高級焼肉店をも襲った「バイトテロ」もはや防ぐことはできないのか?
- 公開日:2021.12.28 最終更新日:2024.04.12
社会問題化して久しいにも関わらず、一向に撲滅されないバイトテロ。アルバイト従業員などを雇用する企業・店舗にとって悩ましい問題ですが、手の打ちようがないわけではありません。経営危機すら招きかねない悪質な行為を防ぐために、必要な対策をご紹介します。
目次
犯罪減少に学ぶ「監視」「啓発」の重要性
新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの社会にさまざまな悪影響をもたらしました。
公衆衛生上のリスク増大が人々の移動と接触を困難にし、経済活動を含めた日常生活の妨げになったのは言うまでもありません。
一方、コロナ禍の中で状況が著しく改善した事象があることをご存じでしょうか?
その1つに挙げられるのが、刑法犯の認知件数の減少です。
警察庁によると、2020年の刑法犯の認知件数は戦後最少の61万4,231件で、前年比17.9%の減少率も過去最大でした。(※1) さらに、2021年上半期(1~6月)の認知件数は27万7,300件と、前年同期の30万7,040件を大きく下回りました。(※2)
(※1,※2の引用元)
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/crime/situation/r2_report_c.pdf
https://www.npa.go.jp/news/release/2021/r3_1_report.pdf
とりわけ減少が目立つのは、街頭での犯罪や住宅などに侵入する犯罪です。その理由は多くの人が思いつく通り、警察庁でも「緊急事態宣言などに伴う外出自粛が一因」と分析しています。
しかし、ここでもう1つ、新たな事実をお伝えしましょう。実は刑法犯の認知件数は、コロナ禍以前の2015年から6年連続で戦後最少を更新しているのです。
確かに、「過去最大」の減少幅となったのは、外出自粛の影響が大きかったのかもしれません。
しかし、犯罪の数そのものが減り続けている要因として、防犯カメラや巡回などによる「監視」、防犯意識を高めてもらうための「啓発」といった地道な対策が挙げられるのは間違いないでしょう。
つまり、「安全・安心」な環境を手に入れようと思うなら、周囲の環境に任せるだけではなく、「監視」と「啓発」という能動的な取り組みが欠かせないのです。
2021年は過去3番目…監視をされても繰り返されるバイトテロ
しかし、防犯カメラのような衆目に「監視」されているSNSの世界で、一向になくならない不適切行為があります。
インターネットに限らない各種メディアなどで「啓発」も繰り返されているのに、撲滅されないもの。その代表例が、飲食店や小売店のアルバイト従業員らが不適切な言動を撮影した動画などをSNSに投稿する行為、いわゆる「バイトテロ」です。
2013年に過去最多の16件を記録したバイトテロは社会問題となったことから、いったんは沈静化しました。
しかし、2019年には過去2番目に多い11件が発生。投稿から24時間でコンテンツが自動的に消去され、公開範囲も限定できるInstagramのストーリーズの普及が、不適切動画を投稿するリスクへの警戒心を緩ませたとも言われています。
2020年は飲食店などが営業自粛や時短営業を余儀なくされたこともあって収束したものの、「自粛疲れ」がクローズアップされた2021年に再燃。10月末までに、過去3番目に多い7件が発生しました。
客に提供する岩塩プレートを舐めたバイト女性
7件のバイトテロのうち最も新しいのが、東京都内の高級焼肉店Aで起こった事案です。
10月3日、Aのアルバイト女性従業員がInstagramに投稿したのは、客が肉を載せて焼くための岩塩プレートを何度も舐めるという不衛生極まりない動画でした。
この動画はストーリー機能を使って投稿されましたが、視聴した人が「暴露系YouTuber」と呼ばれるインフルエンサーに通報。10月17日にYouTubeで配信されるとTwitterの投稿数も跳ね上がり、悪質なバイトテロ事件としてたちまち炎上したのです。
バイトテロを起こした本人は10月20日付で退職しましたが、翌日のインターネットニュースで事件が報じられるとツイート数は再び急増。本人のみならず、Aに対しても「もう行かない」「店の衛生管理はどうなっているのか」「知り合いが(Aに)就職すると言っていたが大丈夫か?」といった批判が殺到しました。
