悪評、デマ、誹謗中傷に屈しない真摯で効果的な風評被害対策とは【前半】
- 公開日:2023.10.13 最終更新日:2024.03.21
自社サイトのコメント欄やネット掲示板、通販サイトのレビューなどに事実ではないデマ情報や誹謗中傷にあたる文言が書き込まれてしまい、お困りではありませんか。それを放置しているとSNSなどで拡散され、気づいた時にはその情報によってあなたの企業、商品やサービスの信用、信頼性が損なわれるレベルに達している。そんなネットの「風評被害」が後を絶ちません。これを避けるためには、どのような対策を取ればいいのでしょうか。
デジタル時代の風評被害とは
「風評被害」とは一般的に「曖昧で不正確な情報が、個人の発言やインターネット上の書き込み、報道によって広がり、本来無関係の企業や個人が社会的・経済的な被害を被ること」をいいます。
昨今のデジタル時代においては社名・サービス名・商品名を検索した際、過去に発生した事実を歪曲・誇張することによって批判したコンテンツ、根拠のないうわさや事実無根の記事が検索結果に表示されることで社会的信用が不当に傷つけられている状況を指します。
具体的にはどのような例が挙げられるでしょうか。例えば、自社名での検索結果に「詐欺」「事件」といった犯罪を想起させる情報や、「不祥事」「労災」といった文言が表示されるケースです。
このようなネガティブな文言が社名につきまとうことによって、「ブラック企業」「ガバナンスに問題がある企業」という誤解を与えるような状況が生まれやすくなっています。それが原因で、社会的信頼が揺らぎ、営業活動や採用活動に支障が出る。社内のモチベーションも低下する。風評被害によって、そのような不幸な状況に陥ることがあるのです。
より身近な例では、Amazonや楽天市場などの大手通販サイトのレビューで、匿名の消費者によって投稿された自社製品に対する事実無根のネガティブなコメントも風評被害の原因となるでしょう。また、XやインスタグラムなどのSNSが普及したこの時代、ネガティブなコメントやデマ情報を放置していると、それがあたかも信憑性が高い消費者代表の声であるかのように捉えられ、拡散されてしまうリスクがあります。
あなたの企業やあなた自身に関わる事実無根のデマや誹謗中傷、誇張された悪評などに気づいた場合、適切で真摯な対策が求められます。
風評被害・誹謗中傷 解決できるお悩み
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社名検索や社長名検索にて表示されるネガティブキーワードが気になる
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風評被害の種類
風評被害にはどんな種類があるのでしょうか。そしてそれらは企業や個人にどのような影響を及ぼすのでしょうか。風評被害の種類を具体的に紹介します。
製品・サービスへの風評被害|品質や企業姿勢に疑いの目
個人ブログやX、インスタグラム、ネット通販サイトのレビューなどに自社製品が取り上げられ、「使えない」「すぐ壊れる」「写真の印象とかけ離れている」などと書き込まれてしまう。「原材料偽装」「産地偽装」などのレッテルを貼られてしまうようなケースが挙げられます。
たとえそれが間違った情報だとしても、ネット上にはデータとして残り、拡散されます。その結果、製品・サービスの品質や企業姿勢に対して疑いの目が向けられ、信用が低下してしまいます。たった一人による事実無根のデマ情報が発端となり、経営悪化、不買運動などに発展するリスクもあります。
- 製品不良や瑕疵、原材料の偽装があるという誤解により、品質や企業姿勢に疑いの目がむけられる
- 事実無根のデマから不買運動に発展する
接客品質への風評被害|不満を増幅させた投稿
