2019.10.08
「個人情報の取り扱い」に潜む「炎上リスク」ネット上のトラブルに備え、企業が取るべき対策は?
2020年9月16日
たった1つの情報が、一夜にして世界を変えてしまうことがあります。例えそれが、誤って発信されたものだとしても。
1989年11月9日、東西ドイツ分断の象徴だった「ベルリンの壁」が崩壊しました。
押し寄せた無数の市民がコンクリートの壁を叩き壊し、次々とよじ登って歓喜していた光景を覚えている人も多いかもしれません。
では、ここで思い出してみてください。そもそも壁が崩壊したきっかけは、一体何だったのでしょうか?
その答えは、たった1人の男性による「勘違い」。旧東ドイツ政府の報道官、ギュンター・シャボフスキーが、誤って解釈した情報をそのまま発信してしまったのです。
同氏は記者会見で「東ドイツ国民はベルリンの壁を含む、すべての国境通過点からの出国が認められる」と説明した上、発効時期を問われると「直ちに、遅滞なく」と回答。
シャボフスキーの発言はどちらも勘違いでしたが、これが壁崩壊の引き金となりました。
「世紀の誤報」として語り継がれているこの出来事。とうに過ぎ去った世紀、しかも地理的に遠い国の話として、どこか他人事のように思えてしまうかもしれません。
しかし、SNSが普及した現代は、誰もが2つの意味でシャボフスキーのような発信者になってしまう可能性があると言えます。
目次
誤報は、主に2つのパターンに分類されます。
1つは、誤った情報を発信してしまうということ。
もう1つは、誤っているとは言えない情報であっても、発信するには相応しくない場所で公表してしまうということ。
つまり、その場で言う必要がない、あるいは言うべきではないことを言ってしまい、非難を浴びるというケースです。
SNSの世界で、後者は「誤爆」と呼ばれているもの。昨今、企業を巻き込んだこの「誤爆」が後を絶ちません。世界的に有名なアウトドアブランドM社の日本法人も、その1例となってしまいました。
2020年8月3日、M社の公式Twitterに1つのコメントが投稿されます。「オレは」という、かなり砕けた言葉で始まるこのツイート。新聞記事を引用して政府閣僚を批判する見解をつづった内容で、自社の製品やサービスとはまるで無関係。企業による発信としては、明らかに違和感を覚えるものでした。
投稿からわずか10分後、このツイートは削除されます。公式Twitterには「担当者の個人的な見解」と釈明したM社の謝罪文が掲載されました。
しかし、Twitter上では「この程度の管理体制なのか」「会社の信用と看板を背負っている緊張感が足りない」といった企業のSNS管理体制に対する批判が続出。
公式Twitterの問題投稿は削除されたものの、翌8月4日にその投稿画像が拡散されると、Twitter上ではこの日だけで4万件もの関連ツイートが殺到して「炎上」に至りました。
問題投稿に対しては、「私はその意見に賛成でした」「勇気ある社員さんを絶対に責めないで」といった肯定的な意見も上がったのは事実です。
とはいえ、自社をPRするはずの公式Twitterが消費者の不信感を招いてしまったのも確か。やはり、企業の管理体制に落ち度があったことは否めないでしょう。
実は、SNSをめぐる企業の公式アカウントが「炎上」する事例は、今に始まったことではありません。過去を振り返っても、枚挙にいとまがないのです。
ファストフード業界のトップに君臨するM社の日本法人の公式Twitterでは「不毛な打ち合わせに4、5時間参加している」という社員の愚痴がツイートされ、100万人のフォロワーを騒然とさせる事態に。
旅行サイト大手R社の公式Twitterは、ある有名女性アーティストの公式Twitterアカウントに突如「ぶさいく」というツイートを寄せてしまい、猛批判を浴びました。
また、2015年8月9日には、世界的に有名なエンターテインメント企業の日本法人が公式Twitterに「なんでもない日おめでとう」と投稿。
奇しくもその日は長崎への原爆投下から70年目だったとあって、Twitter上では「無神経」「よりによって今日じゃないだろう」といった反発を招いたのです。
アウトドアブランドのM社と同様、証券大手N社の公式Twitterでも米国のトランプ大統領を批判する政治的なコメントがツイートされ、「個人的意見のような内容だ」と「炎上」に至りました。
これらはいずれも企業のSNS担当者による誤操作、あるいは消費者や閲覧者への配慮に欠けた配信と言えます。
投稿内容そのものに対する批判はもちろん、SNS公式アカウントのずさんな管理体制やセキュリティ面の不安も露呈することになるため、「炎上」した場合の企業リスクは大きいと言わざるを得ません。
「政治的に偏った立場の企業」というレッテルを貼られて信頼を失えば、ブランドイメージのみならず、顧客や採用機会の損失を引き起こしてしまう可能性もあるでしょう。
こうした事態を防ぐため、企業はどんな対策を取るべきでしょうか。
SNS公式アカウントで情報を発信する際は、投稿内容が消費者に配慮した内容となっているか、企業としての立場や見解を示すことで不快感を与えることはないかといった点を十分に検討することが望ましいと言えます。
もちろん、社内の担当者が個人アカウントと間違えて公式アカウントで投稿してしまう失敗も防がなければなりません。そのためには投稿の管理体制を確立するというより、そもそも個人に依存した仕組みそのものを見直すべきでしょう。例えば、いくつかあるSNSの管理ツールを活用すれば、こうした失敗を防ぐことができます。
世界中の誰もが知っているような有名大手企業ですら、SNSの誤爆や炎上を起こしてしまうケースが跡を絶ちません。どんなに自社内で対策を徹底しているつもりでも“万が一”は起きてしまうものなのです。
国内唯一のデジタル・クライシス対策会社「シエンプレ」なら、自社保有のWeb監視ツールを駆使して「炎上」を招く恐れのある情報を迅速に察知、顧客企業にとって不利益となる情報の拡散を防ぎます。もちろん、企業や個人によるSNS投稿も例外ではありません。
万一「炎上」が発生した場合も安心です。ネガティブ情報などの拡散を抑制しつつ、「炎上」の段階に応じた的確な対応をワンストップでアドバイスし、速やかな沈静化をサポートします。
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