女性蔑視発言に「NO!」 炎上を寄せ付けない企業の情報発信
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siemple.co.jp2022年7月28日
近年、テレビのニュース番組などでもよく見かけるのがネット炎上です。SNS上などでの非常識な言動が物議を醸し、大きな騒動に発展するというイメージを持っている人も多いでしょう。
しかし、よく考えてみると、その定義や仕組みは意外に曖昧ではないでしょうか?本記事では炎上の定義や発生のメカニズム、実際の影響などについて、具体的な事例を交えて分かりやすくご紹介します。
目次
炎上について、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授(経済学)は、「炎上加担動機の実証分析」の中で、「ある人や企業の行為・発言・書き込みに 対して,インターネット上で多数の批判や誹謗中傷が 行われること」と定義しています。
近年、このような「炎上」を耳にする機会が増えてきています。
・飲食店でアルバイトが食材を粗末に扱う動画がSNSで拡散、批判され、炎上した。
・政治家が女性蔑視の発言をし、ニュースで取り上げられ問題視され、炎上した。
・企業運営のSNSが不謹慎な投稿をして、ネット上で非難を浴び、炎上した。
シエンプレデジタル・クライシス総合研究所は、上記炎上の定義の「多数」を「100件以上」と定義し、その発生件数を調査しました。その結果をまとめた「デジタル・クライシス白書2022」では、2021年に発生した炎上事案は1,766件(24.8%増)であることがわかりました。
1カ月の平均に換算すると、何と147.2件。毎日4.8件発生していることになります。
①炎上発生の流れ
テレビ番組やYouTubeの生配信での言動などが視聴者に問題視されることで「炎上」が発生する状況を指します。
この場合、TwitterなどのSNSにて問題についての言及が発信され、リツイートなどを通して拡散します。すると各種インターネット掲示板でその話題が取り上げられ、まとめサイトがその掲示板の情報を複製して乱立します。ここまでを1次炎上と呼んでいます。
すると、一次炎上を受けてマスメディアがネットニュースメディアがその事案に注目。放送したり記事にしたりします。ここで多くの人々の目に触れるようになり、かつSNSを利用する人々にとって閲覧しやすく、更に拡散しやすい状態になります。
その結果、再度Twitterなどでその情報が拡散し、1次炎上よりも規模の大きい2次炎上に繋がります。世間の注目が集まる中で新たなネガティブ情報が掘り起こされ、繰り返しバッシングを浴びることになれば、炎上はなかなか収束しません。
図1. リアルタイムで問題が露出し「炎上」が発生するメカニズム
②過去の問題事象が露出する場合
商品・サービスの欠陥や社内のハラスメントなど、世の中に広く「露出していない場合」であっても炎上は起こり得ます。
ソーシャルメディアやブログ、掲示板などの消費者生成メディア(CGM)での暴露やメディアの独自取材で明るみに出て、あっという間にTwitterで拡散し、その後リアルタイムで露出した場合と同様に炎上します。
図2. 過去の問題事象が露出し「炎上」が発生するメカニズム
「炎上を起こす主体」は、大きく、著名人、法人、一般人の3つに分類されます。それぞれの主体について詳しく説明します。
1.著名人
芸能人、政治家、アスリート、経営者などを指します。SNSをはじめ情報発信の機会が多く、かつ関心を持つ人々も多いため、問題となる事象を見られる機会が多く、炎上発生に繋がりやすいといえます。
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siemple.co.jp2.法人等
法人、社団法人、公共団体、役員、従業員、非正規雇用者、パート・アルバイト、店員などです。法人としての情報発信や、特定の法人に所属する従業員の言動などが炎上を引き起こすことがあります。
3.一般人
主婦、学生、無職、クレーマー、ユーザーなど、認知度がない人物も、炎上を引き起こすケースがあります。
「実年者(50~60代)は、今どきの若い者などということを絶対に言うな」 これは、旧日本海軍の連合艦隊司令官を務めた山本五十六が残した言葉です。 その理由について、山本...
siemple.co.jpこのように、SNSなどの発達により、誰がいつ炎上するかわからないのが現状です。
炎上を起こす行動の分類は、大きく2つに分けられます。
(1)反社会的行為や規則・規範に反した行為やその告白、予告。
法律に抵触する可能性のある行為。具体的には、情報漏洩、ハラスメント、自作自演・ステマ、暴力行為、不正行為などです。
(2)(1)に該当しないが、不適切と判断される可能性のある発言・行為
炎上行動の分類(1)-1 情報漏洩
法人が所有する、個人情報をはじめとした各種情報の漏洩は、企業にとっては重大な事案です。しかし、悪意を持ったハッカーなどによる被害を受けるケースもあれば、従業員が情報を流出させてしまうケースなど、根絶するのは難しいのが実態です。
原因がどうであれ、情報漏洩の事実はSNSをはじめインターネットの世界を駆け抜け、炎上につながります。
今回は現在問題になっている、情報漏洩問題について事例を交えながら説明させていただきます。 情報漏洩とは 情報漏洩とは、内部の機密情報が外部に漏れてしまうことを言います。...
siemple.co.jp今回は直近(2016年6月現在)で話題になった情報漏洩問題にから感じた今後の情報漏洩対策のあり方についてご説明したいと思います。 情報漏洩事例4 JTB 2016年6月...
