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時価総額2兆円グループの事例に学ぶ「ステマ法規制」

公開日:2024.03.15 最終更新日:2024.07.11

2023年10月1日、景品表示法が禁じている「不当表示」に、ステルスマーケティング(ステマ)が加わりました。違反した場合、従来のように周囲の指摘を受けるだけでなく、行政処分の対象になってしまうかもしれません。今回の記事では、広告主として注意すべき点などについて考察します。

10月から「ステマ」が景品表示法違反に

2023年10月1日、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)が禁止している「不当表示」に、ステルスマーケティング(ステマ)が加わりました。

ステマとは、消費者に対して宣伝・広告であることを隠したまま行う宣伝活動です。

法規制の対象となるのは広告主で、自らが消費者を装って商品を宣伝したり、著名人やSNSのインフルエンサーなど第三者に宣伝やPR、口コミ投稿を依頼・指示したりする場合、広告表示が必須となります。

また、金銭授受が発生していなくても行政処分の対象になるかもしれません。違反行為が認められて措置命令を下されれば、その内容が公表される仕組みです。

景品表示法では、自由で合理的な消費者の選択を妨げる可能性がある広告表現、つまり「優良誤認表示」「有利誤認表示」が禁じられています。しかし、ステマに関しては、その表現自体が「好意的な感想」のため、違法ではありませんでした

それでも国が法規制に踏み切ったのは、消費者を欺くステマが蔓延しているからに他なりません。インターネットやSNSでのプロモーション活動が頻繁に行われている中、名だたる企業やサービスも指摘を受けています。

広告料の見返りだった「ランキング1位」

実際に、法規制が迫った2023年8月にステマが疑われた事案の当事者は、時価総額2兆円を誇る超優良企業の子会社でした。

医療人材紹介サービスを運営するA社は、産業医サービスの比較サイトが実施した産業医選びに最適なサービスのランキングで1位と表記されていました。

しかし、これを見たライバル会社がサイト側に自社も掲載するよう求めたところ、広告料が発生する上に「掲載企業は一定の期間で契約しており、掲載待ちの企業もいる」といった理由で断られていたことが発覚したのです。

こうした情報を得たメディアが実態を調査し、A社と掲載元のB社に「ステマではないか?」と指摘して見解を求めた数日後、該当サイトは突じょ非公開になりました。

その2日後、A社は自社のホームページで謝罪し、B社もメディアの指摘に回答。それによると、該当サイトについてはA社と協議の結果、非公開にしたとされています。

一連の出来事は大きな炎上にこそ発展しませんでしたが、SNS上では「広告料金ランキングだったのか」「(A社は)こんなアコギなことをするのか。まともな会社だと思っていた」といった辛辣なコメントが並びました。

ステマが指摘されたのは、ランキングの読み手が誤認するような表現が大きな要因だったことは明白です。

あたかもサービス内容や品質を比較した結果を掲載していると思わせる表現だったものの、実際は広告費を支払って掲載されていました。輝かしく見えた「1位」の結果に、サービス内容や品質は全く関係なかったのです。

規制前のコンテンツも閲覧できる状態なら処分対象

ただし、今回の疑惑はBtoC向けのサービスで発生した事象ではありませんでした。そのため、法規制の対象にはならないのも事実です。

しかし、10月の規制開始を目前に控えた中、声を上げやすくなった「ステマ狩り」の最初の標的になったと考えられます。

もちろん、BtoC向けのサービスでステマに手を染めた場合、今後は周囲から指摘を受けるだけでは済みません。

法に基づいて摘発されれば、企業のブランドイメージや信頼性に大きな傷が付くのは避けられないでしょう。

比較・ランキングサイトを活用したプロモーション活動も規制対象となる可能性があるため、十分な注意が必要です。また、広告を依頼する際は、誤解が生じない表現にするよう明確に求めておかなければなりません。

もうひとつ、注意する必要があるのは、規制対象となるのは10月1日以前に公開されたものも含まれるということです。すなわち、ネット上で閲覧できるコンテンツは漏れなく規制対象となるため、実質的に放置された状態であっても責任を問われてしまう可能性があります。

従業員のSNS利用ガイドライン策定

では、自社のステマ行為を防ぐためには、どんな対策が必要なのでしょうか? シエンプレは、さまざまなステマ対策支援サービスを提供しています。

ひとつは、従業員のSNS利用に関するガイドライン策定です。
現状のガイドラインや運用状況の確認、ヒアリングを実施し、業界特有の炎上パターンや最新のトレンドを踏まえたガイドラインを作成・提出いたします。

また、eラーニングの講座「従業員向けSNS利用研修」の導入や、さまざまなリスクシナリオを考慮した研修プログラムの策定・実施もお任せください。

もちろん、比較・ランキングサイト被害のご相談にも対応しています。「自社の業界名、またはサービス分野名」+「比較」などのキーワードで検索した際に比較・ランキングサイトが表示され、記載の順位が不当と思われたら、自社が被害にあっている可能性があります。そのような場合も、遠慮なくご相談ください。

ステマを避ける上では、クリエイティブやプロモーションを展開する媒体、メディアに問題がないかどうかをチェックする、弊社のクリエイティブリスク診断も効果的です。

過去に発生した炎上事例データベースから類似事例を調査し、炎上に発展する可能性がないか徹底的に調べます。

つまり、有事の際も「組織」として迅速かつ誠実な対応をとれる体制が必要なのです。

早期の炎上収束を実現する「危機対応支援サービス」

さらに、万が一炎上してしまった場合、素早く鎮静化できる体制を築く上では、弊社の「危機対応支援サービス」が効果的です。

自社に関するネット上の口コミやニュース記事などを収集し、ネガティブとポジティブの論調を把握。その結果を踏まえて今後のリスクを診断し、提携会社と連携した緊急窓口のコールセンター立ち上げやマスコミ向け記者会見のセッティングと運営、プレスリリースのライティングサポートといった企業対応を手厚くサポートします。

さらに、事態が落ち着くまでの間、顧客企業に関するネット上の投稿やネットメディアの動きをモニタリング。あらゆる変化を見逃さずに報告する仕組みです。

検索エンジンはリアルタイムで汚染される恐れがあるため、顧客企業の関連キーワードは常時監視し、不適切な語句がヒットした場合は速やかに鎮静化します。

ネット炎上のリスクを遠ざけ、有事の対応も誤らないようにするには、十分なデータと専門的な知見に基づくスピーディーかつ的確な判断が欠かせません。

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