接客に満足できなかった場合、その不満を何倍にも増幅させてクレームを投稿する消費者がいます。話を大げさにしたり、あえてねじ曲げた表現で書き込んだりして、同情や注目を集めたいという感情もあるのかもしれません。
そのような、いわゆるクレーマーへの対応が風評被害につながることもあります。クレーマーに対して適切な対応を取れなかった場合、もしくはクレーマーへの対応を避けたり無視した場合、風評被害に繋がりやすくなります。
対面による接客以外にも、コールセンターやカスタマーセンターなど、問い合わせ窓口での電話やメールへの応対にも、風評被害のリスクが潜んでいます。
製品やサービスそのものに不満を抱えている上、なかなか電話がつながらないなど、顧客がストレスをため込んでいることも背景にあって、暴言を吐いたり高圧的な態度に出るケースがあります。その際に火に油を注ぐような応対をしたり、途中で電話を切ってしまったり、対応部署を「たらいまわし」にしたりすると、クレーマーの感情をさらに逆なでするでしょう。
- 商品やサービスを販売する際の接客に対するクレームから風評被害につながる
- サポートセンターなどの問い合わせ窓口での応対品質によって、クレーマーの感情が悪化することがある
アルバイトによるテロ|悪ふざけが引き起こす甚大な被害
アルバイトの悪ふざけが過去に拡散されて炎上し、「不衛生」な印象を持たれてしまったばかりに、風評被害に長く苦しむ飲食チェーンや食品業者は少なくありません。
2019年には大手コンビニチェーン店のアルバイトが、おでんの具材のしらたきを口に入れた後、鍋の外に吐き出した動画が拡散され、大炎上した事案を記憶している人も多いでしょう。
問題となったバイトが勤務する店舗だけでなく、その影響は全国の店舗に波及しました。それだけではありません。事案から数年が経過しても、その事実はネットから消え去ることはなく、「コンビニおでん=不衛生」というマイナスイメージは問題を起こしたコンビニ以外のフランチャイズ店や具材製造工場、一般のおでんを取り扱う飲食店にいたるまで甚大な風評被害をもたらしました。
同じく2019年に発生した、回転ずしチェーンの厨房での「バイトテロ」も同様です。ゴミ箱に一旦捨てた魚をまな板の上に戻して調理しようとするバイト従業員の悪ふざけの動画が、インスタグラムに投稿されました。
その動画が「汚い」などのコメントつきで瞬く間に拡散。当該回転ずしチェーンには1300件もの苦情電話が殺到し、当該店舗以外にも、そのマイナスイメージはつきまといました。社会通念上、悪ふざけは、とてつもない風評被害の引き金になるのです。
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siemple.co.jp- 衛生面での不安をあおる行動
- 不衛生な印象を与える悪ふざけ
採用面接やインターンの風評被害|求職者減少、内定辞退増加に
企業の成長には効果的な採用活動、広報活動が欠かせません。しかし、せっかく費用を投じた採用活動がマイナスイメージを拡散し、逆効果となっているケースも多く見受けられます。その原因となるのが、「ネガティブな内容の口コミ投稿」です。企業名で検索する際、例えば「ブラック企業」「悪徳」などの検索候補(サジェスト)が表示されることが挙げられます。
そのなかには事実無根の批判もあれば、実際に面接を受けた側が感じたことを誇張して書き込むケースも見受けられます。その会社の面接を受けたものの入社できず、腹いせとしてネガティブな情報を書き込む事案も少なくありません。
例えば、高圧的な「圧迫面接」と受け取られたり、「ジェンダーに無神経な面接」などと書きこまれたり。企業によっては「OB訪問時にセクハラ被害を受けた」「学歴で差別(フィルタリング)している」などという書き込みも散見されます。このような状況を放置すると、求職者の減少や内定辞退者の増加につながりかねません。
