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芸能人の自殺報道から考えるデマ情報や憶測が拡散される背景について

公開日:2021.01.01 最終更新日:2023.06.14

※この記事は雑誌『美楽』2021年1月号の掲載内容を一部修正の上、転載しております。

コロナ禍においてデマ・憶測・フェイクニュースに対する関心が高まっています。日本でファクトチェック(※1)を行うFIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)の公式サイトへのアクセス数は、コロナの感染者数が増大した3月と比較し約50倍にも増加しており、人々のデマ情報に対する関心が高まっていると言えるでしょう。(※2)
新型コロナウィルスの感染が拡大した2020年は芸能人の自殺が相次ぎました。そして芸能人の自殺に関する報道においてもデマや憶測の拡散が確認されています。その一つとして、俳優Mさんの自殺に関する一連の動きが挙げられます。

Mさんの自殺に関するデマや憶測が拡散した例として、放送作家H氏へのなりすましがあります。Mさんに対して誹謗中傷を行ったとされるアカウントが発見され、添付された画像などから、投稿者がH氏ではないかと推察されていました。
しかしH氏のブログによれば、H氏のツイッターアカウントは該当の投稿が行われる約2ヶ月前に既に削除されていると説明しているのです。
つまりH氏になりすました第三者がMさんに対して誹謗中傷を含む投稿を行った可能性があるのです。

どのような過程でデマ情報や憶測が発生するのか、またそうした情報が拡散される要因を調査するため、Mさんと同じく芸能人で亡くなられた女優Tさんに関して、ネット上の投稿調査を行いました。
まず九月二七日八時頃からマスコミ各社がTさんの死去を速報として発表し始めました。直後に5ちゃんねるでスレッドが立ちあがり、「他殺」ではないかといった憶測が流れ始めました。その後まとめサイトが立ち上がり、「産後うつ」ではないかといった憶測が含まれた投稿が確認されました。また、他のまとめサイトでも「死因は自宅のクローゼットで首吊り自殺」といった憶測を助長させるようなタイトルの記事を作成されていました。

このようにデマや憶測が拡散される背景には、まとめサイトの記事やツイートの存在が考えられます。
これらのサイトや投稿内容は推測や憶測を助長するようなタイトルが付けられており、明確な根拠や引用元となっているサイトが少ないため、誤解を与えやすい性質があります。
こうしたデマ情報や憶測を助長する情報に惑わされないためにも、メディアの特性を理解する必要があります。その上で多角的に情報を集め、どういった投稿内容があるのかを把握する必要があるのです。

※1 社会に広がっている情報・ニュースや言説の真偽検証
※2 https://news.yahoo.co.jp/articles/9e392b18a8e7d6988836d5b8d924a4f9bfbf12c7(現在はリンク切れ)

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