Aは有名人も通うステータスのある店として知られていただけに、世の中の人に抱かせてしまった反感や落胆も大きかったと言えるでしょう。
企業・店舗の損害は不可避、バイトテロによる株価急落で27億円の損失例も
過去の事例を見ても、バイトテロが企業・店舗に与えるダメージは、単に客足を遠のかせるだけではありません。
ブランドイメージや採用活動にまで、取り返しのつかない悪影響を与えかねないデジタル・クライシスなのです。
実際、2013年に大学生のアルバイト店員が食器洗浄機の中に横たわるという悪ふざけが原因で破産・閉店に追い込まれた蕎麦店は、この学生に1,385万円の損害賠償を請求しました。
同じ年、アルバイト店員が冷蔵庫に入るバイトテロを起こしたフランチャイズのステーキ店は、本部に契約を解かれて閉店せざるを得なくなったことから、この店員に対して数千万円の損害賠償を請求しています。
さらに2019年には、ごみ箱から拾ってきた魚をさばくアルバイト店員の動画が公開された大手寿司チェーンの株価が急落、実に27億円もの損失を招く事態に発展しました。
バイトテロ後に待ち受ける悲惨な末路を理解させる
もちろん、バイトテロを起こした本人たちも「無傷」では済みません。
先述した蕎麦店で問題を起こした当事者はネット上に実名と顔写真、通っている大学名などが掲載され、2021年時点も「デジタルタトゥー」として残り続けています。
フランチャイズのステーキ店、大手寿司チェーンの投稿者も同様で、大手寿司チェーンの場合は当事者が書類送検されました。
さて、高級焼肉店Aでバイトテロを起こした女性は、どんな末路を迎えたのでしょうか?
ネット上には事件を伝えるまとめサイトが次々に立ち上がり、本人の実名やSNSアカウント、大学名が公開されています。それだけではありません。動画の撮影者とその父親の実名、職業なども公開されてしまっているのです。
一時の軽はずみな行為で自ら背負うことになってしまった「十字架」は、もしかしたら一生下ろせないかもしれません。
就職や結婚、あるいは子育てなどを控えた人生にどんな制裁がついて回る恐れがあるのか、想像するまでもないでしょう。
企業にとって定期的なSNS研修と常時モニタリングが不可欠
問題を起こした本人も勤め先も不幸にするバイトテロを防ぐために、企業は何をするべきなのでしょうか?
従業員に対しては、SNS上の言動は衆人に「監視」されているという事実を認識させるとともに、不適切なコンテンツを投稿させないための「啓発」も怠ってはなりません。
そのための方策としては、プライベートでのSNSの使い方について誓約書や就業規則、ガイドラインなどで会社の基本姿勢を明確にしておく必要があります。
ただし、これらの対応を入社時に行ったとしても、時間が経てば記憶から薄れてしまう可能性が高いでしょう。
事実、入社したての従業員に職場への携帯電話の持ち込み禁止を明示し、コンプライアンス炎上を防ぐためのSNS教育も行ったにも関わらず、バイトテロの被害を受けてしまった企業も存在します。
また、定期的な情報管理教育を施していたのにバイトテロが発生してしまったケースもあることから、SNSの動向を常時モニタリングし、炎上の火種になりそうな書き込みをいち早く発見できる体制を整えておくことも欠かせません。
「監視」と「啓発」で被害を防ぐシエンプレのサービス
シエンプレが導入している「Web/SNSモニタリング」は、目視とAI解析を駆使した24時間体制のサービスです。バイトテロなどの被害を防ぐ上で最も費用対効果の高い備えとして、さまざまな業界にわたる数多くの企業に採用されています。
万一の炎上時も、対処すべき項目やそれらの優先度を整理してご報告するのが強みです。
事態が終息するまでプロの視点の包括的なサポートを受けられるため、契約していただいた企業の担当者の負担軽減にもつながります。
また、eラーニングの「従業員向けSNS利用研修」は、他社の従業員が起こしたさまざまなバイトテロの炎上事例を紹介し、問題が発生した経緯や原因などを詳しく解説。当事者がたどった悲惨な末路も理解させます。
その上で、従業員が個人のSNSアカウントを利用する際の注意点も分かりやすく伝え、勤務時間外のトラブル防止にも役立ててもらうことが可能です。
バイトテロをはじめとするデジタル・クライシス対策の強化をお考えの場合は、国内ナンバーワンの取引実績と信頼性、豊富なノウハウを誇る弊社に、ぜひご相談ください。