2023.12.29
炎上事案分析データ2023年10月版(調査対象期間:2023年10月1日~2023年10月31日)
2023年7月5日
シエンプレ株式会社はネット炎上や情報漏えいなどのデジタル上で発生したクライシス(危機や重大なトラブル)を研究する、日本初の研究機関、一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所(以下、デジクラ総研)と共同で、2023年5月1日~5月31日に発生したネット炎上についての件数とその内訳の分析結果を公開しました。
目次
2023年1月31日、デジクラ総研はソーシャルメディアを中心とした各種媒体とデジタル上のクライシスの特性、傾向と論調を把握するために「デジタル・クライシス白書2023」(調査対象期間:2022年1月1日~12月31日)を公開しました。今回、2023年5月に発生した炎上事案を、新たに分析しています。
投稿内容に「炎上」というキーワードを含む3,197件の投稿から108件の炎上事案を抽出(※)。炎上の原因となった問題行動の主体、問題行動の内容、炎上を起こした企業の業種などの切り口から傾向を分析しました。
※デジクラ総研では「炎上」の定義を、「企業や団体、個人が発言した内容、行った行為がSNSやWebメディア上に掲載・拡散され、それに言及した批判や非難の投稿が100件を超えた場合」としています。
「デジタル・クライシス白書2023」をダウンロード調査期間:2023年5月1日~5月31日
調査対象:Twitter、Facebook、Yahoo!ニュース、Amebaブログ、FC2ブログ、Yahoo!知恵袋、5ちゃんねる など、SNS媒体と炎上拡大の要因になりやすいとデジクラ総研が判断した媒体への投稿
調査方法:デジクラ総研ソーシャルリスニングツールを使用
分析対象投稿数:3,197件
うち炎上事案数:108件
・5月の炎上事案は108件でした。前月に比べ、23件減少しています。
・炎上事案の原因となった問題行動の主体別の内訳では、「著名人」38件(35.2 %)、「法人等」41件(38.0%)、「一般人」29件(26.9%)という結果でした。
・前月4月と比較し、「著名人」は14件、「法人等」は10件減少し、「一般人」は1件増加しています。
・前月4月は「著名人」が39.7%、「法人等」が38.9%、「一般人」の割合が21.4%を占めていました。前月と比較すると「著名人」の割合が減少(39.7%→35.2%)し、「一般人」の割合が増加(21.4%→26.9%)しています。
・なお2022年全体の炎上事案の主体の割合は、著名人が35.2%、法人等が35.4%、一般人が29.4%とそれぞれの割合が約3割ほどでほぼ均等でした。それと比較すると、23年5月は「著名人」「法人」の割合が高く、「一般人」の割合が低い結果でした。
・また前年同月比では、炎上事案発生件数は22件増加しています。「著名人」が14件、「法人等」が5件、「一般人」が3件増加しました。
・2022年5月は「新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置」がすでに解除されたタイミングではあったものの、新型コロナウイルスへの警戒から、経済活動が自粛傾向にありました。2023年5月はそれと比較すると個人ならびに企業の活動が活発化したことから、発生件数が増えたのではないかと考えられます。
・炎上の原因となった問題行動のうち、95件(88.0%)が「不適切と判断される可能性のある発言・行為」に該当し、「反社会的行為や規則・規範に反した行為(の告白・予告)。法律に抵触する可能性のある行為」は13件(12.0%)と少数でした。前月と比較すると「不適切と判断される可能性のある発言・行為」の割合が減少(88.5%→88.0%)しています。
・問題行動の主体のうち、「法人等」に該当する炎上41件を業界ごとに分類しました。炎上事案が多かったのは「娯楽・レジャー」「メディア」業界で、それぞれ14件(34.1%)という結果でした。公開された映画に対する批判、テレビ番組の放送内容に対する批判などの事例がありました。
・問題行動の主体について上場企業か否か、また、それぞれの従業員数について分析しました。上場区分に関して「上場企業」3社(12.0%)、「非上場企業」22社(88.0%)という結果でした。
炎上件数が前月比較でみると2割ほど減少しているという点に目がいきますが、実際には昨年に比較すると前年同月比では22件増加しているとのことなので、あくまで今年4月の炎上件数が多かっただけと考えた方が良さそうです。
