました。

今回、企業の営業状況は、従業員本人やその友人、家族などを名乗るアカウントによって公開され、またたく間に拡散されました。緊急時、同業他社が休業する中で営業し、売上が伸びたとしても、従業員の怪我や企業ブランドの毀損、採用内定者の辞退といった損失を考えれば、決して企業の利益になるとは限りません。

災害時の避難場所に指定されている大型商業施設や公共インフラの従業員や、医療従事者など、緊急時にも休業することができない方はいらっしゃいますが、一般的な企業は従業員の生命を第一に考えた判断を行うべきです。

仮に、やむを得ず従業員が出勤する必要がある場合でも、炎上やネットの評判管理という観点から、出勤した従業員を称賛することは避けましょう。当然のことながら、緊急時には従業員の生命を守ることが、企業にとって何より大切なのです。

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