2021.02.26
「お母さん」に潜むジェンダー炎上!今なぜクリエイティブリスク診断が必要なのか?
2020年10月15日
事件の始まりは、女子高生の何気ない冗談でした。
1973年12月8日、登校中の電車に乗っていた3人の女子高生。地元のT信用金庫に就職が内定した1人に、別の1人が「信用金庫は危ないよ」と忠告します。ただし、それは「信用金庫などの金融機関は強盗が押し入るかもしれないので危険だよ」という意味の冗談だったのです。
しかし、からかわれた女子高生は「危ないよ」という言葉を真に受けた上、「T信用金庫は経営が危ないのか」と解釈してしまい、その日の夜に親戚に相談します。この親戚はT信用金庫本店の近くに住む別の親戚に、T信用金庫の経営状態を電話で問い合わせたのです。
翌日、電話を受けた親戚が美容院で「T信用金庫は危ないらしい」と話したことから、経営危機の噂はどんどん広まります。
当初は「危ないらしい」という憶測に過ぎなかった話は、あっという間に「危ない」「潰れる」という断定調になり、12月13日にはT信用金庫の預金者59人が窓口に殺到、当時の金額にして約5,000万円が一気に引き出されました。
ちなみに、人事院が公表しているこの年の国家公務員の高卒初任給は4万4,800円(※現在の紙幣価値に換算すると14万円程度)。パニックとも言える取り付け騒ぎの沈静化には報道機関や警察、さらには日本銀行までもが協力しましたが、経営状態をめぐる風説はなかなか終息しませんでした。
T信用金庫事件として知られる取り付け騒ぎは、単なるデマやフェイクニュースが極めて高い信ぴょう性を獲得した、極めて珍しいケースです。
発端となった女子高生をはじめ、誤情報を口にした人々に「嘘を広めてやろう」という悪意などはなく、T信用金庫にも預金者に経営状態を不安視させる要素は見当たりませんでした。
それなのになぜ、「金融機関が潰れる」という流言がリアリティを帯び、わずか1週間足らずでパニックが起きるほど広まってしまったのでしょうか。
その背景には、当時の世相がありました。日本のみならず、世界の経済を大混乱と不安に陥れた第1次オイルショックです。
目次
社会的な危機や不安が増している時代にデマやフェイクニュースが広がりやすいというのは、今も昔も変わりません。
しかし、インターネットやSNSが普及した昨今において、あらゆる情報が拡散されるスピードと範囲は、1970年代をはるかに上回ると言えます。
言い換えれば、現代の企業がT信用金庫のような目に遭った場合、地元で噂話が広がる程度の苦境では済まないことでしょう。ブランドイメージはもちろん、収益や株価などに計り知れない損害を被る恐れがあるのです。
例えば、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が懸念されていた2020年2月。
全国紙の記事の誤情報に端を発したこの事例では、まさに何の落ち度もない企業が被害を受けることとなりました。
誤情報とは「新型肺炎医療用マスク、自治体・病院に優先供給 厚労省」の見出し画像。
そこに写っていたのは、日の丸ロゴと製造元の社名入りマスクでした。
Twitter上では「政府が日の丸の入ったマスクを製造して配布しようとしている」という思い込みでの見方が拡散し、「マスクに手間かけて日の丸と製造社名?そんな余裕ないし恥ずかしすぎる」といった批判が続出します。
一部の著名人も「これを作るのに、コストどれくらいあがったんだろう」と皮肉たっぷりのコメントを書き込み、燃え盛る「炎上」の火に油を注ぐ形となりました。
しかし実は、日の丸マスクはこの記事とは無関係の既製品で、政府が日の丸マスクの生産依頼をしたというのはフェイクニュースでした。
新聞社と厚労省も日の丸マスクは記事と無関係であることを認めたものの、すでに理不尽な批判を数多く浴びていた製造元の企業は、日の丸マスクの生産・販売中止に追い込まれてしまったのです。
また、2017年8月には、ある大手スーパーが販売する豆腐をめぐり、ネットニュースで「コスト削減のため劇薬や消泡剤が使用されている『偽装豆腐』だ」という記事が出回りました。
実際に劇薬は使用されておらず、複数の専門家が記事の誤りを指摘しましたが、Twitter上では記事の内容を信じてしまった多くのユーザーがこの大手スーパーを批判し、炎上する事態に発展したというわけです。
同じ月には海外でも、米国に本社を置く世界的なコーヒーチェーンの偽クーポンがTwitterなどで拡散。折しも米国ではトランプ大統領が表明した移民救済制度撤廃の行方が注目されていた時期で、多くのユーザーがこの投稿を目にすることになりました。そのため、この本社は公式Twitterアカウントでクーポンが偽物であることを伝えた上、誤情報を拡散しないよう呼び掛けなければなりませんでした。
このように、デマやフェイクニュースの被害を受ける可能性のある企業の業種には、何の共通点も見られません。
また、日の丸マスクの製造元は決して企業規模が大きいわけではなく、全国的な知名度やネームバリューがなかったにも関わらず、突如として災難に見舞われてしまいました。
つまり、「世の中に広く知られている企業ではないから」「BtoCのビジネスとは無縁だから」というのは、「自社が安全である」という理由にはなり得ないということです。
さらに言えば、こうした誤情報はその企業に被害を与えようと意図的に発信されたものではなく、もともとは全く別のものへの批判が込められていたことが分かります。
例えば、日の丸マスクやコーヒーのチェーン店の事例は政府や政治家に対する不満や主張で、大手スーパーの場合は有機農産物にこだわるブロガーが、オーガニックと謳っている商品への注意喚起を念頭に作成した記事がきっかけでした。
では、企業は、いつどんな形で降りかかるか分からない被害の防止に、成す術を持たないのでしょうか?
国内唯一のデジタル・クライシス対策カンパニーであるシエンプレなら、24時間体制のWeb/SNSモニタリングを通し、「炎上」の発生をいち早く感知します。
万一、「炎上」に至った場合も、事実関係が記載された検証サイトやブランディングにつながるサイトを作成し、上位表示させます。さらに、事実と異なる情報にブランドが脅かされている企業には、情報発信元への接触方法や反論の場を提供し、2次被害を食い止めます。
このほか、シエンプレが運営するシエンプレ デジタル・クライシス総合研究所では、「炎上」の傾向に関する最新情報を把握しています。
会員企業はレポートの配信や勉強会への参加を通し、さまざまな事例をケーススタディとして自社のリスク対策に生かすことができるほか、必要なら外部アドバイザーへの相談も可能という充実したサポート体制を提供します。
SNS上の誹謗中傷なども社会問題化している昨今。いわれのない「炎上」被害の防止策を検討される場合は、「炎上」ストッパーとして豊富な実績と経験を持つ弊社に、ぜひご相談ください。
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