特に5月は、ジャニーズ事務所における性被害問題が大きな問題となり、藤島ジュリー景子社長が謝罪したことが注目されました。これまで大手メディアでは報じられなかったこの問題が、ここまで多くのメディアで報じられるようになったのは大きな変化と言えます。
その変化のきっかけとなったのは、BBCによるドキュメンタリーでしたが、BBCの放映直後は大手メディアに黙殺されていたこの問題に世間の眼を向けたのはカウアン・オカモト氏をはじめとする個人の告発でした。従来であれば、かき消されていたであろう個人の告発が、従来の芸能界や大手メディアの常識をひっくり返したことになります。
この変化は、日本における組織と個人の力関係の変化を象徴する出来事としても歴史に残ることになると考えられますし、今後も、従来であれば黙殺されていた、個人の告発による炎上が日本でも増えることになると思います。
抽出したデータは表1の基準に基づき分類しました。
また、問題行動の主体が「法人等」の場合、表2に基づき20の業界に分類しました。
なお、表2に該当しない業界に関しては「その他」としてデータを処理しました。
(表1)
*参考:山口真一(国際大学GLOCOM 准教授):
「ネット炎上の研究『炎上の分類・事例と炎上参加者属性』」, 出版記念公開コロキウム用資料, 2016
*データ確認日時点でフォロワー(もしくはチャンネル登録、読者登録)数が一定数を超えている場合を「著名人」として定義しています。
(表2)
*参考:『業界動向サーチ』 https://gyokai-search.com/2nd-genre.htm
5月の炎上事案は108件でした。前月に比べ、23件減少しています。
炎上事案の原因となった問題行動の主体別の内訳では、「著名人」38件(35.2 %)、「法人等」41件(38.0%)、「一般人」29件(26.9%)という結果でした。
また前年同月比では、炎上事案発生件数は22件増加しています。「著名人」が14件、「法人等」が5件、「一般人」が3件増加しました。
前月と比較し、5月の炎上事案発生率は「著名人」が4.5ポイント、「法人等」が0.9ポイント減少し、「一般人」が5.5ポイント増加しました。
前年同月比では、「著名人」が7.3ポイント増加し、「法人等」が3.9ポイント、「一般人」が3.3ポイント減少しました。
炎上の原因となった問題行動のうち、95件(88.0%)が「不適切と判断される可能性のある発言・行為」に該当し、「反社会的行為や規則・規範に反した行為(の告白・予告)。法律に抵触する可能性のある行為」は13件(12.0%)と少数でした。
炎上の原因となった問題行動の内容としては「2-4」(その他、特定の層を不快にさせるような内容・発言・行為)に該当する炎上が最も多く、次いで「2-1」(サービスや商品に関連する過失・欠陥など)に該当する炎上が多い結果となりました。
炎上内容の詳細を分析したところ、「問題発言」に関する炎上事案が37件、次いで「その他」を除き、「非常識な行動(モラルのなさ)」に関する炎上事案が17件でした。
問題行動の主体のうち、「法人等」に該当する炎上41件を業界ごとに分類しました。炎上事案が多かったのは「娯楽・レジャー」「メディア」業界で、それぞれ14件(34.1%)という結果でした。
問題行動の主体について上場企業か否か、また、それぞれの従業員数について分析しました。
上場区分に関して「上場企業」3社(12.0%)、「非上場企業」22社(88.0%)という結果でした。
前年同月比では、上場企業の割合が5.7ポイント増加しました。
従業員数でみると、「1,000人以上」の大企業が9件であり、国内企業における炎上の36.0%を占めました。
前年同月比では、1,000人以上の従業員数の企業の割合が17.2ポイント増加し、100人未満の割合が25.5ポイント減少しました。
■炎上事案分析データ2023年5月版のダウンロードはこちらから
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お問い合わせ名称:一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所
代表理事:佐々木 寿郎
アドバイザー:山口真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授)
沼田知之(西村あさひ法律事務所所属弁護士)
設立日:2023年1月20日
公式HP:https://dcri-digitalcrisis.com/
関連会社:シエンプレ株式会社
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