うどんチェーンが魅せた「カエル混入」の危機対応
- 公開日:2023.07.14 最終更新日:2023.12.06
食品・飲食業界の企業・店舗にとって「異物混入」はいつ、何が原因で発生するか分からないリスクです。目に見える異物はSNS上などで晒されやすく、大きな騒動を引き起こすかもしれません。再発防止策などへの取り組み姿勢が批判を浴びれば、その後の経営にも悪影響を及ぼすでしょう。本記事では、うどんチェーンの店舗で発生した事例を取り上げ、異物混入を巡る危機対応のあり方を考えます。
食品苦情の上位に位置する異物混入
東京都保健福祉局の統計によると、2021年度の食品の苦情件数の合計は3,620件でした。
要因別で最多を占めたのは食中毒症状を指す「有症」(960件)で、2番目に多かったのは「異物混入」(561件)です。どちらも消費者の健康を脅かす要因のため、苦情として顕在化しやすいのは当然でしょう。
とりわけ、異物混入は動画や画像に収めやすく、発生した場合はあっという間にSNS上で暴露されてしまうリスクが指摘されています。
とはいえ、異物混入は都内だけでも1日1件を超えるペースで起こっているのが実態です。複雑な製造工程を経ることも多い食品の異物混入を撲滅するのは、極めて困難ということでしょう。
もちろん、異物混入を防ぐための取り組みは欠かせませんが、告発される当事者となってしまった場合の危機対応も考えておく必要があります。その後の命運は、SNSの炎上対応を含めた行動に懸かっているのです。
容器の底に生きたままのカエル
2023年5月21日、うどんチェーン大手A社の店舗で発生した事案では、前代未聞とも言える「異物」が世の中を騒然とさせました。
うどんを食べた客が容器の底で目にしたのは、生きたままのカエルです。この客は翌22日、カエルが沈む容器を撮影したショッキングな動画と画像をTwitter(現X)に投稿。それは瞬く間に拡散し、著名人のSNSアカウントやメディアで取り上げられました。
Twitter上では、異物混入を報告した投稿者の自作自演やデマを主張するコメントが相次ぎました。「生きたままのカエル」と聞いて「嘘だろう」と疑うユーザーが多かったのは無理もないことでしょう。
裏を返せば、思わず「あり得ない」と驚いてしまうほど強烈なインパクトがあったということです。
全工場の立ち入り検査と関連商品の販売休止などを発表
こうした事態を受け、A社は5月23日にカエルの混入を認める謝罪コメントをリリースしました。異物混入の発生からすでに2日間が経過していましたが、原因究明と再発防止に全力を挙げる姿勢を打ち出し、全工場の立ち入り検査を実施する考えを明らかにしています。
あわせて、異物が混入したメニューと同じ食材を使った商品の販売を3日間休止することも表明しました。
さらに、2日後には2回目の謝罪コメントを出し、関連商品の販売を当面中止することを発表。改めて再発防止を誓うとともに、これらの商品の製造工程をつまびらかにしました。
異物混入に不安を覚えた消費者が「こうしてほしい」と思う緊急措置を取り、知りたい情報をきちんと開示した結果、一連の経過を巡る投稿件数は5月23日午後6時頃をピークに急減しています。2回目の謝罪に踏み切ったタイミングでは、騒動はほぼ収束していました。
SNS上ではポジティブな反応が8割!
製造工程に原因があった異物混入は事業者に言い訳の余地がないと考えられやすい分、当事者の責任を追及する厳しい声が強まりがちな事案と言えます。
しかし、A社は該当商品の販売休止など徹底的に再発防止策を講じる姿勢を迅速に発信し、事態の発生直後からネガティブな反応を抑えることに成功しました。
Twitter上には「企業の対応が迅速で素晴らしい」「対応の素晴らしさに、A社が一層好きになった」といった好意的な投稿があふれ、シエンプレが実施したマイニング調査でもポジティブな反応が8割に達しています。
自社のレピュテーションを高めることにもなったA社の危機対応から学べるのは、事後であっても適切な措置を取れば世の中の論調をコントロールできるということです。
つまり、異物混入が認知された際はインターネット上などの論調を把握し、謝罪までの迅速な対応が欠かせません。該当商品などの販売休止を即座に決断して2次被害の拡大を防ぎ、騒動への便乗を狙った投稿を食い止める必要もあります。
複数の店舗やフランチャイズを運営している場合は、本部が中心となって対応することも不可欠です。
A社はSNS上で自作自演やデマではないかという書き込みが多く見られた中でも、適切なタイミングで謝罪に踏み切っています。
また、該当商品の販売をチェーン全体で休止したことで、さらなる炎上の火種が生まれる隙をつくりませんでした。
こうした適切な対応を滞りなく進められたのは、異物混入という緊急時のオペレーションが整備されていたからに他なりません。
論調を把握・分析し、炎上時も速やかに鎮静化
シエンプレ株式会社が提供している「危機対応支援サービス」はインターネット上の口コミやニュース記事などを収集し、ネガティブかポジティブかという論調を把握します。これを通じてインターネット上の動向を分析することで、今後のリスクの度合いを診断します。
万一の際も、提携会社と連携した緊急窓口のコールセンター立ち上げや、マスコミ向け記者会見のセッティング・運営、メディア側を納得させるプレスリリースのライティングサービスといった企業の事後対応を伴走支援します。
さらに、事態が落ち着くまでの間、顧客企業に関するネット上の投稿やネットメディアの論調をモニタリングし、トーンや切り口の変化などを見逃さずに報告するので安心です。
検索エンジンで表示される顧客企業の関連キーワードも監視し、不適切な語句がヒットした場合は速やかに対応できますのでご安心ください。
炎上リスクを抑制し、有事の対応も失敗しないようにするためには、豊富な緻密なデータと高度な知見を活かした迅速かつ的確な対応が欠かせません。
炎上の火種をいち早く察知し、大きな騒動になる前に収束させるデジタル・クライシス対策の強化をお考えの場合は、国内ナンバーワンの契約実績と高い信頼性、豊富な実践ノウハウを誇るシエンプレ株式会社まで、お気軽にご相談ください。