2024.03.19
炎上事案分析データ2024年1月版(調査対象期間:2024年1月1日~2024年1月31日)
2023年5月2日
ネット炎上や情報漏えいなどのデジタル上で発生したクライシス(危機や重大なトラブル)を研究する、日本初の研究機関デジタル・クライシス総合研究所(以下、デジクラ総研)は、2023年3月1日~3月31日に発生したネット炎上についての件数とその内訳の分析結果を公開しました。
目次
2023年1月31日、デジクラ総研はソーシャルメディアを中心とした各種媒体とデジタル上のクライシスの特性、傾向と論調を把握するために「デジタル・クライシス白書2023」(調査対象期間:2022年1月1日~12月31日)を公開しました。今回、2023年3月に発生した炎上事案を、新たに分析しています。
投稿内容に「炎上」というキーワードを含む1,958件の投稿から113件の炎上事案を抽出(※)。炎上の原因となった問題行動の主体、問題行動の内容、炎上を起こした企業の業種などの切り口から傾向を分析しました。
※デジクラ総研では「炎上」の定義を、「企業や団体、個人が発言した内容、行った行為がSNSやWEBメディア上に掲載・拡散され、それに言及した批判や非難の投稿が100件を超えた場合」としています。
「デジタル・クライシス白書2023」をダウンロード調査期間:2023年3月1日~3月31日
調査対象:Twitter、Facebook、Yahoo!ニュース、Amebaブログ、FC2ブログ、Yahoo!知恵袋、5ちゃんねる など、SNS媒体と炎上拡大の要因になりやすいとデジクラ総研が判断した媒体への投稿
調査方法:デジクラ総研ソーシャルリスニングツールを使用
分析対象投稿数:1,958件
うち炎上事例数:113件
・3月の炎上事案は113件でした。前月に比べ、65件減少しています。
・炎上事案の原因となった問題行動の主体別の内訳では、「著名人」28件(24.8 %)、「法人等」41件(36.3%)、「一般人」44件(38.9%)という結果でした。
・前月は2月は「一般人」が4割を超え、最も大きい割合を占めていましたが、3月は「著名人」が約2割、「法人等」「一般人」の割合がそれぞれ約4割を占めています。「著名人」の割合が比較的低い結果でした。
・なお2022年全体の炎上事案の主体の割合は、著名人が35.2%、法人等が35.4%、一般人が29.4%とそれぞれの割合が約3割ほどでほぼ均等でした。
・前月と比較し、「著名人」では25件、「法人等」では8件、「一般人」では32件減少しており、「一般人」が最も減少しています。
・1月下旬に起きた回転寿司店の事例を皮切りに、いわゆる「客テロ」と呼ばれる事象が連続して発生しました。2月も継続的に発生し、Twitter上で大きく話題になった他、テレビの報道番組等でも取り上げられましたが、3月には収束傾向がみられ、「一般人」の件数が大きく減少しました。
・また前年同月比では、炎上事案発生件数は15件増加しています。「著名人」が12件減少した一方で、「法人等」が8件、「一般人」が19件増加しました。2022年3月は各地で「新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置」が発令されるなど、新型コロナウイルスへの警戒から、個人ならびに企業の活動が自粛傾向にありました。他方、2023年3月はそれと比較すると個人ならびに企業の活動が活発化したことから、それに比例して発生件数が増えたのではないかと考えられます。
・炎上の原因となった問題行動のうち、108件(95.6%)が「不適切と判断される可能性のある発言・行為」に該当し、「反社会的行為や規則・規範に反した行為(の告白・予告)。法律に抵触する可能性のある行為」は5件(4.4%)と少数でした。前月と比較すると「不適切と判断される可能性のある発言・行為」の割合が増加(93.3%→95.6%)しています。
・問題行動の主体のうち、「法人等」に該当する炎上41件を業界ごとに分類しました。炎上事案が最も多かったのは「メディア」業界で、13件(31.7%)という結果でした。期間中に行われていたワールド・ベースボール・クラシックについての新聞社による報道に関連する事例、テレビ番組の放送内容に関する事例などがありました。
・問題行動の主体について,、対象の「法人等」が上場企業か否か、また、それぞれの従業員数について分析しました。上場区分に関して「上場企業」2社(8.0%)、「非上場企業」23社(92.0%)という結果でした。
