2024.02.14
炎上事案分析データ2023年11月版(調査対象期間:2023年11月1日~2023年11月30日)
2023年3月8日
ネット炎上や情報漏えいなどのデジタル上で発生したクライシス(危機や重大なトラブル)を研究する、日本初の研究機関デジタル・クライシス総合研究所(以下、弊研究所)は、2023年1月1日~1月31日に発生したネット炎上についての件数とその内訳の分析結果を公開しました。
目次
2023年1月31日、弊研究所はソーシャルメディアを中心とした各種媒体とデジタル上のクライシスの特性、傾向と論調を把握するために「デジタル・クライシス白書2023」(調査対象期間:2022年1月1日~12月31日)を公開しました。今回の調査は、2023年1月に確認された炎上事案を分析するものです。
投稿内容に「炎上」というキーワードを含む1,868件の投稿から139件の炎上事案を抽出(※)。炎上の原因となった問題行動の主体、問題行動の内容、炎上を起こした企業の業種などの切り口から傾向を分析しました。
※弊研究所では「炎上」の定義を、「企業や団体、個人が発言した内容、行った行為がメディア上で掲載・拡散され、それに言及した批判や非難の投稿が100件を超えた場合」としています。
「デジタル・クライシス白書2023」をダウンロード調査期間:2023年1月1日~1月31日
調査対象:Twitter、Facebook、Yahoo!ニュース、Amebaブログ、FC2ブログ、Yahoo!知恵袋、5ちゃんねる など、SNS媒体と炎上拡大の要因となりやすい弊社選定媒体への投稿
調査方法:弊社ソーシャルリスニングツールを使用
分析対象投稿数:1,868件
抽出炎上事例数:139件
・1月の炎上事案は139件でした。前月に比べ、39件減少しています。
・炎上事案の原因となった問題行動の主体別の内訳では、「著名人」49件(35.3 %)、「法人等」48件(34.5%)、「一般人」42件(30.2%)という結果でした。
・前月は「一般人」の割合が26.4%と3割を下回り、「著名人」「法人等」に比べ低い傾向がありました。前月と比較すると、今月は「著名人」「法人等」「一般人」それぞれの割合が約3割ほどでほぼ均等でした。
・また、2022年全体の炎上事案の主体の割合は著名人が35.2%、法人等が35.4%、一般人が29.4%とそれぞれの割合が約3割ほどでほぼ均等でした。2023年1月は、2022年全体の割合に近い割合でした。
・前月と比較し、「著名人」では21件、「法人等」では13件、「一般人」では5件減少しており、「著名人」が最も減少しています。
・1月については、12月と比較し件数が少なかったものの、1月下旬には回転寿司店での迷惑行為が話題になるなど、いわゆる「客テロ」と呼ばれる事象が発生しています。回転寿司店のケースでは、事象発生後最も投稿が行われたピーク時には1日3万件以上の投稿が行われるなどTwitter上で大きく話題になった他、テレビの報道番組等でも取り上げられました。
・前年同月比では、炎上事案発生件数は21件増加し、「著名人」では9件、「法人等」では6件、「一般人」では8件増加しています。2022年1月は各地で「まん延防止等重点措置」が発令されるなど、新型コロナウイルスへの警戒から、個人ならびに企業の活動が自粛傾向にありましたが、2023年1月はそれと比較すると個人ならびに企業の活動が活発化したことから、比例して発生件数が増えたのではないかと考えられます。
・炎上の原因となった問題行動のうち、130件(93.5%)が「不適切と判断される可能性のある発言・行為。」に該当し、「反社会的行為や規則・規範に反した行為(の告白・予告)。法律に抵触する可能性のある行為。」は9件(6.5%)と少数でした。前月と比較すると「不適切と判断される可能性のある発言・行為」の割合が増加(91.0%→93.5%)しています。
・炎上事案が多かった業界は「メディア」「娯楽・レジャー」業界がそれぞれ14件(29.2%)でした。話題のゲームタイトル発売ならびにソーシャルゲームの仕様変更等による影響がみられました。
・炎上事案が発生した国内企業45社のうち、「上場企業」3社(9.7%)、「非上場企業」28社(90.3%)という結果でした。前月と比較すると非上場企業の占める割合が増加(72.1%→90.3%)しています。