- 圧迫面接、面接時のセクハラ発言やジェンダー差別(失言)
- OB訪問時のセクハラ被害の発生
企業風土、働きにくさへの風評被害|労働環境の不満も火種
2020年には「妊娠を報告したら、社長から減給を提案された」との女性コンサルタントによる告発ツイートが拡散され、「マタハラ(マタニティ・ハラスメント)」だと企業が糾弾されたことが話題になりました。パワハラ、セクハラ、産休・育休の取得に関わる働きづらさ、労働環境、社内の人間関係についての不満など、事実でなく誤解であっても風評被害の火種となります。
「マタハラ」内部告発で「炎上」!企業を襲うレピュテーションリスクとは? | シエンプレ株式会社 - 唯一のデジタル・クライシス&サイレントクレーム対策会社
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- パワハラ、セクハラと受け取られかねない態度
特定の個人への風評被害|誹謗中傷が精神的・経済的ダメージに
ネットの風評被害は経営者や管理職、従業員、店舗のオーナー、店主などの個人に及ぶこともあります。企業が宣伝などで起用している芸能人やインフルエンサーも風評被害を受ける事例が多発しています。
それに加えて、過去に犯罪歴や逮捕歴がある人が過去をさらされたり、不倫や離婚などのプライベートな過去やスキャンダルが悪意をもってネット上に書き込まれ、風評被害が長期間、個人につきまとうケースが見受けられます。
書き込まれた内容が事実であるかどうかに関わらず、悪評や誹謗中傷、逮捕歴などはターゲットになった個人の私生活に多大な影響を及ぼします。再就職がうまくいかなかったり、結婚が破談になったり、会社を解雇されたり、金融機関の審査が通らなかったりすることもあり得るでしょう。
そんな個人への風評被害は、精神的・経済的なダメージによって生活に支障が出るだけでなく、その個人が所属する(関わる)企業全体のレピュテーションリスクに発展することもあります。そんな風評被害は、取引先との関係が悪化したりするなど、企業の営業活動に支障が出る可能性もあります。レピュテーションとは「評判」の意味です。文字通り、「企業の評判が失墜する危険」を指します。
リスクの内容は多岐にわたりますが、企業価値そのものに深刻なダメージを及ぼしかねないものの一つに「レピュテーションリスク」があります。会社ぐるみ、もしくは従業員による不正・不祥事の発覚。製品やサービスに対する消費者の不満。職場の人間関係や労働環境などをめぐっての内部告発など。レピュテーションリスクの火種は、あちこちに潜んでいます。それがSNSや口コミサイトに書き込まれると、その悪評が拡散され、たちまち「炎上」に巻き込まれる企業は後を絶ちません。
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- 従業員への風評被害
マスコミ報道に起因する風評|誤報、偏向報道のしわ寄せ
テレビなどのマスコミによる報道は不特定多数にほぼリアルタイムに情報を伝達します。一般的にはSNSでの個人による発信よりは信憑性が高いとされていますが、それでも時に十分な裏取りをせずに放送、記事化したことによる「誤報」や一方の意見に偏った「偏向報道」は発生します。
マスコミはその影響力の大きさから、一度誤った情報が配信されてしまうと、のちに訂正したとしても、それ以前の状態に社会の信頼を回復することが難しくなりやすいという特徴があります。
1999年には民放ニュース番組で、ダイオキシンが検出されたと報道された野菜の不買運動につながり、野菜の価格が暴落するなどして社会問題化しました。しかし、その野菜のものとされていた測定結果は、実は全く異なる作物のものだったのです。まさにマスコミによる風評被害の代表的な事案といえるでしょう。
風評被害はなぜ発生するのか?