3月は、炎上件数自体は大幅減少したものの、印象に残る大規模炎上が多くありました。
例えば高校生が東日本大震災の被災者を嘲笑するような不適切動画を投稿して炎上した事件では、暴露系インフルエンサーが取り上げたことで幅広く話題になりました。
暴露系インフルエンサーのTwitter投稿は、多いものだとインプレッション数千万件を超えるものもあり、中小のメディアよりもはるかに大きなインパクトがあります。内部告発や社外での言動が取り上げられることも少なくなく、企業としてもより一層の炎上対策が求められます。
抽出したデータは表1の基準に基づき分類しました。
また、問題行動の主体が「法人等」の場合、表2に基づき20の業界に分類しました。
なお、表2に該当しない業界に関しては「その他」としてデータを処理しました。
(表1)
*参考:山口真一(国際大学GLOCOM 准教授):
「ネット炎上の研究『炎上の分類・事例と炎上参加者属性』」, 出版記念公開コロキウム用資料, 2016
*データ確認日時点でフォロワー(もしくはチャンネル登録、読者登録)数が一定数を超えている場合を「著名人」として定義しています。
(表2)
*参考:『業界動向サーチ』 https://gyokai-search.com/2nd-genre.htm
3月の炎上事案は113件でした。前月に比べ、65件減少しています。
炎上事案の原因となった問題行動の主体別の内訳では、「著名人」28件(24.8 %)、「法人等」41件(36.3%)、「一般人」44件(38.9%)という結果でした。
また前年同月比では、炎上事案発生件数は15件増加しています。「著名人」が12件減少した一方で、「法人等」が8件、「一般人」が19件増加しました。
前月と比較し、3月の炎上事案発生率は「著名人」が5.0ポイント、「一般人」が3.8ポイント減少し、「法人等」が8.8ポイント増加しました。
前年同月比では、「著名人」の割合が16.0ポイント減少し、「法人等」については2.6ポイント、「一般人」は13.4ポイント増加しました。
炎上の原因となった問題行動のうち、108件(95.6%)が「不適切と判断される可能性のある発言・行為」に該当し、「反社会的行為や規則・規範に反した行為(の告白・予告)。法律に抵触する可能性のある行為」は5件(4.4%)と少数でした。
炎上の原因となった問題行動の内容としては「2-4」(その他、特定の層を不快にさせるような内容・発言・行為)に該当する炎上が最も多く、次いで「2-3」(非常識な発言・行為、デリカシーのない内容・発言・行為)に該当する炎上が多い結果となりました。
炎上内容の詳細を分析したところ、「問題発言」に関する炎上事案が39件、次いで「非常識な行動(モラルのなさ)」に関する炎上事案が34件でした。
問題行動の主体のうち、「法人等」に該当する炎上41件を業界ごとに分類しました。炎上事案が最も多かったのは「メディア」業界で、13件(31.7%)という結果でした。
問題行動の主体について上場企業か否か、また、それぞれの従業員数について分析しました。
上場区分に関して「上場企業」2社(8.0%)、「非上場企業」23社(92.0%)という結果でした。
前年同月比では、上場企業の割合が2.7ポイント増加しました。
従業員数でみると、「1,000人以上」の大企業が10件であり、国内企業における炎上の45.5%を占めました。
前年同月比では、1,000人以上の従業員数の企業の割合が7.1ポイント減少し、100人未満の従業員数の企業の割合が7.7ポイント増加しました。
■炎上事案分析データ2023年3月版のダウンロードはこちらから
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お問い合わせ名称:一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所
代表理事:佐々木 寿郎
アドバイザー:山口真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授)
沼田知之(西村あさひ法律事務所所属弁護士)
設立日:2023年1月20日
公式HP:https://dcri-digitalcrisis.com/
関連会社:シエンプレ株式会社
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