1年のスタートは、炎上件数の上では比較的落ち着いたら立ち上がりとなることが多いようです。今年も炎上件数は昨年12月から20%強の減少となりました。もっとも、昨年の1月と比較すれば20%近く増えており、今年はネット炎上も落ち着くのでは、といった見方は全くできなさそうです。
炎上の原因については、引き続き「不適切と判断される可能性のある発言・行為」が大部分を占めていますが、1月末に大きな話題となった飯テロのように、不適切行為もエスカレートすれば法令違反としての責任を問われるものとなり得ます。
今後、SNS等の投稿により被害を受けた企業が毅然とした対応を取る傾向が強まっていく可能性もあり、注目が必要です。
抽出したデータは表1の基準に基づき分類しました。
また、問題行動の主体が「法人等」の場合、表2に基づき20の業界に分類しました。
なお、表2に該当しない業界に関してはその他としてデータを処理しました。
(表1)
*参考:山口真一.(2015).ネット炎上の研究「炎上の分類・事例と炎上参加者属性」
*データ確認日時点でフォロワー数(もしくはチャンネル登録、読者登録)が一定数を超えている場合を著名人として定義しています。
(表2)
*参考:業界動向SEARCH.COM https://gyokai-search.com/2nd-genre.htm
1月の炎上事案は139件でした。前月に比べ、39件減少しています。
炎上事案の原因となった問題行動の主体別の内訳では、「著名人」49件(35.3 %)、「法人等」48件(34.5%)、「一般人」42件(30.2%)という結果でした。
また前年同月比では、炎上事案発生件数は21件増加し、「著名人」が9件、「法人等」が6件、「一般人」が8件増加しました。
前月と比較し、1月の炎上事案発生率は「著名人」が4.0ポイント減少し、「法人等」が0.2ポイント、「一般人」が3.8ポイント増加しました。
前年同月比では、「著名人」の割合が1.4ポイント増加。
一方、「法人等」については1.2ポイント、「一般人」は0.3ポイント減少しました。
炎上の原因となった問題行動のうち、130件(93.5%)が「不適切と判断される可能性のある発言・行為。」に該当し、「反社会的行為や規則・規範に反した行為(の告白・予告)。法律に抵触する可能性のある行為。」は9件(6.5%)と少数でした。
炎上の原因となった問題行動の内容としては「2-4」(その他、特定の層を不快にさせるような内容・発言・行為)に該当する炎上が最も多く、次いで「2-1」(サービスや商品に関連する過失・欠陥など)、 「2-3」(非常識な発言・行為、デリカシーのない内容・発言・行為)に該当する炎上が多い結果となりました。
炎上内容の詳細を分析したところ、「非常識な行動(モラルのなさ)」に関する炎上事案が35件、次いで「問題発言」に関する炎上事案が33件でした。
問題行動の主体のうち、「法人等」に該当する炎上48件を業界ごとに分類しました。炎上事案が多かったのは「メディア」「娯楽・レジャー」業界がそれぞれ14件(29.2%)という結果でした。
問題行動の主体について上場企業か否か、また、それぞれの従業員数について分析しました。
上場区分に関して「上場企業」3社(9.7%)、「非上場企業」28社(90.3%)という結果でした。
また前年同月比では、上場企業の割合が3.3ポイント減少しています。
また従業員数でみると、「1,000人以上」の大企業が15件であり、国内企業における炎上の48.4%を占めました。
前年同月比では、1,000人以上の従業員数の企業の割合が16.8ポイント減少し、300人以上500人未満の従業員数の企業の割合が16.1ポイント増加しています。
■炎上事案分析データ2023年1月版のダウンロードはこちらから
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お問い合わせ名称:一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所
代表理事:佐々木 寿郎
アドバイザー:山口真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授)
沼田知之(西村あさひ法律事務所)
設立日:2023年1月10日
公式HP:https://dcri-digitalcrisis.com/
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