2022.08.18
炎上事案分析データ2022年7月版(調査対象期間:2022年7月1日~2022年7月31日)
2023年6月7日
シエンプレ株式会社は、ネット炎上や情報漏えいなどのデジタル上で発生したクライシス(危機や重大なトラブル)を研究する、日本初の研究機関、一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所(以下、デジクラ総研)と共同で、2023年4月1日~4月30日に発生したネット炎上についての件数とその内訳の分析結果を公開しました。
目次
2023年1月31日、デジクラ総研はソーシャルメディアを中心とした各種媒体とデジタル上のクライシスの特性、傾向と論調を把握するために「デジタル・クライシス白書2023」(調査対象期間:2022年1月1日~12月31日)を公開しました。今回、2023年4月に発生した炎上事案を、新たに分析しています。
投稿内容に「炎上」というキーワードを含む7,856件の投稿から131件の炎上事案を抽出(※)。炎上の原因となった問題行動の主体、問題行動の内容、炎上を起こした企業の業種などの切り口から傾向を分析しました。
※デジクラ総研では「炎上」の定義を、「企業や団体、個人が発言した内容、行った行為がSNSやWEBメディア上に掲載・拡散され、それに言及した批判や非難の投稿が100件を超えた場合」としています。
「デジタル・クライシス白書2023」をダウンロード調査期間:2023年4月1日~4月30日
調査対象:Twitter、Facebook、Yahoo!ニュース、Amebaブログ、FC2ブログ、Yahoo!知恵袋、5ちゃんねる など、SNS媒体と炎上拡大の要因になりやすいとデジクラ総研が判断した媒体への投稿
調査方法:デジクラ総研ソーシャルリスニングツールを使用
分析対象投稿数:7,856件
うち炎上事例数:131件
・4月の炎上事案は131件でした。前月に比べ、18件増加しています。
・炎上事案の原因となった問題行動の主体別の内訳では、「著名人」52件(39.7 %)、「法人等」51件(38.9%)、「一般人」28件(21.4%)という結果でした。
・前月3月は「著名人」が約2割、「法人等」「一般人」の割合がそれぞれ約4割を占めていました。前月と比較すると「著名人」の割合が大きく増加しています(24.8%→39.7%)。
・なお2022年全体の炎上事案の主体の割合は、著名人が35.2%、法人等が35.4%、一般人が29.4%とそれぞれの割合が約3割ほどでほぼ均等でした。それと比較すると、23年4月は「著名人」「法人」の割合が高く、「一般人」の割合が低い結果でした。
・前月と比較し、「著名人」は24件、「法人等」は10件増加し、「一般人」は16件減少しています。
・23年4月は「統一地方選挙」が行われ、政治家が炎上の主体となったケースが複数みられました。
・また前年同月比では、炎上事案発生件数は66件と、201.5%に増加しています。2022年4月は「新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置」が解除されたタイミングではあったものの、新型コロナウイルスへの警戒から、経済活動が自粛傾向にありました。他方、2023年4月はそれと比較すると個人ならびに企業の活動が活発化したことから、発生件数が増えたのではないかと考えられます。
・炎上の原因となった問題行動のうち、116件(88.5%)が「不適切と判断される可能性のある発言・行為」に該当し、「反社会的行為や規則・規範に反した行為(の告白・予告)。法律に抵触する可能性のある行為」は15件(11.5%)と少数でした。前月と比較すると「不適切と判断される可能性のある発言・行為」の割合が減少(95.6%→88.5%)しています。
・問題行動の主体のうち、「法人等」に該当する炎上51件を業界ごとに分類しました。炎上事案が最も多かったのは「娯楽・レジャー」業界で、18件(35.3%)という結果でした。ゲーム関連のイベントに対する批判、公開された映画に対する批判などの事例がありました。
・問題行動の主体について,、対象の「法人等」が上場企業か否か、また、それぞれの従業員数について分析しました。上場区分に関して「上場企業」7社(22.6%)、「非上場企業」24社(77.4%)という結果でした。
2023年4月は炎上事案が18件増加し、著名人による炎上事案の割合が増加したことが指摘されている。
