2019.09.10
多様な情報が飛び交うウェブの世界。「予期せぬ投稿」からブランドイメージを守るために、企業が備えておくべきこととは?
2021年5月27日
「実年者(50~60代)は、今どきの若い者などということを絶対に言うな」
これは、旧日本海軍の連合艦隊司令官を務めた山本五十六が残した言葉です。
その理由について、山本は「われわれ実年者が若かったときに同じようなことを言われたはずだ。(中略)その若者が、こうして歳を取ったまでだ」と述べています。
裏を返せば、年配者がつい口にしがちな「最近の若者は」という決まり文句は、今に始まったものではないというわけです。
ちなみに、武士の心得を説いた江戸時代中期の書物「葉隠(はがくれ)」にも、当時の若者である奉公人を指して「自分の欲得をだけを考えている」「小ざかしい」「格好ばかりつけている」と、散々にこき下ろす記述が見受けられます。
いつの時代も、すべての若者が大人たちの目に余る行動に走るわけではありません。
しかし、はるか昔から、若者は時に無分別な行動を取る存在として見られていたのは確かなようです。
目次
インターネット社会におけるそうした行動の1つが、「バイトテロ」と言えるかもしれません。
バイトテロとは言うまでもなく、飲食店や小売店のアルバイト従業員などが勤務先の商材、備品を使っていたずらや悪ふざけをする光景を撮影し、SNSの動画共有サイトなどに投稿することです。
バイトテロが発覚して炎上した企業や店舗はイメージが傷つくばかりでなく、消費者から寄せられる苦情への対応や商品の返品・交換に追われることがあります。
最悪の場合は株価の暴落や休廃業、倒産にも見舞われかねません。
日本では2007年に大手外食チェーンストアで初めて発生したと言われていますが、SNSが普及する大きなきっかけとなった東日本大震災後の2013年以降に続発。顧客の取り置き商品に放火する動画の撮影・投稿に関与した20代の店員が逮捕される事件も起こりました。
SNSでのインパクトを競い合うかのようにバイトテロの傍若無人さ、悪質さは年々エスカレートします。
世の中の怒りの大きさから「もはや単なる非常識では済まされない」と悟った企業側が刑事告訴や損害賠償請求で対抗するケースも目立つようになり、テレビや新聞などの大手メディアも重大な社会問題として報じる姿勢を強めていったのです。
最盛期には連日のように世間を騒がせたバイトテロが鳴りを潜めたように見えたのは、2020年のことでした。
度重なる報道により、バイトテロが及ぼす社会的な影響の大きさが増したため、あるいは不適切動画の発信者は実名や住所などを特定されて袋叩きに遭うことが多くなったからとの見方もあります。
2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、休業・時短営業を余儀なくされた飲食店が多かったことも影響したかもしれません。
しかし、バイトテロは決して「過去の遺物」になったわけではありませんでした。
コロナ禍が続く2021年4月、大分県の焼き肉店で、アルバイト店員の男子大学生らが店内の厨房で働いた不適切な行為の動画をSNSに投稿し、炎上に至ったのです。
客が残したパスタを手づかみで食べ、ソフトクリームを機械から直接口の中に流し込む。
不衛生の限りを尽くしたこの動画は世の中に対し、バイトテロは根絶されたわけではないという不快な事実も突き付けました。
しかし、企業側が注目せざるを得ない事実は、それだけではありませんでした。
ここで改めて、一連の炎上過程を振り返ってみましょう。
男子大学生らが不衛生行為の動画を投稿したのは、従来のバイトテロでも多く見られたInstagramのストーリーとTikTokでした。どちらも、親しい友達だけに動画を公開することができます。
もっとも、これらが録画され、Web上に流出してしまう可能性があることは、とうに知られています。
過去にも、友達のみに公開したはずのバイトテロ動画がTwitterで拡散され、炎上したケースは枚挙にいとまがありません。
今回の投稿が過去のプロセスと異なっていたのは、人気YouTuberによるライブ配信で露出したという点でした。
これは何を意味するのでしょうか?
まさに、流出した動画が多くの人の目に触れてしまう時間は、どんどん短くなっているということです。
2019年2月に発生した大手外食チェーン店のバイトテロを例に挙げましょう。Instagramに投稿された動画がTwitterで拡散され、炎上に至ったのは32時間後でした。
一方、ライブ配信された焼き肉店の動画が大手新聞社のニュースサイトで記事になったのは、わずか13時間後だったのです。
さらに、ライブ配信中にはバイトテロが発生した店舗名とアルバイト店員の実名、さらに本人のInstagram、Twitterのアカウントまでもが特定されてしまいました。
電凸(でんとつ=企業などに突然電話をして組織の見解を問いただす行為)を呼び掛けるコメントも寄せられ、店舗の公式Twitterには「バイトテロが発生している」というリプライが相次ぎました。
ちなみに、この焼き肉店は、ニュースサイトで報じられる3時間ほど前にホームページと公式Twitterで謝罪し、男子大学生らを懲戒解雇したと発表。翌日は臨時休業して店内の消毒清掃などを行うことも明らかにしたことで、幸いにも2次炎上の被害は食い止めることができました。
YouTubeのライブ配信が露出源となって炎上に発展する事案が増えていることは、シエンプレのデジタル・クライシス総合研究所の調査でも明らかになっています。
今回のバイトテロを巡っても、炎上との関連性が高いキーワードには先述した人気YouTuberの名前がランクインしました。
つまり、これまでのようにTwitterの動向を注視するだけの対策では不十分ということです。
傍目には過去と同じようなバイトテロ型の炎上に見えても、メディアで取り上げられて騒動になるまでのスピードは確実に速くなっています。
企業側はこうした炎上のトレンドとリスクシナリオを把握し、万一に備えた予防・監視体制を強化しておく必要があるでしょう。
国内ナンバーワンのデジタル・クライシス対策カンパニーのシエンプレなら、YouTubeやTikTok、Instagram(ストーリー)などの動画媒体を定点観測し、Twitterでの拡散に波及する動きがないかを徹底的にチェック。忍び寄る炎上の火種を早期発見し、適切に対応できる体制を構築します。
もちろん、そもそもバイトテロのような不適切行為を発生させないためには、日頃の従業員教育の徹底も不可欠です。
弊社が導入しているeラーニングの「従業員向けSNS利用研修」では、従業員が起こしたさまざまな炎上事例と発信者の悲惨な末路を理解させ、個人のSNSアカウントを利用する際の注意点も分かりやすく伝えます。
自社のSNS運用マニュアルの作成・改訂にも役立てることが可能で、目的に応じた最適な研修プログラムをご提供します。
バイトテロなどによる自社の風評被害をはじめ、あらゆるデジタル・クライシス対策の強化をお考えの場合は、国内ナンバーワンの取引実績と豊富なノウハウを誇る弊社にぜひご相談ください。
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