相次ぐ企業採用担当者のSNS炎上~その要因と対策法とは~
- 公開日:2022.06.01 最終更新日:2023.06.08
※この記事は雑誌『美楽』2022年6月号の掲載内容を転載しております。
2022年に入り、企業の採用担当者のSNSの炎上が相次いでいます。「炎上」という言葉が世間に定着している昨今、なぜ企業の顔である採用担当者へのネット批判が後を絶たないのでしょうか。
1月から2月までの短期間で3件もの企業採用担当者のSNS炎上が発生しています。1件目は、A社の採用担当者の発言です。「採用は“採ってはいけない人“を見極める仕事だ」というツイートに対し、「人事がしてはいけない発言だ」「不採用者から見たら不愉快」などの批判が集中しました。このツイートが要因となり、同社の株価は下落。企業への不信感から株を売却した投資家もいました。また同月に、B社の担当者が「給与や待遇にこだわりのある人とは働きたくない」とツイート。SNSはもちろん、B社のグーグルビジネスプロフィール(※1)のレビュー欄にも苦言が相次ぎました。さらに翌月には、C社の採用担当者が求職者の質問に対し、公式インスタグラムのストーリーズに企業としてではなく、個人的な意見を投稿。上から目線とも捉えられかねない発言が批判を浴び、炎上する結果となりました。
これらのSNS炎上の最大要因は「受け手側への配慮不足」といえるでしょう。年代や性別を問わず、幅広い層にSNSが普及した今、多くの人が他者からのマウンティングやハラスメントなど、劣等感や不快感のある投稿に敏感になっているのです。
SNSでの炎上を回避するための対策方法は3つ挙げられます。まず1つ目は「受け手の思考を想像する」ということ。上から目線ではないか、傷付く人はいないかなど、投稿前に自身の発言を多角的に分析する必要があります。2つ目は「感情を思い付いたままに発信しない」こと。その場の勢いのまま、安易に発信してしまうことで、前述したように「受け手側への配慮」が欠如した内容になる傾向があります。すぐに投稿を削除したとしても、すでに不特定多数にコピーされ、全世界に拡散されてしまうことはほぼ間違いないでしょう。3つ目は「投稿に責任が持てるのかどうか」ということです。SNSのプロフィールに企業名を記載している以上、企業の顔であることを忘れてはいけません。その投稿に対する責任が持てるかどうかを想像することが重要なのです。
しかし、炎上を恐れるあまり何も言えなくなってしまうのでは、優秀な人材を獲得するチャンスを逃してしまいます。一定の批判が来ることを想定した上でその発言に明確な意思があり、責任が持てるのであれば、あえて発信をすることも1つの戦略といえるでしょう。その場合は、想定しうる批判に対して、防御策を事前に準備しておく必要があります。
日本のSNS人口は、2022年末には8241万人に達するといわれています。SNSは使い方次第では企業のファンを増やすことができる優れたツールです。安易な情報発信の危険性をしっかりと認識し、有効に活用していきましょう。
※1 グーグル社が提供するビジネスオーナー向けの情報管理ツール。グーグルマップや検索結果に表示される企業や店舗の情報の編集が可能