SNSにおいて効果とリスクは表裏一体
インターネット、SNSの急速な普及によって誰もが気軽に情報発信できる時代です。総務省の令和4年版情報通信白書によると、「2022年1月時点の世界の主要SNSの月間アクティブユーザー数は、Facebookの29億1千万人を筆頭にその利用者は増え続けており、国内においてもSNS利用者は8千200万人を突破しました。
そのため、従来表面化しづらかったことが、SNSによって容易に表出、顕在化する時代になりました。
SNSは企業にとって製品PRや採用情報などを告知するなど効果的なマーケティングツールとして活用できる一方で、消費者や取引先、従業員などが書き込むネガティブな情報も企業名とともに容易に拡散されるようになりました。
誰でも気軽に投稿できることによって、根拠のない情報や誤解を生みやすい情報までもが多くの人の目に触れてしまうリスクがあります。そしてそれが簡単に共有、シェアできる仕組みがあるため、瞬く間に広がってしまう危険があるのです。
検索エンジンは内容の正否を判断しない
GoogleやYahoo!の検索結果は、内容の正否に関わらず、有益な情報と判断したものを上位表示する仕組み(アルゴリズム)です。アルゴリズムが内容の正否を判断せずに、コンテンツ量(情報量)やキーワードとの一致性、リンクとの関連性、コンテンツの質などからユーザーの利便性を推察して上位表示しています。そのため、事実無根の情報やうわさ、デマ情報までもが上位に表示されてしまうことがあるのです。
匿名掲示板への書き込みは身分を隠せる
「5ちゃんねる(旧・2ちゃんねる)」などの匿名掲示板では、匿名もしくはハンドルネームで自由に投稿できる特徴があります。そのため、身分を隠した上でデマを書き込んだり、曲解や誇張を含む投稿をされやすい傾向があります。書き込まれた内容は直ちに共有され、多くの人の目にふれることになります。
転職掲示板への書き込みが風評被害の原因になることもある
経済成長が鈍化するにつれて人件費が大企業を圧迫する状況が続いています。日本企業ならではの終身雇用制度の崩壊が叫ばれる一方で、実際の転職者はほぼ横ばいですが、転職希望者は年々増加傾向にあり、「転職希望者1000万人時代」とも言われています。
転職先の企業情報を調べる際に活用される「転職掲示板」は、その企業で過去に働いていた人や、現在働いている人がクチコミやレビューを書き込めます。それらの内容は、転職希望者にとって、働きやすさや待遇面について参考にできるというメリットがあります。
一方で企業にとっては、ポジティブな投稿だけでなく、ネガティブな投稿もコントロールが及ばない領域で顕在化してしまうため、風評被害を招く可能性があります。
ニュースサイト発の風評被害|報道されにくい続報
Yahoo!ニュースなどのニュースサイトは、一般的に大手新聞社・通信社・テレビ局などの配信記事を選別して転載するケースが多く、マスコミ報道と同様、不特定多数にほぼリアルタイムで情報を伝達します。SNSの個人による発信よりは信憑性が高いとされていますが、裏取りを尽くさずにオンエア、記事化される「誤報」や「偏向報道」が配信されることが起こりえます。また、途中経過だけが切り取られて配信されることも多々あります。
一度誤った情報が配信されてしまうと、のちに訂正したとしても、社会の信頼を回復することが難しいという特徴があります。例えば、ある企業の従業員が会社で上司からパワハラを受けたと内部告発したとします。それがニュースとなり、情報は拡散します。ところがその後、実際にパワハラの事実はなかったことが認定されても、その続報は出されないといったケースです。
大手回転ずしチェーン「スシロー」の店舗で客の少年が卓上のしょうゆ差しの注ぎ口をなめる迷惑行為の動画が拡散した問題で2023年6月、スシローの運営会社がこの少年に対し、約6700万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴していたという報道に触れた人も多いのではないでしょうか。
このニュースを読んだ人は、実際にこの少年と家族が6700万円を支払うかのように受け止めるかもしれません。専門家のなかには、「不適切な行為は二度と許さない」といった企業側の毅然とした姿勢を広報する目的であると同時に、被った損害と同等の適切な賠償を請求し、適切な対応を取ったと株主に示すためだとの見方もあります。裁判の成り行きや判決が注目されますが、結審までには一定の時間を要することもあり、初報に比べて続報や後日談は報道されにくいのが、このパターンに該当します。