おもちゃメーカーとタイツメーカーの炎上から考える、企業の公式アカウントの運用について
- 公開日:2021.02.01 最終更新日:2023.06.14
※この記事は雑誌『美楽』2021年2月号の掲載内容を一部修正の上、転載しております。
2020年10月、おもちゃメーカーA社の公式ツイッターアカウントが不適切な表現をしたとして炎上しました。公式アカウントが「#個人情報を勝手に暴露します」というハッシュタグをつけて、自社製品キャラクターの誕生日や身長・体重、設定上の電話番号など、プロフィールを投稿。この投稿が現実の少女への犯罪を想起させるとして炎上したのです。
また同時期に、タイツメーカーB社のイラストを用いたツイッター企画が炎上しました。11月2日の「タイツの日」にちなみ、B社はイラストレーターとのコラボキャンペーンを実施。
当キャンペーンはタイツを着用した女性のイラストを楽しんでもらいながら、自社製品をPRすることを目的としていましたが、スカートを持ち上げて足を見せている女性のイラストが複数投稿されたことをきっかけに「女性を性的に消費している」「タイツを履く女性を性的な目で見ている」と批判が殺到。炎上状態に陥ったのです。
これに対してB社は、「不適切な表現があった」と謝罪。ツイッターの新規投稿を当面見合わせる旨を発表しました。
これらは企業の公式アカウントが炎上した事案になります。いずれも「性的消費」や「女性蔑視」といったジェンダーに関する投稿が原因でした。
公式アカウントのツイートが「女性蔑視」「セクハラ」「性的」「性犯罪を想起させる」などの批判を受け、ブランドイメージを下げてしまった事例は過去にも存在しています。
例えば医療機関Cの献血ポスターで使用された漫画のキャラクターを用いた表現がセクハラに当たるとして批判を受けた事例がありました。
また化粧品メーカーD社が販売するヘアケアシリーズの製品では、女性の容姿を揶揄するプロモーションを展開したとして批判された事例もありました。
性的な要素を含む表現に関して、過去にも同様に炎上した事例が見受けられることから、企業からの発信において、前例に学べていなかったという問題点が浮き彫りになったのです。
また企業の公式ツイッターアカウントの運用に対しても課題が見られます。
タイツメーカーB社の公式アカウントの場合、ユーザーとの交流を積極的に行い、流行のハッシュタグを用いた投稿を行うなど親しみやすいと評判の企業アカウントとして注目されていました。
しかし今回の炎上を契機に、公式アカウントの過去投稿が注目され「公私混同している」「企業アカウントを私物化している」といった批判が集まったのです。
実際に今回のB社の企画でコラボした個人のイラストレーターに対して、私的な反応とも取れるリプライを送った投稿などが確認されました。
以上の問題点から企業の公式ツイッターアカウントの運用においては、二つの点に留意する必要があります。
一つ目が炎上事例の定期チェックです。過去に起きた炎上事例について定期的に調査し、炎上の原因となった事象について確認することで、未然に炎上を防ぐことができるのです
二つ目が企業公式ツイッターアカウントの運用におけるルールの制定です。企業の公式アカウントが炎上する際、担当者の言動と企業アカウントとして取るべき言動との境界線が曖昧になっている傾向が見られます。
そのため担当者任せにせず、社内でWチェック体制を構築することや、定期的に外部の意見を取り入れることで、炎上のリスクを軽減させることが必要なのです。