ブライダル業界のコロナ対応の違いが生んだネット世論の是非について
- 公開日:2020.10.01 最終更新日:2023.06.16
※この記事は雑誌『美楽』2020年10月号の掲載内容を一部修正の上、転載しております。
2020年5月、新型コロナウイルスの感染拡大防止を受けて、結婚式の延期やキャンセル、またその支払いを巡って、ウエディングプランナーや企業の対応に対して批判的な投稿が多数行われました。
例えば、ブライダル事業A社で6月に挙式を行おうとしていた夫婦は、結婚式をキャンセルしようとしたところ、高額なキャンセル料の支払いを求められたと主張する投稿を行っています。また、同じブライダル業界のB社でも延期料やキャンセル料に関して、ウエディングプランナーによって、対応が二転三転するなどの指摘が投稿されています。
これらの投稿は「#結婚式キャンセル」などのハッシュタグをつけて投稿され、同様の被害にあった人がお互いに情報共有し、投稿を拡散しておりました。そうした投稿の中で、スタッフの対応の悪さや支払いに関するトラブル、別のブライダル会社に乗り換えを検討するといった内容の投稿が行われ、レピュテーションリスクが発生することになりました。
実際に投稿数について調査をしてみると、B社の「社名」を含む投稿に関しては、緊急事態宣言の延長が決まった5月6日頃から徐々に投稿され始め、その後も「営利主義体質」や「本当に酷い会社」といったネガティブなワードを含む投稿が継続的に行われるようになり、5月11日には108件もの投稿が行われました。
一方で、コロナ禍の対応として好意的に受け入れられる事例も存在しています。テイクアンドギヴ・ニーズ社は、臨時休業期間中に結婚式を実施する予定があった場合、日程変更やキャンセルは無料にするという発表を行っていました(※1)。この発表に対して、ツイッターでは、「素晴らしい対応」といった声が上がるなど、好意的な投稿が行われていました。
同じブライダル業界でありながらも、新型コロナウイルスの感染拡大防止という観点で対応が分かれ、結果としてネット上の投稿内容に違いが生まれています。
その違いが生まれた背景としては、早期に会社としての方針を打ち出し、現場レベルでその方針を徹底したことが考えられます。ウエディングプランナーによって対応が二転三転するといったことがなく、また利用者にとって負担が少ない選択であったため、受け入れられたのだと考えられます。
今なお、新規の感染者が出ており、新しい生活様式が求められている状況下においては、利用者の声に耳を傾け、会社としての方針を早急に固め、対応していくことが求められているのです。