他方で、炎上の原因としては、毎月ほぼ一貫した傾向として、「非常識な発言・行為、デリカシーのない内容・発言・行為」や「特定の層を不快にさせるような内容・発言・行為」の割合が高いことにも注目したい。
法律違反や反社会的行為とまでは評価されないような行為であっても、SNSにおける同調圧力やネガティビティバイアスにより炎上につながることを理解しておく必要がある。
SNSに投稿する際には、通常の人間同士の会話では控えるような内容でないか、自分とは異なる考え方の人が受け取った時に強い不快感を与えるものでないか、今一度考えた上でボタンをクリックするようにしたい。
抽出したデータは表1の基準に基づき分類しました。
また、問題行動の主体が「法人等」の場合、表2に基づき20の業界に分類しました。
なお、表2に該当しない業界に関しては「その他」としてデータを処理しました。
(表1)
*参考:山口真一(国際大学GLOCOM 准教授):
「ネット炎上の研究『炎上の分類・事例と炎上参加者属性』」, 出版記念公開コロキウム用資料, 2016
*データ確認日時点でフォロワー(もしくはチャンネル登録、読者登録)数が一定数を超えている場合を「著名人」として定義しています。
(表2)
*参考:『業界動向サーチ』 https://gyokai-search.com/2nd-genre.htm
4月の炎上事案は131件でした。前月に比べ、18件増加しています。
炎上事案の原因となった問題行動の主体別の内訳では、「著名人」52件(39.7 %)、「法人等」51件(38.9%)、「一般人」28件(21.4%)という結果でした。
また前年同月比では、炎上事案発生件数は66件増加しています。「著名人」が33件、「法人等」が27件、「一般人」が6件増加しました。
前月と比較し、4月の炎上事案発生率は「著名人」が14.9ポイント、「法人等」が2.6ポイント増加し、「一般人」が17.6ポイント減少しました。
前年同月比では、「著名人」の割合が10.5ポイント、「法人等」は2.0ポイント増加し、「一般人」は12.5ポイント減少しました。
炎上の原因となった問題行動のうち、116件(88.5%)が「不適切と判断される可能性のある発言・行為」に該当し、「反社会的行為や規則・規範に反した行為(の告白・予告)。法律に抵触する可能性のある行為」は15件(11.5%)と少数でした。
炎上の原因となった問題行動の内容としては「2-4」(その他、特定の層を不快にさせるような内容・発言・行為)に該当する炎上が最も多く、次いで「2-3」(非常識な発言・行為、デリカシーのない内容・発言・行為)に該当する炎上が多い結果となりました。
炎上内容の詳細を分析したところ、「問題発言」に関する炎上事案が41件、次いで「その他」を除き、「非常識な行動(モラルのなさ)」に関する炎上事案が30件でした。
問題行動の主体のうち、「法人等」に該当する炎上51件を業界ごとに分類しました。炎上事案が最も多かったのは「娯楽・レジャー」業界で、18件(35.3%)という結果でした。
問題行動の主体について上場企業か否か、また、それぞれの従業員数について分析しました。
上場区分に関して「上場企業」7社(22.6%)、「非上場企業」24社(77.4%)という結果でした。
前年同月比では、上場企業の割合が6.8ポイント減少しました。
従業員数でみると、「1,000人以上」の大企業が12件であり、国内企業における炎上の41.9%を占めました。
前年同月比では、1,000人以上の従業員数の企業の割合が30.6ポイント減少し、500人以上1,000人未満の割合が13.5ポイント増加しました。
■炎上事案分析データ2023年4月版のダウンロードはこちらから
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お問い合わせ名称:一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所
代表理事:佐々木 寿郎
アドバイザー:山口真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授)
沼田知之(西村あさひ法律事務所所属弁護士)
設立日:2023年1月20日
公式HP:https://dcri-digitalcrisis.com/
関連会社:シエンプレ株式会社
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