siemple.co.jp(1)-2 ハラスメント
様々な場面・観点で、相手を困らせること、嫌がらせをすること、困らせることをハラスメントと呼びます。セクシャルハラスメント(セクハラ)、パワーハラスメント(パワハラ)、マタニティハラスメント(マタハラ)など、昔からよく耳にするものはもちろん、近年ではモラルハラスメント(モラハラ)、パタニティハラスメント(パタハラ)など、その種類は多岐に渡ります。内部告発などされるとまたたく間にSNS上に広がり、炎上します。
また、「受け手が嫌だと感じたら、そのつもりがなくてもハラスメントと認定される」という特性もあいまって、予防が難しいケースでもあります。
企業経営には、さまざまなリスクが付き物です。 リスクの種類は多岐に渡りますが、企業価値そのものに深刻なダメージを及ぼしかねないものの1つがレピュテーションリスクです。 ...
siemple.co.jp(1)-3 自作自演・ステマ
ここでのインターネット上の自作自演とは、1人、もしくは1企業が、複数人同時に活動しているように見せながら、その企業やサービス、商品の広告宣伝をすることを指します。
また、ステマとは、ステルスマーケティングの略であり、企業が広告宣伝の意図を隠蔽し、消費者を装った上で、その企業やサービス、商品の広告宣伝をすることです。
この2つは同じような意味合いで使われ、実態以上に対象物をよく見せようとする悪質な行為と捉えられます。そのため、それが発覚した際は大きな非難を浴び、炎上を引き起こします。また、インフルエンサーや著名人を使ったプロモーションについて、PR表記をしないだけでも、近年はステマであると批判を受けることもあるため、より注意が必要です。
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暴力行為は、言うまでもなく犯罪です。明確な傷害行為以外にも、加害者側には意識のない「いじめ」なども、この項目に分類されます。そのような行為がSNSやインターネット上で多くの人の目に触れると、炎上に繋がります。
男子高校サッカーの頂点を決する全国高校サッカー選手権大会。 「冬の国立」「冬の高校サッカー」などの通称でも知られ、出場権を争う都道府県予選はテレビや新聞などでも取り上げ...
siemple.co.jp(1)-5 不正行為
不正行為として挙げられるのは、たとえば表現物の盗作や危険なあおり運転、他にも長時間労働のような企業の不適切行為についての情報などです。2019年の常磐道あおり運転の事件が連日各種メディアで報道されたように、大きな話題、炎上を起こす可能性があります。
不適切と判断される可能性のある発言や行動として、次にあげるような事象が炎上に繋がります。
(2)-1 サービスや商品に関連する過失・欠陥など
異物混入や製品の不良などは、企業が批判を受けるきっかけになりやすい事象です。その事象自体はもちろん、その後の対応についても世間は注視しますので、対応を誤るとより大きな炎上に繋がるケースも数多くあります。
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siemple.co.jp(2)-2 暴言を吐く
ここでいう暴言とは、様々な価値観が存在する事柄において、自身と異なる価値観に対して一方的に否定や攻撃をすることを指します。政治や宗教に関する価値観、考え方、信念などは、特に炎上のきっかけになりやすい内容です。
(2)-3 非常識な発言・行為、デリカシーのない内容・発言・行為
近年、テレビを始め様々なメディアを騒がせたバイトテロなどは、この分類に当たります。特に飲食店が提供する品物に異物を混入させる、調理器具を舐めるなど、不衛生を感じさせる行為は大きな炎上を招き、企業にとっても経営上深刻なダメージを与えかねません。
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siemple.co.jp(2)-4 その他特定の層を不快にさせるような内容・発言・行為
近年ではダイバーシティ(多様性)が様々なシーンで重視されるようになってきました。様々な価値観や考え方、属性を持つ人々に配慮した表現をしなければ、炎上の火種になりかねません。
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かつては炎上と言えば、芸能人や政治家、大企業が、テレビや雑誌の記者に追われて不祥事が明るみになり、マスメディアに報じられることが一般的でした。
つまり、炎上の被害を受けるのは、記者に追われるような著名人、有名人のみだったのです。
一方、今や日本人の7割以上がスマートフォンを利用し、いつでもどこでもネット上での情報の取得と発信が可能になっています。
いつ誰が不適切な行動を見ているかわからないという状況と、メディアのような強い発信力を持たない一個人でも、SNSを使えば思いついたことを何でも簡単に投稿できるという環境が、炎上リスクを高めていると言えるでしょう。
そのような傾向は、「デジタル・クライシス白書2022」のデータにも表れています。
2020年に炎上を起こした主体は、著名人の割合が48.5%と多かったのに対し、一般人は30.3%、法人などは21.2%でした。
しかし、2021年は著名人が39.1%に低下。一方で法人などが33.1%に上昇し、もはや炎上は著名人だけのものではないことがわかります。
また、情報の拡散スピードも、炎上が増える要因の一つになっています。
Twitterで拡散され、掲示板やまとめサイト、動画サイトで物議を醸した事案は、速報性に優れたマスメディアやWebメディアで取り上げられる流れが定着し、リスクが発生してから炎上に至るまでのスピードも加速。2020年以降は、炎上事案の半数近くが24時間以内に放送・記事化されています。
そうしたニュースがポータルサイト、キュレーションメディアなどに転載されれば、100万人以上に拡散してしまう可能性もあるのです。
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